こんばんは!ひのははです。
早朝降っていた雨が上がったので、今日から東京藝術大学大学美術館で始まった、
シルクロード特別企画展「素心伝心-クローン文化財 失われた刻の再生」
を見てきました。
いやぁ~、五感でシルクロードを体験できる満足度の高い展覧会でした。
3階の入り口から入ると、まず真正面に法隆寺釈迦三尊像(クローン文化財)があります。
ここでは読経の声がかなりのボリュームで流されているだけでなく、法隆寺をイメージした香り(つまり、お線香っぽい白檀の香り?)も漂っています。この香りは、小川香料https://www.ogawa.net/index.phpの特別協力ということで本格的な香りですので、周囲の壁画
と相まって本当に法隆寺を訪れたような気分にさせてくれます。
高句麗古墳群江西大墓《四神図》
は、奈良のキトラ古墳とそっくりです。北朝鮮の緊張が高まっていますが、こうした文化の伝播を思い起こして、何とか仲良くできる方法はないものかと感じます。
平山郁夫シルクロード美術館
http://www.silkroad-museum.jp/
からの展示である菩薩像の頭部
は、仏像の源流を感じますね。いかに仏教が、ギリシャ・ローマの文化と融合したかを感じ取ることが出来るお顔立ちです。
ここでは、アフガニスタンをイメージしたという、なんとも言えない心くすぐる甘い香りがたゆたっていました。。
かつてアフガニスタンから流出していた壁画断片が、再現クローン文化財として用意され、触れられるようになっていました。作り物とはとても思えない質感です。
たとえ本物ではないにしても、そっくりに作られた展示物に触れられるのはなかなかない機会ですね。
ミャンマーのガバン遺跡にある寺院壁画は、
現在でもバリ島へ行くと見られる伝統舞踊の様子とそっくりです。興味深いですね~。
芸術と科学技術の融合により、クローン文化財という高精度な複製品に触れられる満足度の高い展覧会でした。
あえて注文を付けさせていただくなら、
1.写真撮影可能なものと不可のものが入り混じっているので、不可の表示ははっきり大きく示して欲しい。
2.クローン文化財制作動画の放映場所に椅子がなかった。高齢者や障害者、そして私のような病人のことを考えて、座って見られるようにして欲しかった。
3.動画放映のブースの両面に解説パネルが貼ってあり、パネルを読みたい人と動画を見たい人が入り乱れていたので、配置の工夫をして欲しかった。
という3点でしょうか。
もちろん、すごくいい展示だったので、かえって少ない問題点が目立ってしまったように思うのですが。
展示のごあいさつの最後に「シルクロード美術の道が円環を描き、新たに脈動することを願っています」と結んでいました。大いに同感です。不安定な世界情勢だからこそ、多くの人がクローン文化財を見ることで同じ思いを持てたら良いと思いました。
あまり宣伝されていないようですが、足を運ぶ価値“大”の展覧会でした。