児童小説「バッテリー」の作家あさのあつこさんからのコメントを頂きましたニコニコ
許可を得て掲載します。

「死刑でいいです」、今、読み終わりました。
何とも言えない気持ちになっております。
姉妹殺人事件についてはむろん知っておりましたし、犯人が若い男であり間もなく逮捕されたことも、犯人が未成年のとき母親を殺害したことも知っておりまし
た。しかし、恥ずかしながら、すでに刑が執行されたことは知りませんでした。
わたしとしては、ただの猟奇的名事件、どこか心を病んだ若者の凶行としか捉えていなかったのです。
そのうらに、こんな深い、暗い人間の人生があったなんて考えてもいませんでした。
いえ、考えようともしなかったのです。自分の想像力の射程の短さに唖然としました。
山地青年の過去に思いを馳せながらも、同時に死刑により毟り取られた彼の未来についても考えさせられました。
読んだ者に思索をしいる力のある一冊でした。現実を真正面から抉り出すルポの力だと思います。
 山地の「本音」を聞けず、死刑が執行されたのは本当に残念でならない。
池谷さんの呻きのような一節がいつまでも心に残ります。
この国の暗部と人(わたしも含めた)の暗部を撃つ一節ですね。
  あさのあつこ