珍しく繕い物をしようと思って

裁縫箱を出した。


針に糸を通して〜、


糸を通して〜、


あれ〜、


通らない。


何度も糸はしを切り直して


ようやく通した。


いやでも老眼を意識する。


ふと、私の祖母を思い出した。


私が小学生の頃、


祖母の部屋に行くと必ず


針に糸を通しておくように頼まれた。


いっぺんにありったけの針に糸を通して針山に刺しておく。




少し長めで糸を切る。


そうすると祖母は


「下手の長糸っていうだぞ。」

と、言った。


縫い物をする時糸が長いと絡まってぐちゃぐちゃになる。

それをいったんだと思う。


その言葉と


私が針に通した糸をみて目を細めで大袈裟に誉めて感謝してくれたことを思い出した。


多分、あの時の祖母は今の私くらいの年齢だったと思う。


去るものは日を持って疎し。


とはいうものの、

ふとした時に見送った親族や知人のことを思い出す。


そんな時、私の思い出の中ではまだみんな生きているんだな。

と、実感する。