こんばんは!ひのははです。

連休最終日を東京ステーションギャラリーで過ごしました。

忘れ去られてしまった絵師・横山華山とはどんな作品を残したのか?

何だか気になります。

だって、夏目漱石は『坊ちゃん』にだけでなく、『永日小品』という短編にも「印譜をしらべて見ると、渡辺崋山にも横山華山にも似寄った落款がない。」と横山華山を登場させているのです。

漱石先生が一度ならず二度も作品に登場させ、それなのに今はほとんど知られていないなんてかえって興味をそそりますよね。

 

この展覧会のチラシに「みればわかる横山華山」と書いてありますが、この絵師はいろいろな画風を持っていて器用だったことが見てすぐにわかります。

蕭白の画風を慕ったとされ、曽我蕭白の《蝦蟇仙人図》

 

と華山の模写が並べられていました。

蕭白へのリスペクトが感じられます。

あっさりとした《夕顔棚納涼図》は、国宝になっている久隅守景の《納涼図屏風》

 

をきっと目にしていて華山なりにアレンジしたと思われます。

この作品は大英博物館に行ってしまっています。日本にあったら重文くらいにはなっていたのかな~などと想像します。

 

ほかにも《雪中鳥図》は河鍋暁斎風、《富士山図》は秋田蘭画風と実に多彩です。

 

私が一番気に入ったのは、京都の紅花問屋の注文で描いたという《紅花屏風》

 

です。

紅花がどのように商品として出荷されていくかが叙情的に描かれています。穏やかできれいな画面ですよ~。

当時の産業を知る上でも面白い資料ですね。

 

様々な画風が見られて楽しい分、横山華山といえばこんな絵というイメージが単純に湧きにくい絵師ですね。

そして、海外に流出した作品も少なくないことが、文豪・夏目漱石も気にしていたにも関わらず今では忘れ去られた理由でしょう。

いわば器用があだになってしまったようですが、今回東京ステーションギャラリーの系統立てての回顧展でかなり認知度が上がるのではないでしょうか。

 

なお、東京ステーションギャラリーでは、ガラスケースの奥に離れて掛軸が展示されるのではありません。

一幅ずつガラスケースに展示され、すごく近くで鑑賞できる作品も少なくありません。

日本美術としては、とても鑑賞しやすいですよ。

まだ始まったばかりの展覧会で休日なのに混んでいなかったのも、鑑賞のしやすさにつながりました。

気になっている方はぜひお早めにどうぞ!