誕生日のイベントとして、「ダイアログインザダーク」
に行ってきました。

ご存知ですか?

全くの暗闇の中で90分を過ごす体験をする施設です。

闇の中でのガイドさんは目の見えない方。
8人までがひと組になって、自分の白杖(はくじょう、と読む)を持ってから、
かなり暗いところで自己紹介。

人の顔の判別が出来ないくらいの暗さの中で、呼んで欲しい名前を宣言します。
(私はたえこさん)

暗がりで、ただでさえ曖昧な人格のエッジの骨をなす姓名が奪われると、

人の輪郭が一気に柔らかくなる。

あだ名の7人を確認したところで、完全に真っ暗に。

目はつぶってた方がいいのか、空いてたほうがいいのか?

空いてようが閉じてようが、そこに見えるものは全く同じ。(黒)

どう頑張っても見えないから、早々に見ようとすることを諦めます。
(ここで目の筋肉が緩んでいるはずだ)

白杖で床の質感や傾斜を感じながら、足首の角度を間違わないように歩くだけで必死。

これ誰?ナカジですー!

ここに段差があるよー

一例に並んでくださーい

一例って??

みたいなカルガモ集団。


私はいつも目を閉じてマッサージしてるので、

守られている前提での真っ暗な世界は非常にくつろげました。


気がつくと顎をあげて、スティービーワンダーみたいに身体を揺すっている。

これは実際に明るいところで大人がやったら駄目な動きです。

暗がりで始まったまさかの自分の動きを観察しながら、

全身で感じるために身体を緩めているのではないかと思いました。



そんな黒の中で手水鉢で手を洗い、お参りをし、おみくじを引き、

売店で甘酒を買って飲み、人の買ったスナック菓子を食べ、そして書き初め!!


「書道と習字の違い、わかりますか?お手本を見ながら書くのが習字。

だからこれは、書道ですー

硯がありますね?筆を回します。そのあと色紙を回します。

その間に私は硯に墨を入れますね」


硯(黒)に墨(黒)って。。。

皆、今年の一文字を書きました。上手く書こうにも、どうしようもない。

私は最後まで書きたい字を思いつかなかったので、丸と線を書きました。

90分は体感時間30分くらいで終わりました。

暗闇の中では時間の感じ方が違うらしい。

もっとここに居たかった。皆そういう顔をしてました。



明るいところで色紙を見せ合いましたが、ひとり、筆に墨をつけそこねたまま書道に入り、

完璧に真っ白の色紙の人がいて、それもまた面白かった。

見えないから仕方ない。




この体験に入ると、知らない人に触るとか、距離が近いとか、

そんな概念が瞬時に無くなります。



見えない状態に慣れていない私たちは、無力にも今ここを受け入れることしか出来ず、

この場を自分の思い通りに作り上げようという感覚が無くなる。楽になる。


すると皆、非常にやさしくなりながら、本来の個性がソロソロと顔を出して来ます。

子供同士の親切に似てるかも。

大丈夫?誰か知らないけど。

つかまってもいい?誰か知らないけど。

暗闇でも謝ってばかりの人もいる。私はついつい人の背中に触れるたび、

肩甲骨の癒着具合を確認してしまう。



力を抜いたら、世界はけっこうやさしい状態になる、

これが私の感想でした。


まだ目の見えない赤ちゃんはこういう感じで夢を見ているのではないかと思った。


企業の研修や打ち合わせにも使われているそう。


長くなったけど、皆様、是非行ってみてくださいな。