"The Library Bus"(『パリと としょかんバス』)
本日紹介する絵本は、アフガニスタンを舞台にした絵本。"The Library Bus"(『パリと としょかんバス』(仮題)バフラーム・ラーマン文/ガブリエル・グリマール絵)です。The Library BusAmazon(アマゾン)パリは、今日初めて、ママの図書館をお手伝いします。ママは、本をたくさんのせた図書館バスを運転して、山の向こうの村に行ったり、難民キャンプへ行ったりして、女の子たちに本を貸し、英語を教えているのです。ママは言います。むかし、女の子は学校に行くことができなかったから、わたしはおじいちゃんに勉強をおそわったの……。作者のバフラーム・ラーマンさんはあとがきにこのように書いています。「戦争の中で生まれそだった者は、戦争以外の選択肢を知りません。戦争が日常になるのです」長年他国の侵攻を受けつづけ、その後も内戦、タリバンによる支配と、ひじょうに不安定な情勢がつづいているアフガニスタン。特に女子の教育は厳しく制限されており、現在は小学校6年間の教育しか受けることができません。主人公パリの母親は「学びが人を自由にする」と言います。そして、多くの少女を自由にするために活動しつづけます。「学びを止めてはいけない」という想いはきっと、娘のパリにも受け継がれていくことでしょう。このように、なんとか女子教育の火を絶やさないようにと活動する多くの人びと、特に女性の教師たちへの感謝と尊敬の意をこめて書かれたのがこの絵本です。The Middle East Book Award(中東ブックアワード)の絵本部門で、2021年の大賞を受賞しています。(ちなみに翌年は『シリアの秘密図書館』が受賞)私たちが当たり前に享受している平和と教育が当たり前でない場所もあるということ、ひとたび戦争がはじまれば、もちろんこの国でだって多くのものが失われる可能性があるということ、そんな困難な中でも希望を失わずに逆境に立ち向かう人たちがいるということ……さまざまなことを考えさせてくれる絵本です。