こんにちは!ひのははです。
昨日、職場の人ががんで亡くなりました。
1年くらいの闘病生活で、あっという間でした。
30代前半ということもあって進行が速かったようです。
がん発症が若年化する傾向を身近に感じました。
さて、私と全く同じタイプのがんで亡くなった小林麻央さんの遺児・勧玄くんの千両役者ぶりが報道されています。
私は歌舞伎より能・狂言に興味があるのでよく知りません。
でも、昨今の歌舞伎はチケットもなかなか手に入らず、その人気は目を見張るものがあるようです。
伝統芸能に人気が集まるのは、歓迎すべきことです。
ただ気になることがあります。
それは、歌舞伎の舞台芸術そのものよりも「妻をがんで亡くした歌舞伎役者とその幼子」に対する興味、哀れみ、同情といった感情が観客の前面に押し出されているのではないかということです。
「早くに母を亡くしても、けなげに芸の道に精進する姿」に感動するのは、当然多くの人に沸き起こってくる感情です。
とはいえ、それだけではむしろ役者にとっても不幸なことに思えます。
「まず、芸を見てよ!」とならないでしょうか?
どんな人にも、それぞれのライフヒストリーがあります。
作品を生み出した芸術家のライフヒストリーに触れることで、作品そのものに興味を持つきっかけにもなるとは思います。
ゴッホの耳切事件なんて、その典型ですよね。
でもそれはあくまできっかけで、作品そのものを味わう力をつけていかないと鑑賞は薄っぺらなものになるのではないかと危惧しています。
それに、伝統芸能が一時のブームとして消耗品のように扱われるのも心配です。
友人も先日「人生初の歌舞伎鑑賞に行ってきた」と言っていました。
役者の個人的な事がきっかけとなり、本物を見に足を運んで「やっぱり舞台で見るといいいわね。また行きたい」とつながることが同情という名の感動を与えてくれた人への供養にもつながる気がします。