師走の夜明けは遅い。


カーテンの隙間から朝日が差してきても夏ほどの爽やかさは感じられない。
部屋の寒さが起床する力を残らず奪ってしまったかのように僕はベッドに拘束されていた。

目を開けて目覚まし時計に手をのばす。


「もう九時か…」


読みかけの本を30分ほど眺め一限から大学に行ってる人のことを考える。

僕には縁のない話だ。
昨晩机に置き手紙を残して家を出た。

原付、本をあるだけ詰め込んだリュックと着替え二日分、それに寝袋となけなしのお金4万ほどが今の僕のすべて。


この旅は僕の負のエネルギーを燃料にして走っていく。


道行く車のヘッドライトが50mほど先の闇に溶けこみ怪しげな様相を呈していた。


同時にそれはこの道程が決して楽ではないということを暗示していた。