良子さん(仮名)と恵子さん(仮名)

2人はともに40歳、同じ会社で働く

パートさんです。会社の近所に最近

引っ越ししてきたバイトの正雄君

(仮名)が2人に話しかけます。

 

「ボクの部屋、出るんですよねぇ~

オバケが。帰るのが怖くて」

「ええ、オバケ?」良子さんと、

惠子さんは顔を見合わせます。

「・・・・帰り、2人で、ちょっと

部屋に来てもらえませんか?」

「ええ!私たちが行ってどうすんの、

私ら霊感とかないしさ。でも、まあ

いっか、引っ越し祝いにケーキでも

買ってあげるよ」

良子さんと惠子さんは正雄君の部屋に

向かいました。部屋の近くまで来た

ときに惠子さんの知り合いのA子さん

(仮名)に会いました。

「あら、惠子さん、どこいくの?」

「A子さん、実は、これこれしかじか

かくかくほれほれで」

「え、オバケ? 私も行きたい」

「いいですよ、多い方が心強いし」

正雄君の許可を得てA子さんも同行

することに。

 

正雄君のアパートに着き4人は部屋の

中へ「おじゃましま~す・・・あら、

男の子なのにずいぶんきれいにして

いるじゃないの」

女子三人は部屋を見回し感心します。

「ははは、ありがとうございます、

でも、出るんですよ、あの窓のところ

に知らない人が立つんです。

「オバケねぇ・・・ハサミある?」

A子さんは部屋の中を見回しながら、

なぜかハサミを要求しました。

「ありますよ」正雄君がA子さんに

ハサミを渡すと、「このカーテンが

いけないのよ」と言ってA子さんは

カーテンをジョキジョキと切り始め

ました。

「ちょっとA子さん何しているの?」

周囲が仰天している間に、A子さんは

あっという間にカーテンの下半分を

切り落としてしまいました。

「な、な、な、なんてことするの?

帰りましょう、ごめんね正雄君、この

埋め合わせは後日するから、A子さん

帰りましょう」

 

次の日の会社で

「おはよう惠子さん」

「あ、良子さん、大変なの、昨日の夜

A子さん、亡くなったの」

「ええ、昨日、会ったA子さん?事故

かなにかで?」

「違うの、部屋で1人で亡くなっていて

原因は不明で心臓発作じゃないかって」

「でも、A子さんおかしかったわよね、

いきなりカーテンを切ったりして」

良子さんは首を傾げます。

「でも、A子さんてそんな人じゃない

のよ、常識のある人で、あんなことを

する人じゃないの」

惠子さんは首をブンブン振りました。

 

「正雄君にはA子さんが亡くなったの

黙っていたほうがいいわね」

「そうね、そうしましょう」

2人は小さくうなずきました。

正雄君はというと、部屋にオバケは

出なくなり、彼はカーテンを変えて

何事もなくあの部屋で暮らしている

そうです。

 

部屋のオバケ

カーテン

A子さんの死

何がどうなっているのでしょうか?

ただの偶然なのか?

それとも部屋のオバケがA子さんに

憑りついたのでしょうか?

なんともようわからないお話でした。