こんにちは!池下竣紀です。
画面の向こう側にいる顔も名前も知らない誰かに声を届ける仕事をしています。街の中でポスターを貼るのとは少し違います。広大なインターネットの海の中に小さな灯台を建てて暗闇を照らすような感覚に近いかもしれません。
世の中には素晴らしい商品や技術がたくさんあります。しかしどんなに素晴らしいものでも存在を知られなければ誰の役にも立ちません。まるで深い森の奥に隠された宝箱のようにひっそりと眠り続けてしまいます。私の役目はその宝箱を見つけ出し明るい光の当たる場所へ連れ出すことです。
インターネットの世界には毎日無数の情報が溢れています。人々はスマートフォンの画面を指で払うように次々とスクロールしていきます。その一瞬の出来事の中で立ち止まってもらうためには仕掛けが必要です。
たとえば検索窓に言葉を打ち込むとき人は心の中に小さな問いや悩みを抱えています。その問いに対してどのような言葉を差し出せば安心してもらえるでしょうか。ただ正しい答えを並べるだけでは不十分です。言葉の選び方ひとつで読み手の表情は変わります。
数字を見つめる時間も長くあります。どの道を通ってここへ辿り着いたのか。どの言葉で心が動いたのか。画面の向こう側の足跡をじっくりと辿ります。計算や分析というと冷たい印象を受けるかもしれませんが実はとても人間味のある作業です。足跡を分析することで人々が何を求めているのかが少しずつ見えてきます。
ロジックという冷たい骨組みに感情という温かい肉付けをする。このふたつが綺麗に合わさったときに初めて言葉は人の行動を変える力を持つようになります。探偵のように手がかりを集め画家のように情景を描くような感覚です。
街を歩いているときもカフェで隣の人が話しているのを聞いているときもアイデアの種は転がっています。人間が何に惹かれ何に共感するのかという問いには終わりがありません。だからこそこの仕事は面白く奥が深いのだと感じています。
誰かの悩みと誰かの解決策を結びつける橋をかけること。その橋がしっかりと機能したとき見慣れた景色が少しだけ違って見えるようになります。目に見えないインターネットの線を通じて人と人とをつなぐ作業はこれからも続いていきます。