日曜日、朝、4時半に走り始めた。

7時に帰ってきて、7時半に家を

出て会社に向かった。

疲れる日曜日だった。

 

走り始めて1時間半くらいしたとこで

道に何か落ちていた。まだ薄暗くて、

なんだかよくわからない。

10m先、なんだ?黒い塊

5m先、黒い猫か?

3m先、何?わからない

1m先、もしかしてカツラ?

 

それはセミロングくらいのカツラ。

長さからすると女性用、きれいな

ツヤツヤのちゃんとしたカツラが

落ちてた。

 

なんで、こんなものが落ちてる?

考えるに・・・・・酔って、

転んで、そのときに頭からスポッ!

気がつかないで、そのまま歩き

出して、カツラが残されたと。

 

うちのヨメさん、抗がん剤の3回目

となったら、髪の毛が抜けるのでは

と思っている。本人もカツラが、と

言っていた。

 

「拾うか」と、一瞬思った。

ヨメさんが抗がん剤投与してなければ

そんなことは考えもしないけど。

カツラってきっと高額なんだろな。

 

立ち止まったけれど、また、そのまま

走り始めた。見てはいけないものを

見たような気もして。カツラが何かを

言っているような気もしたし。

拾って警察?

いや~、ちょっと持ち上げたら、下に

目があって、「きゃあああ!」とか

そんなホラーなことを想像したりして

見なかったことにして走った。

カツラはやはり拾う気にはなれない。

 

会社の女性に、自分のカツラを貸して

あげようかと言われた。その人はうち

のヨメさんとも面識があるので、もし

よければ貸してあげると。

値段を聞いたら26万円だって。

 

もしかして、道に26万円が落ちていた

のかもしれない。

拾ったら26万円

でも、もしかしたらワナかもしれない、

拾ったら憑りつかれるとか

ありえない話ではない。ホラーにはよく

あるパターンだし。

 

とにかく今は、仕事しよう。