シェイクス台本裏話5@目黒真直 | IKKANのオフィシャルブログ「IKKANのKAIJIN MANIA」Powered by Ameba

シェイクス台本裏話5@目黒真直

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目黒真直


「めぐろますみ」

これは、森大君ならではと思って付けた名前でもあるが、

なんかこう
バカみたいに一直線な子って、
漫画で書くと
目が真っ黒にならない?

だから「目黒」で
「真っ直ぐ」だから

「目黒真直」

これ、いい名前だな。
真直っていい名前。
子どもにつけるといい名前。

森君は、清水さんと並んで稽古バカである。
納得いくまで稽古したがる。
稽古場に行って「IKKANさん、ちょっと見て下さい」
って言われなかった日はない。(笑)



普通、演劇の稽古って言うのは
演出家が二人いてはならない。
作品の方向性が変わるからだ。


演出家にはこうダメ出しされたけど、
ユニットの先輩にはこうやってダメ出しされた。
そしてそれをまた演出家に違うとダメ出しされた。
役者は言う、先輩にこうアドバイスされたので。
そこで役者は迷う。
どっちを信じていいのか分からない。



なんて言葉がよくある。

やはり演出家は二人いてはならない。
もうその通りである。


でも、
俺は実は
心の奥ではそう思っては居ない。
役者が、ものすごくいい芝居をすれば
演出家を説得できるだけのいい芝居をすれば

演出が何人いようが、
いや、逆に
ひどい言い方をすれば(理想論を言えば)
演出家が居なくたって
いいステージはできあがる。




キャスティングするプロデューサーがいて、
舞台の進行をする舞台監督が居て

理想論で言えば
なんならこれだけで
いい舞台は出来る。



地方のイベントで
お笑いライブがあるとき
演出家など存在しない。

芸人は自作自演ですべてを行う。
3組ほどの力のあるお笑い芸人が
演出家の指示のないままに
自分のネタを披露し、
それぞれで意見を出し合って
3組合同で一コーナーまで企画する。

それがもう
ものすごく
そこに集うお客さん達を魅了し
最高のステージを作り上げる。





役者が
自分を演出できないから
演出家が必要になってしまうのである。



だから俺は
役者は自分の演技を
セルフプロデュースする能力が
とても必要だと思う。



そして
その逆の意見として
演出家が何人いようが、
アドバイスをくれる人が何人いようが、
役者は自分の自己判断に於いて
その意見を自分の演技に反映させ
ステージを作り上げる。




それは
匠が、

「作品の内容は作家の責任、演技は役者の責任、舞台全体のことは演出家の責任、興業が上手くいくかどうかはプロデューサーの責任、それぞれがそれぞれの責任を果たしている。だから殺陣師の俺が、作品の内容のことをどうこう言うべきではないんだよ。」

と、目黒をいい諭す。
しかしそこに目黒は熱く反論する。


目黒「僕は、責任とかどうとか関係ないと思います。作り上げる舞台は、関わったみんなの責任だと思います!」



 匠「そんな理想論じゃプロの世界は通用しないんだよ。」



目黒「匠さんは、なんのために舞台をやってるんですか!!!!」



 匠「そりゃ、お金のためだろ」



目黒「僕は……お客さんのためです!!!!」


一見、目黒の熱すぎる暴走シーンだったのですが、
俺は、この男にものすごい当たり前の正論を最後に言わせたかった。
匠も匠で正論。それが現実。





俺は今回
この芝居の脚色を頼まれたときに

「IKKANさんのお笑いのセンスが僕的に好きなので、お笑いの部分で脚色をして欲しいんです」
と、清水さんに言われた。

「わかりました。でも一つだけお願いがあります。お笑いの脚色した部分に関して、お笑い指導をさせて下さい。」

と。



「振付師」
「殺陣師」
「歌唱指導」

お笑い部分も
一つのポジションとして
あるべきだ。

俺は
「笑い指導家」
として、ちゃんと名前が欲しい。

でないと、
演出家の領分を越えてしまう気がするから。


清水さんにはOKを貰った。
それは毛利さんにもOKを貰った。


毛利さんは「僕はお笑いの部分とか全然なので、IKKANさん、もうどんどんやってください!」
と、言って下さった。


よし、
これで俺はお笑い部分だけ責任を取ればいい。
そう思った。



しかし、
脚色の話もそうだけど
現場でテキストを見たときに

もっと!
もっとやらなければ!
こんなんじゃ満足できない!

前回の「BLUE」の公演に参加しなかったら、
そうはならなかったかもしれない。
現場のことはよくわからないので、とりあえず領分を越えずに参加しよう。
そう思ったことであろう。



前回のBLUEを喜んでくれたお客さんが
「シェイクス」はガッカリでした。
と言われたら、本当に悔しい。




だから俺は
脚色のレベルを超えて
台本を書き直した。



笑いの部分はおろか
涙の部分まで
登場人物の奥底まで。
たぶん俺が静馬さんの立場なら、
あれ?これ俺の作品じゃねーよ。
と思ってしまう。

だから、東京初日に、「作」の静馬さんに謝った。
「設定からなにから色々変えて済みません!」

でも静馬さんは言って下さった。
「いやー僕も時間が無くて、書き直す時間がなく、ご期待に添えられず。でも、お客さんがこんなに笑って、楽しんでくれたからいいじゃないですか。」



確かに、
これが、じゃあ
どっぱずしの公演だったら
静馬さんだって
「なんで俺の台本こんなに変えるんだよ!まんまやれば良かったじゃねーか!」
と思うに決まっている。

だから俺も
自分で作品に自信があったにもかかわらず
本番は、力が入って緊張した。
はずしたらどうしよう。
俺が面白いモノが
みんなにはまったくつまらなかったら・・・。




なので、初日は
自分が前説を買って出た。



前説ではずしたくない。
前説で寒いと、
芝居全体の期待値が下がる。


俺は前説の予定は
当然なくて、
自分から清水さんにお願いして無理矢理出させて貰った。

「それは駄目です」
って言われたらどうしよう・・・とも思っていた。




でも。
清水さんはやらせてくれた。



とにかく
お客さんの気持ちをまとめよう。
ステージに向けさせよう。



何に食いついて、
何を楽しみにしているのか、
前説の場に立って調べよう。



お陰様で、
初日は、拍手をもらうほどに
前説で盛り上がってくれた。







そんな
領分を越えたはずの
いくつかの出来事。



でも
全てはお客さんのため。



目黒真直の
「僕はお客さんのためです!」



この叫ぶシーンは。
この台詞は。


自分が
プロの仕事の中で
どこか妥協をしてしまう瞬間があったりするときに、
自分を戒めるための



自分へのメッセージです。




まだ続きます。
一回書いたけど、
江口とかのことで書きそびれもあるし、
まだあるなー。




※写真は、演技基礎WSのあとの勉強会!
キャプテン佐藤が復活!東京セレソンの杉田吉平さんも!