若い頃の苦労は買ってでもしろと人は言う

失敗が人を成長させると成功者気取りの大人が言う

渋谷のスクランブル交差点に立ちつくしていた

情けなくて甘酸っぱくて切ない

感情の地層が立ち上がる

問いたい

失敗って、苦労って

そんなに昔話みたいに語るものですか

そんなにいいものですか

ほんとにそれは失敗や苦労なんですか

ひりひりして

鈍い痛みが骨の髄にこだまして

重さで腰が砕けそう

向き合うことは生々しい苦痛そのもの

そんな生き方を人に勧める

それを優しさと言うのですか

真実は語られない

真実なんて語れない

努力をしても報われないと嘆く人がいる

努力をしたのに報われないと世の中を恨む人がいる

それはもったいないことだと思います

そもそも努力は報われるものではありません、きっと

努力が報われるのではなく

報われる努力が実を結ぶのだと感じます

言葉遊びではありません

心に耳を澄ましてください

努力をすることは尊い才能ですが

勝負は何に対して努力をするかを決めた時点で

決まっている

何にどうやって取り組むかを見極める嗅覚

これが報われる努力には必要なのかなと

思い通りにいかない夜に

つぶやいてみる

何かをやりたい、何かになりたい

そう思って歩み始めた道かもしれないけど

遠回りして遠回りして

道に迷って、また遠回りして

そうしているうちに

遠回り自体が道になって

遠回り自体が人生になって

遠回りの道端にも花が咲いていて

遠回りの道から眺める景色も清々しくて

思い通りにいかないのも思い通りの生き方のように

軽やかに朗らかに

歩める時がくるかもしれない

深夜にパソコンの画面を眺めていたら

ふと死後の世界が脳裏をよぎった

そこは色のない世界

音のない世界

思考のない世界

真っ暗ななかで、どちらが上でどちらが下かもわからない

生温かい空気の流れを感じながら

どこからが自分で、どこからが自分でないのかわからずに

なすがまま、なされるがままに

存在しているのかどうかもわからずにいたら

生温かい空気の流れになっていた

生まれる前と同じ感じ

僕のふるさとは

生温かい空気の流れの中

とってもとっても居心地のいい

生温かさに帰ってきました

大きなお寺のお堂に立って

高い高い天井

どこまでも広がる畳の間

巨大な柱を見上げていたら

昔々、僕がまだ自由に世界を飛んでいた頃の記憶が蘇る

からだがふわっと軽くなり

一回二回、勢いをつけて背伸びをしてると

何度目かにからだが宙にびゅんと引き抜かれ

びゅんびゅん空気を感じて飛び回る

前転も後転も自由自在

お堂の壁際にそって飛んで次の瞬間急降下

畳の直前で急上昇

からだが勝手に飛び回る

心のリズムにあわせてぐるんぐるん

からだがほてって飛びまわる

わぁいわぁい

世界はこんなに軽かった

遠い遠い昔のお話

どんなに自分を辞めようと思い悩む夜があっても

朝になれば何事もなかったかのように自分を演じる日々の繰り返し

どこかで破滅を望んでいるのかもしれない

人は皆

何かになりすまして

何かを演じて

生きている


もう終わりだと思う

たくさんの優しさや夢を託してもらって

全部背負い込んで全部裏切って

情けなくて不甲斐なくて切なくて

社会から拒絶され自分から拒絶され大切な人たちを拒絶して

涙がぽろぽろぽろぽろ止まらなくて

どうやって生きていくのかわからなくなって

どうしたって生きていけなくなって

終電乗る気力も望みもなくなって

満天の星空のように銀座の街がきらきらきらきら

涙で万華鏡みたいにきらきらきらきら


涙も気持ちも枯れ果てて

朝まで烏が鳴くまで

とぼとぼとぼとぼひとりで歩いていた

なにもかも失ったのに

閑散とした明け方の銀座

ひとつの物語が終わって

次の物語のために家路につく

酔ったサラリーマン

煌びやかな女性

愛おしくて愛おしくて哀しくて

夢を無くしても望みを無くしても

生きてていいんだよ

生きていくものなんだよ

生きるってそういうものだよ

あの人の背中が教えてくれた


生きてていいんだよ

生きてていいんだよ

生きていくんだよ


ここ数日、胸のざわつきが治まらない

あまりにもまっすぐに世界を見つめる方に出会った

その姿は無防備で無垢で真白だ

陰謀や妬み、虚栄が渦巻くこの世界で

泥から咲いた蓮のよう

戦場に降り立つ仏さまを誰も切りつけることなんて出来ないのです

戦場で刀を振り回すことしか知らなかった

自分の心の貧しさを思い知る

こんな生き方をしている方がいる

それだけで嬉しくて切なくて愛おしくて

そして今日も刀を握る

これが私の道だから


鴨川のほとりに座って川面を眺める

涼しい音が世界を包む

パステルブルーの空と煌めくせせらぎの間を

萌黄色の葉っぱが気持ちよさそうに舞っている

これでいいんだよ

ゆっくりしっとり歩きやすいように歩けばいいんだよ

そう言ってもらった気がして

心がふわっと舞い上がる

あぁ京は鴨川永遠なり