こんばんは!ひのははです。

年度末という案も出ていましたが、結局2019年4月30日をもって平成が終ることに決まりましたね。

平成の世に金堂を再建しよう!と、奈良・興福寺の金堂再建が始まったのが2010年でした。落慶予定が2018年10月ですから、何とか今の元号のうちに間に合うようです。

 

さて、この興福寺から最近まで運慶展として東京に無著・世親や四天王が来ていましたが、何といっても興福寺で一番有名なのは阿修羅像ですよね。

仏像が好きという人は以前からもいたわけですが、2009年の「国宝 阿修羅展」をきっかけに、仏像好きのすそ野が広がりました。今に続く仏像ブームは、阿修羅によるものといえるでしょう。

 

阿修羅は、元々はインド神話の悪神でした。帝釈天を相手に荒々しく闘いを繰り返していたのです。

 

永井豪の漫画「マジンガーZ」に出てくる悪役のあしゅら男爵なんて、このイメージでしょうか?

 

阿修羅は釈迦にさとされて仏教に帰依し、仏教の守護神となりました。

阿修羅像というと一般的に興福寺のものを思い起こすため美仏と思われていますが、実は興福寺のものが特別なんです。

三十三間堂の阿修羅像(国宝 鎌倉時代 木造)は恐ろしい形相をしています。

 寺院としては興福寺より有名な法隆寺ですが、阿修羅像があることはあまり知られていません。それもそのはず。五重塔内に小ぶりの阿修羅像が鎮座していますが、興福寺のものと比べるのがかわいそうなくらいぶさいくなのです。

 

興福寺の阿修羅像は、正面の顔は憂いを帯び、内に秘めたものを感じさせてくれます。そして、向かって左側は悔しさをにじませているのか、それとも何かを決意したのか唇をかみしめています。右は何かに迷っているようなややうつろな表情に見えます。

こうした、見る側の気持ちで色々と想像できる複雑な表情は、この阿修羅像の魅力の一つですね。それに、この像の発注主である光明皇后が亡き息子を思って作らせたからこそ、子どもから青年になる過渡期のゆれうごく感じが見事に、それも美形として表現されているのかもしれません。

 

先月から相撲の暴力事件がマスコミをにぎわせています。毎日このニュースを聞かされているとうんざりしますが、少なくともモンゴル人力士同士の“けんか”と片付けるのはどうかと思います。頭が割れるほど日馬富士から殴られても、決して暴力で応酬しなかった貴ノ岩をほめたいです。闘いの神が仏教に帰依して悟りの穏やかな表情になったように、相撲道を理解して力に訴えなかった品格に敬意を表したいですね。