そもそも僕は起業という概念は持ち合わせてなかった。
何故起業しようと思ったかと聞かれると決まってその前に所属していた仕事の話しをしなければならない。
僕が上京という道を選んだのはとある専門学校に入るためだ。その専門学校というのがアナウンサーやタレントを目指す専門学校だ。
ボイストレーニングや喋り方、仕草や演技を指導してオーディションを受ける。受かれば仕事を得るし、落ちればもちろん仕事はない。
普通専門学校であればなんらかの専門知識を勉強したのちにそれをフルに活かせる職業に就こうとする。
もちろんそれは就職活動というオーディションがあるけれど一度受かれば大抵の場合安定して給料を得ることができる。
ところが僕が行った専門学校と言うのは、それ自体は悪くないんだろうけど、行かなくても仕事を得る事ができる分野でもあった。逆を言えばその専門学校に行ったからと言って必ず卒業後に安泰な仕事が待っているわけではない。
電車などによく就職率98%などと書いてる専門学校の広告を見る事があるけど、うちに関しては皆無だろう。つまり全員卒業後はフリーターになるわけだ。
もちろん中には辞めていく者や、逆に事務所に入ってバリバリ仕事をする人がいるけどもそれは就職と呼ぶのは難しい。タレント業とは延々とフリーターをやっていくものなのだ。
僕も当然普通に卒業してタレント事務所に入ってたまに仕事をやってはいたものの大した仕事は入ってこずアルバイト生活をしていた。
事務所からオーディションの話があると自費でオーディション会場に行きオーディションを受ける。もちろん通れば仕事だが、大した仕事はやってこない。むしろそのほとんどが単発の仕事なのでそれが終わればまた無職だ。
そんな事をやっているともちろん生活は安定するわけがないのでアルバイトをせざるを得ない。こういうサイクルで日々の生活を送っていた。
次回に続きます。