無事にご祈祷は終わりましたが、
相手の手の内を探る時間や、
外堀を埋めていくような
準備期間が無かったこともあって
かなり疲れてしまいました。
まだ弾丸御嶽参りが無かったら
マシだったと思うのですが、
泣きごとを言ってる暇などありません。
次は店舗のご祈祷に行かねばならないので、
さっさと片付けてSさん宅を出ました。
法妙「大丈夫でしたか?」
『やっぱり神霊はキツいですね。
少し寝たいくらい疲れてます』
法妙「黒ユタの人、
凄い力あるんですね」
『あるある。
あれだけの数を動かすから
拝んだら効いたと思いますよ。
怨んだら相手に痛い目にも
合わせられたやろうし、
命も取れたと思うんで、
慢心から道を外したんでしょうね』
法妙「私を怒らせたら不幸になる。
そうやって言う人いますもんね」
『おりまくり
ん?
もしかしたら、その黒ユタの人、
見にきてるかもしれませんね』
法妙「来ますかね?」
『もし何かされたと気付いたら
法妙さんやったらどうしますか?』
法妙「現地に行きます」
『僕も確認に行くと思います』
法妙「ほんまに来てたら驚きますね」
『わかりませんけど』
そんなことでSさんの店舗に到着。
Sさん「住職、お店の門が
誰かに開けられてます」
『え~っ、誰か入ったってこと?』
Sさん「門を勝手に開けて、
店の前まで入ってきてたようです」
『休みってわかるのにわざわざロックを外して
門を開けるってありえませんもんね』
そんな話をしながら門の前にいたら、
何やら気配を感じたので
パッと後ろをふり返ったら、
沢山の人がいる中、
一人の女性に目がいったのです。
目が合った瞬間、
『ま、まさか・・・』
それからも目を離さずに
私をじーっと見ています。
全員が
「あ、怪しすぎる・・・。
絶対にあんたやろ」
と思いました。
すると近くまで歩いてきて
私の顔を見て少しだけ微笑みました。
その時、心の声が入ってきたのです。
「なんだ・・・、驚かせやがって。
ただの坊主か(笑)」
何やら安心したような感じでした。
完全に見下した目で
私を見ています
ドラゴンボールで言えば、
チャオズ扱いです
おそらく呪詛を解かれたと思って
確認しに来たが、
お店の呪詛は解かれていなかった。
けど何かされた気がしたので、
確認していたら坊さん(私)が現れた。
沖縄では僧侶はユタより
かなり下の扱いということですから、
「ザコ坊主でよかった」
ということだったのでしょう。
その後、また黒ユタの声が
入ってきました。
「あの坊主、思い知らせてやる」
『ありゃ、拝みに帰りよるな~』
と、呪術廻戦勃発の予感を感じたので、
何もできないザコ坊主は黒ユタの呪術に
夜しか眠れないほどビクビクしながら、
Sさんのお店でせっせと
ご祈祷の準備を始めたのでありました。
つづく