子供の給食費を払わない父兄がいるという文部科学省の調査が公表され、話題になった。

このことが、日本人のモラル低下の証拠であるのように報道されている。
はたして、本当にそうだろうか。


払われるべき給食費は年4210億。
そのうち、未納の金額は22億円で0.5%にすぎない。

しかもそのうち、失業や所得減による経済的困窮という問題もあるため、モラルによる問題はせいぜい0.3%程度だろう。

水道やガス料金の未納率が約1.2%なので、そもそも大した問題ではないのだ。


ではなぜこのような問題が大きく報道され、日本人のモラル低下のように扱われているのか。

これは、給食費を払えないほど所得の低い人々が増加していることに問題があると思う。


日本は経済が停滞した90年代、企業を守るため、流通や外食などの低賃金のサービス労働を拡大した。

また日本の主力産業である製造業を守るため、非正規雇用を増加させた。


これにより、90年代の若年層は正社員になれない人々が多く、正社員としての職を失う若年失業者も増加した。

このような人々が2000年代ころから結婚し親となるが、正社員になれなかった人が多いため、低所得者の人々が増加したのではないだろうか。

つまり、低所得の方々を増加させてしまった原因は、企業という組織を守ろうとするあまり、雇用される個人に目を向けず、低賃金の雇用を増加させた国にあるのだ。


そして、その問題が給食費未納問題として現れた。

国は、この問題を日本人のモラル低下が原因のように報道し、個人に責任をなすりつけた。

私には給食費未納問題が
「低賃金の雇用は組織を守るためにやったのだから、今所得の低い人は個人が悪い。国には関係のないことだ。」
と言っているように聞こえる。


組織を守ることがいけないのではない。
組織を守る裏で犠牲になった個人を守ろうとしないことがいけないのだ。


現に、失業給付制度も、職を失うことの少ない正社員には厚いが、職を失うことの多い非正規社員にはその制度に入っていない。

個人に責任をなすりつければ、国の責任が見えにくくなる。

もっと、苦しんでいる個人に目を向けるべきだ。


現在の世界不況で、また経済が停滞している。

同じ過ちを繰り返えさないために、国はこの事件から学ばなければならない。

そしてこれからの日本を担う私たちは、やりたいことがないからフリーターとか、とりあえず大企業に入ろうと安易に仕事を考えるのではなく、自分が将来やりたいことを考えた上で仕事を考える必要があるだろう。


9月27日の日経新聞一面に
『電機大手、格安品を拡大 台湾勢に生産委託』
という記事が記載されていた。

内容は、日本のデジタル家電大手が中国に生産拠点を持つ台湾のEMSなどを活用するというもの。

EMSとは、エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービスの略で、電子機器の受託製造サービスを示す。
自前のブランドを持たずに、複数の企業からパソコンなどのデジタル家電の組み立てを請け負う。

市場では格安のデジタル家電の需要が拡大しているため、
「ネットブック」と呼ばれる5万円前後のパソコンでは、ソニーや富士通が
ビデオカメラでは、日本ビクターが
カーナビではパイオニアが
液晶テレビでは、東芝、シャープが
EMSを利用し生産コストを押さえるという。

日本のデジタル家電大手は、基幹部品の開発から組み立てまで自社で手掛ける「垂直型」を得意とし、高機能機で価格競争に巻き込まれない戦略を取ってきた。

世界危機により世界の個人消費が低迷するため、今後ますます格安製品が主流になるだろう。

となると、日本メーカーの外部委託がさらに増え、国内生産の縮小につながる。

国内生産が縮小すると、単純に生産ラインで働いていた人たちの職がなくなる。

また、生産に加え、開発まで含めて受託するODM(相手先ブランドによる設計・生産)も増加しているという。

08年時点のEMSの世界市場(ODMを含む)は約27兆円まで拡大しているため、今後はますますEMSやODMが盛んに行われる可能性もある。

日本の主力産業は、製造業だ。

近年、国際的な価格競争にさらされる製造業を守るため、国は人件費抑圧を促進してきた。

それが製造業の非正規雇用化だ。

価格競争にさらされ始めた時期から、EMSなどを活用する選択肢もあったが、その選択をしなかったことには理由がある。

それは、製造業の多くが「垂直型」経営だからだ。

外部委託を行ってしまうと、「垂直型」の末端の企業に仕事がなくなり、国内生産が縮小してしまう。

だから、人件費抑圧に踏み切った。

にもかかわらず、この記事では製造業大手がEMSを活用すると記載されている。

これはつまり、製造業が人件費を抑圧してもなお、国際的な価格競争についていけないことを示している。

このまま価格競争を続けて、日本の製造業が巻き返せる可能性は低い。

この記事で日本人は危機感を持たなければいけない。