一訓花集



花:アルストロメリア、ニューサイラン

器:リュ ユンジョン作ガラス花器



青い氷山を海ごと四角く切り取ったかのような花器です。



氷山の部分は造形的に面白いだけでなく、5枚のガラス板の層で花を留めやすくする工夫がなされており、花の器に必要な「用」と「美」を巧みに兼ね備えた器です。



青によく映える黄色いアルストロメリアを氷山の花留が生きるように5本マッスで中央に挿し、そこへニューサイランをキリッと立てました。



シンプルな四角い海と複雑な稜線の氷山で構成された器に、シンプルな剣状の葉と複雑な表情の花をそれぞれ形態的に呼応させています。




一訓花集


花:キク(ボンビーニ)、アサヒハラン

器:リュ ユンジョン作ガラス花器



2パターン目は紫と白の絞りのキクとアサヒハランを氷山の中央に挿しました。



活け方は同じですが、1パターン目が快活なイメージに対して、こちらはシックでエレガントな雰囲気になりました。





☆加藤先生のスピリチュアルメッセージ☆

私のデモンストレーションをご覧になった方からよく「剣山を使わないんですか?」と訊かれるのですが、器を生かし、その魅力を伝えるような花を活けるときには花材で花留を作ったり、花材を自立させるなどしてできるだけ剣山を使わないようにしています。

剣山はとても便利な道具ですが、それ自体が美しくないという大きな欠点があります。

特にガラスと剣山は相性最悪で、剣山が器から透けて見えると興ざめもいいところです。

それゆえに剣山を使って活けた場合は葉や小石などで剣山を隠す一手間が要るのですが、場合によってはそれが器の魅力を損なってしまうことがあります。

そういった訳で、こういった花を留める機能が造形的に組み込まれた花器はありがたいです。
欲を言えば、この花器の花留はどうしても花が横方向に倒れやすいので、それを防ぐ仕組みが中にあればさらに良いでしょう。

また、前面に氷山の花留を浮かせて見せるための四角いパーツが2つ透けて見えてしまうのが気になるところです。氷山を浮かせているタネを悟られない工夫があればより完成度が上がるでしょう。