ベラ・レーヌ・システムと恩師達 | IKKANのオフィシャルブログ「IKKANのKAIJIN MANIA」Powered by Ameba

ベラ・レーヌ・システムと恩師達

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『ベラ・レーヌ・システム』
という本です。岡田正子さんが書きました。

ベラ・レーヌ・システムとは演技の訓練方法の一つ。
ベラ・レーヌさんがフランスで教えてらっしゃったスタジオで、岡田正子さんが習っていたもの。
俺は19歳の時にテアトルエコー俳優養成所で初めて教わってから、もう20年になるおつきあい。

俺は高校時代から、ナチュラル演技が好きだったもので。
演劇での演技よりも、映画での演技の方が好きで。
演劇が好きだったけれども、映画監督になりたかった。
映画部はなかったので、演劇部だった。
映画なんてまったく作り方も知らないから、舞台演出家になろうと上京した。

ぶっちゃけていうと、北海道から東京に出てきて、いろんな劇団の芝居を観ても、
演技のリアリティやナチュラルさだけを観れば、大人の演技もたいして不自然なモノだなあと感じていた。不自然な芝居が嫌いで、様式美系統の芝居は好きになれなかった。それが歌舞伎だったとしても。ミュージカルすらも。その不自然な演技が一つの芸術であることは確かなんだろうけど、俺は好きじゃなかったのだ。
もっと「そこに自然に存在する舞台」。そういうものを作りたいなと、高校時代から一貫して思い続けてきた。

裏方の学校で色々技術を学んでいく中、「演出家になるからと言って、俳優に関してももうちょっと学ぶべき事があるだろう」と。そう思った頃テアトルエコーの俳優養成所に入った。テアトルエコーを選んだ理由は特になく、願書の締め切りが間に合ったのが、テアトルエコーだけだったのだ。

出会いはそこだった。
素晴らしい講師の数々。
東京で、裏方の専門学校に入ったとき、専門学校出身の講師が何人も居て「この学校で学ぶべきモノはないな」と半ばあきれかえって、なんなら「東京ってレベル低い!」って10代の俺が思っていた。

そこで尊敬する講師が続々と現れた。

岡田正子(演技講師)
宮本貞子(声楽講師)
川和孝(日本語講師)

川和孝さんは日本語のアクセントを語らせたら右に出るモノはいない大御所。
紀伊國屋書店で売っている日本語発声練習本は、川和先生のしかないでしょう。
自分が台詞を喋るときには、今でも必ず川和先生のアクセントが頭の中を巡ります。


宮本貞子さんは、こまつ座の歌唱指導をなさっている方でした。
こまつ座とは、先日お亡くなりになった大作家、井上ひさしさんの作品を上演する劇団です。
井上ひさしさんはテアトルエコーで舞台作家デビューをされました。

井上ひさし「日本人のへそ」で舞台脚本デビュー。

日本人のへそ(1969年初演 テアトル・エコー。熊倉一雄演出。1977年須川栄三監督で映画化)
表裏源内蛙合戦(1970年初演 テアトル・エコー。熊倉一雄演出)
十一ぴきのネコ(1971年初演 テアトル・エコー。熊倉一雄演出)
道元の冒険(1971年初演 テアトル・エコー。熊倉一雄演出)
珍訳聖書(1973年初演 テアトル・エコー、熊倉一雄演出)
↑以上、ウィキペディアからの抜粋。

テアトルエコーが、熊倉一雄が育てた舞台脚本家と言っても過言ではないでしょう。
その「日本人のへそ」は、今年テアトルエコーで再演されます。
追悼公演ということではなくて、公演が決まってからの惜しいでき事でした。合掌。

そんな井上ひさしさんの劇団の歌唱指導です。
とても芝居を大切にする歌唱指導をしてくださいます。
もうこの、宮本さんという人から学んだことは唄だけではなくて、芝居に対する姿勢なども半端無かったです。

そして岡田正子さんです。
フランス演劇クレアシオンの代表です。
http://frenchdramacreation.com

宝塚などでも教えてらっしゃった人で、この人のベラ・レーヌ・システムを学んだ事で俺の中の演技についての考え方が明確になりました!

この訓練で、よりいっそうナチュラルに見せる事が楽になってきたというか。
同じクオリティの演技を繰り返して魅せることが楽になったというか。
もう、演技を志す皆さん。1回習ってください。
今度は6月に上級コースってのがあるので、一度習った方は是非。
うちの演技基礎でもちょいちょいベラ・レーヌ・システム初級を取り入れてます。うちで習った人も上級コース連れて行っていいですか?と岡田先生に言ったら、「IKKANの教えた人ならいいわよ」と言ってくださいました。なので、マジで是非。

ベラの本が欲しいという人が「ベラ・レーヌ・システムの本が売り切れているんです!」といってきました。それがもう何人も何人もいて。何だろうと思って。
ネットで調べると、古い情報のWebページが残っていて、新しいリンクが張られていないんだと言うことに今日気づきまして。

紀伊國屋書店みたいなところでは売っていなくて、岡田正子先生の直接販売です。自費出版です。
2000円+送料です。
是非気になった方は!
ただ一つだけいえるのは、一度ベラ・レーヌ・システムを習ってみた方がよいです。
そういう本です。
習った後に読んだ方が明快です。




そんなわけで、ええと。
俺の恩師たちの話でした。




したっけ!