このマニュアルでの「助け合い」の考え方。
当マニュアルは、災害発生直後から避難(被災)生活が始まるまでの約72時間を「自分」が生き残ることを想定しています。
災害時、助け合いは当然必要です。しかし、いつくるか分からない余震(ひょっとした次にくるのが本震かも)や津波、火災など、最初の災害を運よく逃れたからといって決して安全ではありません。そのような状況下で、他者を助ける行為を推奨することは、自らの生命を危険さらす可能性が大きい為「生き残り」の定義から外れるものです。
マニュアル作成委員には、防災消防の専門家や阪神大震災の被災者もいます。彼らの経験を元にすると、「助けての声が聞こえたが火が迫っていたので逃げた」、「初期消火以上は専門知識が必要」、「建物の状態は見た目でわからない」となり、「助けなさい」と記すことは、自分が生き残るための行動が取りにくくなってしまう危険があると考えました。
災害の現場は非常に厳しいものです。まず「自分」や「自分の家族」が生き残ることが大切です。各自が生き残るすべを得ることができれば、それがおのずと助け合いにもつながっていくものでしょう。以上が、当マニュアルでの「助け合い」の考え方です。
0.三日間完全生き残りマニュアル(地震版)原案
0.三日間完全生き残りマニュアル(地震版)原案
まず、「はじめにお読み下さい 」をご覧下さい。
災害発生直後から約3日間生き残るための行動マニュアルです。
これは原案で、まだ未完成のものです。皆様からのご意見を広く募集します。
各ステップごとに一つの記事となっておりますので、そのステップについてのご意見、ご質問、アイデア等はコメント欄にご記入下さい。
よろしくお願いします。
※見方
マニュアルの大きさはカードサイズとなり、折りたたみ携帯できる物を考えています。
赤文字の題名以下は、マニュアルに記載されます。災害発生時は多くの情報を読み取るよりも、一言で行動指針がわかるようになっています。
青文字の備考以下は、災害時に役立つ知識として知っておくべきことです。同時にマニュアルを理解するために必要な事項でもあります。
1.地震発生
1.地震発生
(0分~数分)
まず落ち着け
・揺れは必ず収まる
身を守れ
【備考】
東南海・南海地震は約2~5分間揺れが続くと想定されています。
行動が可能であれば、身を守るためには以下のような事が有効と言われています。
・頭を守る
・倒れやすいものから離れる
・腰を下ろす、自分から倒れておく
2.揺れが収まった
2.揺れが収まった
(~5分)
頭、足を保護
脱出口の確保
・外には飛び出すな
【備考】
室内でも落下物やガラス片などの危険があります。身近な物で頭、足を保護しましょう。
・頭の保護はクッション、カバン、バスタオルや服、雑誌などでも
・スリッパか靴を履く
脱出口は出来れば2カ所以上確保しましょう。
外に出る時は、瓦やガラス片に注意しましょう。
3.避難準備
3.避難準備
(~20分)
家族の無事を確認
火元の確認
・ガスの元栓を締める
・ブレーカーを落とす
さあ避難しよう!
【備考】
日頃からブレーカーの場所を家族全員で知っておく
避難時の服装
・頭を保護するもの
・化学繊維よりも木綿の被服
・長袖、長ズボン
・軍手、手袋
・はき慣れた底の厚い靴
・荷物はリュックで必要最小限に
避難用品
※服や荷物は取りに戻れます。状況によっては、最低限の準備ですばやく避難することが命を守ります。
5.避難所へ
5.避難所へ
(~1日)
一人の行動はできるだけ避ける
危険な場所は避ける
・狭い道
・倒れる恐れのある場所 (壁際・自動販売機など)
・ビル、看板、川、用水路
【備考】
移動時の注意
・なるべく道の中央を歩く
・切れた電線などには近づかない
・ガラスの多い建物の近くを通る時は頭上注意
自宅付近以外も、職場などよく行く場所付近の避難所を、日ごろから調べておく
6.避難所生活
6.避難所生活
(~3日)
必要物資を確保しよう
・最低限3日は各自が用意した食料や水が必要
正しい情報を集めよう
・デマに注意
助け合って生き延びよう
【備考】
デマや悪徳商法があります。
・「もっと大きな地震がくる」「違う避難所には救援物資がある」
・物資配給を装い名前などを書かせ高額商品(布団など)の契約をさせる。
家族が3日間生活するのに必要な物資の量は?
可能ならば、風呂などに水を溜めよう。
★STEP-01「基礎知識2」
講師紹介
行政の防災担当職員。災害救助現場、第一線での活動を経て現在の役職に就き、緊急時対応に必要な専門的知識・技術・経験が豊富。災害についての生きたご意見番といえる。
前回に引き続き、専門家としての視点からマニュアル作成にあたっての心構え、特に避難時に注意すべき点について話して頂きました。
大前提として災害から身を守るためには、「事前準備」が大切です。シートベルトをする様に、自動車保険に入る様に、日本で暮らしていく上で当たり前の事として「災害に備える」必要があります。被災には必ず要因があります。それを減らし運良く生き延びる事ができたという前提で、避難時の注意について説明します。
災害時の注意点として語られるのが、火元についてです。「ガスの元栓を締め」「ブレーカーを落とす」。あなたの家のブレーカーはどこにありますか?通電火災を予防するためには普段からブレーカーの場所を調べておき、災害時には必ず「切る」という対処をして下さい。
そのタイミングですが、昔は「何はともあれ、一番に」と言われていましたが、現在の環境で言えば、「まず身の安全を確保したのち、避難前に・・・」が正しい対処といえるでしょう。
では、避難する際は?
津波浸水地域では、一目散に安全な所へ逃げる必要があります。それ以外の地域では、夜などの視界が悪い時、できるだけ近くの広い空き地などにひとまず避難します。その後、明るくなってから避難することが良い場合もあります。崩壊や崩落による危険はもちろん、水たまりに電線が入ることによる感電も考えられます。災害時には悪い偶然が重なるものです。最悪のケースを想定することが大切でしょう。
そして、移動の際はできるだけ道の中央を通り、壁際を避けるようにして下さい。
次に火災ですが、地震災害には火災の危険がつきまといます。徳島市内でも、道路が狭く、住宅が密集している等、特に火災に注意が必要な地域が数カ所指定されています。が、その他の地域でも充分注意する必要があります。素人が起こってしまった火災を止めることは、非常に困難です。できるだけ逃げる。近づかないようにする。を徹底して下さい。