イケメン戦国*謙信15 | 時をかける妄想BLOG

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幸推しOLのイケ戦議事録。好き勝手につっこみ騒ぎます(^o^)

ネタバレ注意。
主人公の名前は「かな」です。

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謙信「信長から……?」

文机に座ったまま、謙信は書状を受け取り内容をあらためる。
すると、みるみるうちにその表情に暗い影が走った。
家臣「あの、何と書かれていたのでしょう……?」
謙信「つまらない内容だ」
恐る恐る尋ねる家臣の前で、謙信の白い指が信長の書状をふたつに裂く。

家臣「左様でございますか…」
謙信「それよりも――」
謙信は話題を打ち切るように、傲然と告げる。
謙信「今宵の戦勝祝いは盛大にとり行うよう、申し伝えろ。功労者には、特に良い酒を振る舞ってやれ。俺は宴を欠席する。静かに酒を飲みたい気分だ」
家臣「かしこまりました。そのように手配いたします」

家臣が去ったあとで……
謙信は物憂げに、卓上の破り捨てられた紙片に指を這わせる。
――かなの返還を求める文面に、心を波立たせたまま。



(今頃、謙信様は宴をしてる最中かな)
一昨日、上杉軍勝利の報せが春日山城に届いたことを、幸村と信玄様が教えてくれた。
(謙信様も佐助くんも怪我ひとつないって言ってたし、明日にでも逢えるといいな)
ふわりと気持ちが浮き立ったその時、
誰かが牢に近づいてくる気配がして――

謙信「久し振りだな、かな」
「謙信様!」
柵越しに見る謙信様の姿に、思わず目を疑う。
「おかえりなさい!でも、今夜は戦勝祝いの宴じゃなかったんですか?」
謙信「だから、ここに来た」
「え?」

謙信様は手に持っていたとっくりを、ぐいっと私の前に突き出す。
謙信「俺の勝利を祝え、かな」
(祝うって…)
「一緒にお酒を飲むってことですか?」
謙信「不満か?」
「いいえ……っ、嬉しいです」
(まさか逢いに来てくださるなんて思わなかったから……)
慌てて首を横に振る。
謙信「では待て。今、そちらに行く」
謙信様は牢の錠を開け、足を踏み入れる。
謙信「この中に入るのも、久し振りだな」
「そうですね…」


-選択肢-
もっと… ◎


「もっとたくさん来て下さった方が、私は嬉しいです」
つい本心を口にしてしまうけれど、
謙信「……どういう意味だ」
(しまった…)
謙信様の表情を見て慌てて取り繕う。
「ええっと、深い意味はないです!」
(閉じ込めた相手を好きになるって、やっぱり大変なことなんだな…)

謙信様との関係の歪さをあらためて思い知らされる。
謙信様と私は向かい合う形で腰をおろし、
とっくりと盃、それから梅干しの入った器を並べた。
(あ、そういえば……前に幸村がおにぎりを差し入れてくれた時、謙信様秘蔵の梅干を使ったって言ってたっけ)

「謙信様って、梅干しがお好きなんですよね?」
謙信「なぜ知っている。お前に教えた覚えはないが」
「佐助くんと幸村から聞きました」
謙信「あのふたりか…」

謙信様は納得したように頷き、梅干しの器を指先で軽く叩く。
謙信「梅干しは酒のつまみに最適だ。常に気に入ったものを取りそろえるようにしている。梅干しだけでなく、今宵の酒も俺が日頃、愛飲しているものだ。俺の好みを特別に分け与えてやる」

(謙信様のお気に入りのお酒とおつまみか……嬉しいな)
好きな人の好きなものを共有できるささやかなぜいたくに、胸が甘く疼いた。
「ありがとうございます……!でも、本当に佐助くんたちや家臣の皆さんと酒盛りしなくてよかったんですか?」
謙信「宴はいつでも開ける。今宵はお前の顔が無性に見たくなった。だから来たのだ。ふたりきりで静かに過ごせるよう人払いも命じた」
「っ、そうなんですか…?」
謙信「ああ」
(謙信様の言葉って、時々、心臓に悪いな…ただでさえ、久しぶりに謙信様がそばにいてドキドキしてるのに)

「…お酒、お注ぎしますね」
謙信「……ん」
無造作に突き出された盃を、ゆっくりと満たしていく。
謙信「お前も飲め」
「はい。いただきます…!」
私の手からとっくりを取り上げ、謙信様が盃に注いでくれる。
(何だか、緊張してきたな)

「あの、このたびは……おめでとうございます?」
謙信「なぜ疑問形なのだ」
「すみません…。戦勝祝いなんてしたことないから、なんて言ったらいいかわからなくて」
謙信様は呆れたように盃を傾けた。
謙信「戦勝祝いと言うのは、形式的な話だ。お前はいつも通り、思うようにさえずっていれば良い」
(思うように、か…。そうだよね)
私も盃を傾けて、迷いと一緒にお酒を一口飲み込んだ。
息を吸い込み、素直な気持ちを言葉に乗せる。
「謙信様がご無事で、安心しました。本当はすぐにでもお顔を見たいって思ってたから…今日こうして訪ねて来てくださったことが、すごく嬉しいです」

少し照れながら謙信様に笑いかけると…
謙信「……思うように喋りすぎではないか?」
「そ、そうですか?でも、謙信様がそうしろと仰ったから…」
あたふたとしている私を見て、謙信様はふっと笑みを浮かべる。
謙信「――冗談だ」
(ん…)
謙信様の大きな手のひらが、私の頭に触れた。
優しく髪を撫でられてぎゅっと胸が詰まる。
謙信「お前の発言は、時として俺の思惑を軽々と越えていく」
(そんなふうに笑わないでほしい)
甘さと切なさがごちゃまぜになって、心の中でせめぎ合う。
(……人の気も知らないで)
謙信様の手が離れてからも、まだ触られた余韻が残っている気がした。

謙信「安土で酒を飲んで以来だな。こうして、お前と盃を傾けるのは」
「はい。あの時の幻の地酒、美味しかったですね」
謙信「そうだな。あの酒は俺も気に入った。あのあと、佐助に命じて越後に送らせたが…。安土で飲んだ時の方が美味く感じた」
「そうなんですか?不思議ですね…」
(そんなこと、あるのかな?鮮度の問題?)

謙信「ああ、不可解だ。今宵の酒も…」
謙信様は腑に落ちない顔で、盃を持ち上げる。
謙信「この酒は飲み慣れた越後の名酒だが、いつにも増して美味く感じる」
「え?どうしてでしょう…」
謙信「……知らん。共通点としては、どちらもお前とともに酒を飲んでいるということだが…」
ふいっと顔を逸らし、謙信様が呟く。
謙信「お前から酒を美味にする成分でも滲み出ているのではないか」
「ち、違いますよ……っ」
謙信「何を慌てている。本気で言っているわけはないだろう」
(冗談だったんだ…。真顔で言うから焦っちゃった)

謙信「感情がすぐ顔に出る女だ」
謙信様は物憂げに笑うと、盃の中身を飲み干した。
(何だか、私……謙信様に振り回されてるな。でも、それも嫌じゃないって思ってしまうのは惚れた弱みかもしれない)
気を取り直してとっくりを持ち、謙信様の盃を満たした。

「謙信様は、お酒を飲むのが早いですね」
謙信「そういうお前は、ずいぶんとのんびり飲むのだな」
「謙信様と同じ速さで飲んだら、あっという間に酔ってしまいます。それに、ゆっくり飲んでお酒を味わうのもいいものだと思います」
謙信「人の生は限られている。酒にしろ戦にしろ、愉しみはさっさと味わい尽くすが吉だろう」
(それって……)

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信玄「謙信は過去のある出来事が理由で、頑なに女を遠ざけてる。それ以来、あいつはますます戦に没頭するようになった。まるで、自分の生を燃やしつくそうとしているかのようにな」
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(信玄様が言ってたように、謙信様はどこか生き急いでるみたいだ)
少し切なくなりながら、謙信様に答えを返す。
「仰ることはわかります。でも、私はやっぱり時間をかけてお酒を味わいたいです。だって、その方が長く一緒にいられるでしょう?」
(一緒に過ごした時間の分だけ、謙信様に近づける気がするから)
謙信「かな……」
謙信様が意表を突かれたように、私を見つめる。
謙信「なぜ、そのようなことを言う」
「なぜって……」
(好きってことを内緒にしたまま説明するの、難しいな)
「……謙信様と、たくさん思い出を作りたいんです」
(私が、五百年後に帰っても…)

「離れる時に悔いが残らないように」
謙信「っ……」
刹那――謙信様が息を呑んだ。

次の瞬間、端正な顔が凍りつき……
謙信「離れるというのは、どこへ行く気だ」
「え……?」
(何だか、謙信様の様子が……)
謙信様は冷ややかに目を伏せ、低く笑った。
どうしてかその仕草に、ぞくりと身体が震える。

謙信「ああ――そういえば信長から書状が届いていた。お前を返せという内容の書状がな」
「信長様から……っ?」
謙信「…そうだ」
(あっ)
肩を強く掴まれ、視界が反転する。
濁った二色の瞳に見下ろされ、押し倒されたことに気づいた。
「謙信様、何を……」
謙信「――黙れ」
(…っ)

唇を手のひらで覆われ……
「ん……っ」
噛みつくように首筋に口づけられた。
(どう、して…)
胸板を押し返そうとした腕を捕らえられ、床に縫い止められる。
謙信「やわな抵抗だ。哀れだな、かな」

嬲るような視線を間近で向けられ、小さく肩が跳ねた。
謙信「お前をどこかに逃がす気はない。これからも、永遠に。お前は――俺のものだ、かな」
謙信様の肩越しに牢の格子が見える。
(まるで檻の中にいる猛獣みたいだ)
「やめ……っ」
謙信「以前にも言っただろう。俺の戦利品を、俺がどうしようと勝手だ」
「っ、あ、謙信様……っ」
微熱を帯びた唇が首筋を滑り、鎖骨のあたりで柔く歯を立てられる。
瞬く間に身体が制御を失って熱に溺れ……
「ん……んん……っ」

かくんと力が抜けた瞬間、強引に唇が重ねられた。
押し入ってきた舌に、すべての感覚を支配される。
(っ…こんなの、だめなのに……)
ろくな抵抗もできないのは――それだけ謙信様のことを好きになってしまったからだ。
だからこそ、哀しかった。

「っ、は……」
かすかな水音を立てて唇が離れると、視界が涙でぼやける。
「なんで、こんなこと、するんですか?」
謙信「――わからん」
「わからないわけが……っ」

嗚咽を噛み殺すために、言葉は途中で喉につかえた。
私の頬を伝う涙を見た謙信様が目を見開き……
焼けつくような葛藤がその表情の上をよぎった。
(謙信様……?)
途方にくれて見上げた謙信様の顔は、蒼白だ。
(あ……)
しばらくの逡巡のうち……繊細な指先が私の涙をぬぐう。

謙信「……今、わかった。いや、本当はずっと前から理解していたのかもしれん」
(何を言ってるの……?)
謙信「俺は、どうやらお前を好いているようだ」
絞り出された言葉に呆然として、謙信様を見つめる。
「っ、嘘……」
謙信「嘘ならば、どれほど良かったか」
謙信様は懺悔するように言葉を絞り出す。
謙信「お前を閉じ込めて自分のものにしたいと思うくらいには…こうして理性の歯止めが利かなくなるくらいには、恋情に溺れている」

 

 

-プレミアorノーマル選択-

 

**

 

↓以下ノーマル↓

 

「それならどうしてそんな顔してるんですか!」

謙信様の苦し気な顔は、およそ愛の告白にそぐわなかった。

 

謙信「俺はお前を愛するべきではなかった。俺のそばにいる者は、不幸になるのだから」

(っ…その言葉は、あの夜と同じ…)

 

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謙信「俺は戦禍の中で生きるよう定められている。だが、その代償のように……俺の存在はそばにいる者を不幸にする」

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(謙信様は私を不幸にしないために、遠ざけようとしていたの……?)

謙信「許せ、かな。今宵のことは、忘れろ」

「嫌です」

考えるより先に叫んでいた。

「忘れろだなんて……そんなこと、言わないでください」

謙信「かな……」

(だって、そんなことをしたら……)

「あなたのことを好きな……私の気持ちはどうなるんですか」

謙信「……っ」

(ああ、言ってしまった)

一度口に出してしまたtら、とめどなく想いが溢れた。

「好きです、謙信様」

謙信「……っ、言うな。――抑えられなくなる」

謙信様の声が苦悩に掠れる。

「…好きです」

 

ただ、繰り返し伝えることしかできなかった。

それがもどかしくて苦しくて、また泣きそうになる。

(強いところも危ういところも、すべて…あなたを好きにならない理由がどこにもなかったの)

 

謙信「お前は何もわかっていない」

耐えかねたように、謙信様の力強い腕が私を抱きすくめ――

(っ…謙信様…)

耳元にかかった吐息に理性が焼かれた。

謙信「……こんなにも 俺はお前に触れずにはいられない。お前の好意は、俺の感情とは違う、美しいものだと知っているのに」

「そんなことあ、ありません……っ」

謙信「いいや、お前は知らない。俺がどれだけお前を想っているか」

自分を呪うように謙信様は唇を噛む。

 

(ひとりで、苦しまないでほしい。私にもあなたの抱えてる熱を、わけてほしい)

「だったら、教えてください。謙信様が私をどう思っていらっしゃるのか」

挑むように謙信様を見据えると……

謙信「っ……」

大きすぎる衝動を呑み込むように、謙信様は大きく息をついた。

 

謙信「愛している……お前がいなければ、息もできないほどに」

 

(あ……)

謙信様の瞳にほとばしる激情に思考のすべてが奪われ、

ただ、そこにあるのが一片の混じりけもない真実だと思い知る。

(私は……謙信様のこの言葉を、ずっと待ってたんだ)

「私、不幸になったりしません。その言葉が聞けたから」

謙信様の身体を強く抱き締め返す。

「何があったって、謙信様となら平気です」

(だから、絶対にこの手を離したりしない)

 

謙信「……お前は愚かだ。だが、もっと愚かなのは俺だ。己の衝動ひとつ、止めることができなかった」

謙信様は切なげな吐息を漏らし、はだけた私の襟元を直す。

謙信「お前を部屋に連れて行く。力を抜け」

「謙信様……っ?」

(わ…っ)

何かを言う前に、背中と膝裏を支えられ軽々と身体が宙に浮いた。

謙信「あまり話しかけてくれるな。今は余裕がない。お前の声を聞いているだけで、理性がもたなくなる」

(謙信様の身体も、熱い……)

そのまま、謙信様は私を抱えて牢を出た。

 

「あの、自分で歩けます……っ」

謙信「駄目だ」

それきり何も言えず、謙信様にしがみつき…

誰ともすれ違うことなく、謙信様の部屋に着いた。

 

謙信様は私を柔らかい布団に下ろすと、身体を押さえつけるように乗り上げた。

「あ…っ、待って…」

謙信「待たん。俺はお前が今すぐに欲しい」

「ん……っ」

性急に唇を重ねられ、二回目のキスを与えられる。

口の裏側を柔らかな舌がくすぐり、さっきまでの熱を瞬く間に呼び覚ました。

(っ…とろけ、そう…)

長い口ぐけが終わり、力の抜けた身体から帯はたやすく解かれる。

「っ…謙信、様…」

消え入りそうな声で私が呼ぶと、

謙信様は何かに耐えるように眉を寄せた。

謙信「悪いが手加減は出来ない」

 

(どうして、そんなに辛そうな顔をするの?)

熱に浮かされた瞳を楽にさせてあげたくて……おずおずと謙信様の背に腕を回した。

謙信「……かな」

「…私なら、平気です。好きな人にされることなら、全部」

覚悟を決めて、謙信様を見つめる。

謙信「お前と言う女は……どこまで俺の心を縛れば気が済むのだ」

(そんなの……っ)

「…私の心だって、謙信様に縛られてます」

(あの時牢獄に囚われたのは、きっと身体だけじゃなかった)

 

謙信「それ以上、俺を煽るな」

さらけだされた肌を謙信様の指先がなぞり……

私は朝が白むまで、愛する人の名を呼んだ。

 

**********

 

やっとだよ!!!!!!!!