司会者「今年も皆様お待ちかねの企画がやって参りました!私は完全に一年ぶりの登場でございます。」
いけだ「ブログほとんど書かなくなっちゃったからね」
司会者「フェスレポしか書いてないじゃないですか」
いけだ「休日の過ごし方としてブログを書くってのが以前は最高に贅沢な楽しみだったんだけど、2016年の1月に名古屋市内に引っ越して以降、休日いろいろやることが増えちゃって。」
司会者「引っ越した先のゲオのレンタルコミックの品揃えが悪くなったらしいですね」
いけだ「そうなんですよ。それもあってか今年はぶっちゃけ不作でした。個人的には漫画読書会の運営サポーターの活動を始めたりkindle paper whiteを買って一部の漫画を電子書籍に移行したりと、漫画に対してさらに造詣が深まったり変化が大きかった1年だったんですけど、新作という面では若干弱いかな。でも最近、近所のTSUTAYAがレンタルコミックはじめてくれて、しかも品揃えがゲオよりも断然いいので2017年は充実したマンガライフが送れそうです。」
司会者「このエントリーの期待をドン底まで突き落とすオープニングですね・・・さて、例年通りルールは下記内容となっております。」
・現在連載中もしくは2016年内に連載が終了した作品が対象
・過去にランクインした作品でもランクイン可
いけだ「去年のベスト10はコチラ」
第1位「日々ロック」
第2位「東京タラレバ娘」
第3位「重版出来」
第4位「砂の栄冠」
第5位「3月のライオン」
第6位「累(かさね)」
第7位「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
第8位「グラゼニ~東京ドーム編~」
第9位「東京喰種 re」
第10位 「青の祓魔師」
http://ameblo.jp/iken926ss/archive1-201602.html
司会者「それでは早速いってみましょう。まずは20位から16位までの発表です。」
第20位 「骨が腐るまで」
司会者「初登場が『骨が腐るまで』『炎炎ノ消防隊』『逃げるは恥だが役に立つ』の3作ですね。」
いけだ「『骨が腐るまで』はまだ2016年末時点で既巻1巻しか出ていないんだけど、期待を込めてランクインさせました。ある幼なじみ5人組が11歳の頃に殺人を犯して死体を山に埋めるんですが、毎年儀式として死体の有無を確認するんですね。ところが16歳の夏、死体が何者かに盗まれてしまうんです。そして始まる死体を盗んだと思われる犯人からの指令。幼なじみ5人組で力を合わせて解決しつつ犯人を追っていくのですが、5人の中にも闇があって面白いんです。」
司会者「ちょっとだけ、デスゲーム的な感じもする作品ですね」
いけだ「そうなんですよ。ただ最近乱発されてるデスゲーム系と違って、ちゃんと筋があるんで安易なデスゲーム系の数倍面白い」
司会者「19位の『炎炎ノ消防隊』はどうでしょう」
いけだ「『ソウルイーター』が好きなんで作者の新作には期待してたんですけど、正直序盤はコマ割やセリフ回しに違和感ありまくりで、大久保さんこんなに下手だっけって不安になったんですけど、5巻あたりからストーリーが進んできて、メチャクチャ面白くなってきました。消防隊同士の能力バトルものなんですけど、主人公の出自とか消防隊内部の闇とか「青の祓魔師」と「ソウルイーター」が混ざった感じ。ただ、『ラッキースケベられ属性』とかいう女キャラは新しいけどいらないかなぁ。18位の『逃げ恥』はまだ全巻は読んでないんですけど、みくりさんのキャラはガッキーが演じたドラマ版よりも好きかも。ドラマはキュンキュン系の恋愛ドラマ寄りの描き方でしたけど、マンガ版はどちらかというとお仕事マンガ感ありますね。」
司会者「お仕事マンガ好きですもんね。17位と16位は昨年もランクインした作品ですね」
いけだ「『BLUE GIANT』は安定して「そこそこ面白い」をキープしてる感じ。白熱の演奏シーンはカッコイイんだけど、『日々ロック』みたいに曲が聞こえてくるような熱量はないかな。これは読んだことある人に聞きたいんだけど、世界的ジャズ奏者になった(と思われる)主人公の過去を、当時の当事者が振り返ってインタビューされる形式で話が進むんですね。その語り口から俺は主人公はインタビュー時点で既に死んでいると思ってるですけど、皆さんどう思いますか?」
司会者「えっ、死んでるなんて全然考えもしなかったです。主人公より何周りも年上の人たちもインタビュー受けてますし」
いけだ「そこは不慮の死とか、早死にしたのかなって。これ意見が分かれてるんで気になるんですよね。あと16位の『グラゼニ』は主人公はプロ野球選手という浮き世離れした職業なのにアラサーリーマンの悲哀を感じれられて、スポーツマンガというよりお仕事マンガって感じで面白いです。」
司会者「またお仕事マンガ!さぁ続きまして15位から11位に参りましょう。」
第15位 「監獄学園」
第12位 「中間管理録トネガワ」
いけだ「『監獄学園』は去年も16位にランクインさせたけど、ワンランクしか上げられなかったです。この1年間ずっと騎馬戦やってるんだもん。」
司会者「運動会編になってからも長いですが、その中でも騎馬戦は1巻2巻で終わらず、だいぶ長くやっていますよね」
いけだ「週刊連載の1年間ってスラムダンクで言ったら山王戦並だからね。しかも、メチャクチャくだらない(一応褒め言葉)ことを延々とやってるっていう。」
司会者「14位の『群青戦記』はどんな作品なのでしょう?」
いけだ「いろんな部活をやっている高校生たちが戦国時代にタイムスリップしてしまい、部活の特性を生かして戦うSF時代劇なんです。現代高校生vs戦国時代武士のバトルや登場人物たちの葛藤と成長が描かれていて面白いですが、正直信長とか『またタイムスリップかよ』って飽き飽きしてそうなくらい、タイムスリップといったら信長の所にいくのが定番ですよね。『信長協奏曲』も好きで読んでるんだけど、時代が結構かぶるので並べて読むと面白いです。」
司会者「映画でも『本能寺ホテル』が2017年1月現在上映中ですね。昨年から2ランクダウンの『ハイキュー!!』はなぜ落ちたのでしょうか」
いけだ「主人公たち率いる烏野高校の面々は魅力的なんだけど、ライバル校達がね・・・県予選は面白かったけど最後の決勝の白鳥沢高校のラスボス感がなくて、ゲスモンスター天童は敵としての魅力十分だけど、エース牛若はそこまでだったな。全国大会編がどうなるか・・・」
司会者「そして12位はまさかの『中間管理録トネガワ』!本家で1位取った作品がランクインしてくるんですね」
いけだ「こんなん面白いに決まってるじゃないですか。カイジをちゃんと読んだことなくてもわかるラインを攻めてくれてるのも良いです。カイジって読者以外にも映画やテレビ、ネット上の情報で作品としての自己紹介が完全に済んでいる状態なんで、本編読んでなくても『トネガワ』で笑えるんですよ。サンシャイン池崎ってお笑い芸人いるじゃないですか。あいつ当初はうるさいだけで全然面白く無いどころか嫌いな部類だったんですけど、慣れてきたら面白くなってきたんですよね。それって芸人としての自己紹介が完了しているからで、観てる方も笑い方がわかっているから面白いんです。」
司会者「カイジ本編はギャグマンガじゃないですし、トネガワの面白さと、サンシャイ池崎は結びつかないと思うんですが・・・」
いけだ「正確にはパロディがなぜ面白いのかっていう視点ですよね。スピンオフとしては異例の面白さっていう一点突破で最高に突き抜けてるのがすごい。」
司会者「そして『ぼくは麻里のなか』が11位。2013年1位に輝き2014年は5位。2015年14位と落ちながら完結した今年は3ランクアップです。」
いけだ「4年間の連載の幕を閉じたわけですが、正直4年間ずっとランクインさせてきた続きが気になるマンガだったのに、このラストは少しガッカリでした。」
司会者「ガッカリしたのに11位なんですね。」
いけだ「ちゃんと終わって良かったな的な意味で。個人的に『悪の華』は超えられなかったかな。いま連載中の『ハピネス』っていう吸血鬼のマンガもそこそこ面白いんで、合わせ技で11位ということで。」
司会者「そんな合わせ技使えたんですか?!」
いけだ「そこは『ハピネス』の五所さんに免じてこのとおり!」
司会者「誰ですかそれは」
いけだ「『ハピネス』に出てくる女キャラで語尾に「っす」を付けて話すんですよ。地味キャラながらなかなか破壊力があります。」
司会者「それではベスト10に入っていきましょう」
第10位 「アルキメデスの大戦」(NEW)
アルキメデスの大戦(1) (ヤングマガジンコミックス)
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司会者「昨年は同じ作者の『砂の栄冠』が4位にランクインしてましたが、今年は新作『アルキメデスの大戦』がランクインですね」
いけだ「すっかり三田紀房はヒットメーカーになっちゃいましたよね。天才数学者が主人公と、自身の得意とするジャンルを踏まえつつ今回は初の歴史物ということで戦艦大和の建造計画を止めるべく海軍の会計職に潜り込んだ主人公が頭脳を武器に海軍内ほ奔走する物語です。」
司会者「歴史的には戦艦大和は実際に作られているわけで、主人公の目論見は失敗に終わるのは読者からするとわかってるはずですが、それでも面白いんですか」
いけだ「そこが逆に面白いんですよ。主人公の負けがわかってるけど、主人公の天才的な頭脳がどう海軍をかき乱すのか、いつかは失脚するのだろう、でも正直勝って欲しい。そのバランス感覚がこのマンガを面白くしている気がします。」
第9位 「彼岸島 48日後・・・」(NEW)
いけだ「2015年末から『彼岸島』(無印)を読み始めて、無印33巻『彼岸島 彼岸島 最後の47日間』10巻と読み、2016年末に現在連載中の『48日後・・・』にようやく辿りつきました。」
司会者「まとめブログとかみるとやたらネットで馬鹿にされてる作品ですよね。」
いけだ「まとめブログのコマ抜粋だけみると完全にギャグマンガなんですけど、無印1巻は結構ホラーですし、普通に読む分には意外と笑わずにシリアスに読めてしまう不思議。ただ『48日後・・・』になって若干ネットを意識してネタ的な面白さに迎合してる感も否めないかな。あまり周りの喧噪に惑わされずに巨匠の我が道を突き進んで欲しい。」
第8位 「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」(NEW)
司会者「ドラマ化もされた不動産マンガが8位です。」
いけだ「吉祥寺の不動産屋で働く姉妹が、なんとなく吉祥寺に住みたいと考えてるお客さんに吉祥寺以外の街を紹介する読み切り形式の作品なんですけど、これ俺は都内で暮らしたことも働いたこともあるから読んでて面白いけど、地方の人は読んでて面白いのかね。」
司会者「たしかに面白さ半減するかもしれないですね」
いけだ「個人的には東京の知っていたようで知らなかった街の魅力を発見できて面白いのと、日々の生活に潤いを与えるようなエッセンスが散りばめられているマンガです。後者は地方の人でも面白いと思う。ってかドラマは関東ローカルで愛知ではやらないと思っていたのに、3ヶ月遅れて愛知でも放送するの本当に不意打ちで困る。まぁ深夜に裏の東海テレビで高柳明音さんがレギュラー出演している映画情報番組『映画MANIA』と被ってるから録画すら出来ないんだけど」
司会者「いけださん脱糞しすぎですよ。」
いけだ「ちょっとwww脱糞はアカンでしょ・・・司会者なのにボケないで下さい。頼みますよ。脱線してしまったので、7位から4位は前年もベスト10圏内の作品ですし、まとめて発表します。」
第7位 「3月のライオン」 【(5)↓】
第6位 「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」 【(7)↑】
司会者「『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(以下デデデデ)と『重版出来』」は3年連続。『3月のライオン』『東京タラレバ娘』は2年連続のランクインとなりますね。」
いけだ「もうこの4作は、あえてランクインさせる必要も無かったんですが、入れなきゃ入れないで嘘になるし、なにより8位以下と明確に差があるのでベンチマークとして今年までは入れることにしました。来年からは殿堂入りでランクインさせないつもりです。もちろんよっぽど衝撃的な急展開があれば別ですが。」
司会者「殿堂入りさせるなかで、あえて言及しておきたい作品はありますか?」
いけだ「まぁ『デデデデ』かなぁ。今年kindle paper whiteを買ってタラレバも重版出来も電子書籍で買う方に移行したんだけど、『デデデデ』だけは紙の本で買ってるし。」
司会者「なにか思い入れがあるんですか?その割には順位は2作より下ですが。」
いけだ「順位にはほぼ差はないんだけど、デデデデは装丁が別次元なんですよ。いにおは見開きでドーンって描く絵が本当にすごいし、紙の本で持ちたい欲が強いんですよね。あと、これからもいっそう面白くなっていく可能性を感じる。ストーリー的には『タラレバ』『重版出来』の方が2016年は僅差で面白かったけど、今年がピークな気がしてる。」
司会者「『東京タラレバ娘』はいけださんがデザイナーとして運営に参加してる漫画読書会の9月期の課題本にもなっていましたね。」
いけだ「あれは超面白かったー。好き勝手なアートワーク作れたし、問題発言しまくったし、俺としては珍しく他人の話にも興味津々で聞けたっていう過去最高に盛り上がる課題本だったと思ってます。」
司会者「語り甲斐に関しては突出しているかもしれませんね。それでは第3位に行きましょう。」
3位 「僕たちがやりました」(NEW)
僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)
Amazon |
いけだ「これはヤバいっすよ。アオハルとサスペンスとギャグとエロ、1粒で4度美味しいみたいな守備範囲の広い作品です。」
司会者「それは凄いですね。」
いけだ「実は結構前に1巻の序盤まで読んでたんですけど、序盤まで読んだだけでは高校生の日常モノなんだと勘違いして読むの辞めてたんですよね。しばらくして最近また評判が良いので、とりあえず1巻を最後まで読んでみたら・・・『ナニコレ日常モノじゃないじゃん!サスペンスじゃねーかよ。』って。それでドハマりしましたね。」
司会者「1巻の最後、何が起きるんですか?」
いけだ「それは本当に読んでからのお楽しみにして欲しい。めっちゃ言いたいけど我慢。あと5巻のラストのコマが凄い美しいのでそれもオススメ。あと、パイセンと呼ばれるキャラのダジャレなど独特な言い回しが地味に好き。」
2位 「AKB49 恋愛禁止条例」 【圏外】
司会者「またですか!!2012年3位で2013年は圏外、2014年が8位で2015年は圏外。それで今年が過去最高の2位?!高低差ありすぎて耳キーンなりますよ!」
いけだ「フットボールアワーのTHE MANZAIでやったネタめちゃくちゃ面白かったですよね。ああいう活字にしても面白いようなネタ大好き。」
司会者「ごめんなさい。二度とやらないので漫画の話をして下さい。」
いけだ「これで3度目のあらすじ紹介ですけど、“吉永さんっていう好きな女の子がAKBのオーディションを受けるのが心配で、自身も女装してAKB48に加入した男の主人公が、吉永さんをAKBのセンターにするという夢を抱きつつ、自分自身も本物のアイドルとして覚醒していく。そんな熱いスポ根漫画です。” ←あっこれ2014年のコピペね。」
司会者「2010年に連載開始から2016年で6年の連載に幕を閉じました。」
いけだ「俺のランキングで浮き沈みが激しいように、ストーリーの浮き沈みが本当に激しいんだけど、沈んでいた時期のストーリーも良かった時期のストーリーも全部あってこそ、最高のテンションで最終章に入ることが出来たんだと思うんです。これがアイドルの『ストーリー性』っていう部分の面白さかと。」
(以下、ちょっとだけネタバレあり)
司会者「最終章では、この作品の世界での週刊文春にあたる週刊宝春に主人公が扮する浦川みのりが男であることをスクープされてメンバー間に動揺が広がるんですよね。」
いけだ「その時のメンバー達の動揺は一コマ一コマからとんでもない混沌と狂熱に満ちてて、少年漫画歴史に残る熱さなんですよ!って、なんかハイロウズの青春の歌詞みたいですけど。」
司会者「すごい熱量ですね(主にいけださんの語りが)」
いけだ「ただ、その狂熱は最終巻の1つ前の28巻のラストがピークで、29巻は若干落ち着いてしまったのが残念でした。もし最後までそのテンションを維持できたら伝説になってましたね。まぁ、最後までそのテンションならマンガとして終われない気もしますが。」
司会者「確かに熱いままなら最終回を迎えられそうもないですね。ちなみに2014年に言っていた22巻の決意を語るシーンと28巻とではどっちが熱いんですか?」
いけだ「正直、瞬間最大風速的には22巻の方が上だけど、それは1コマ単体の凄さで、28巻の方は今までのエピソードすべてひっくるめての混沌があって、それが1コマに限らず1話2話連続で続くから総合的には28巻ですかね。現実世界で指原がはじめて1位になった2013年の総選挙が、漫画の世界では指原は3位で大島優子1位で終わるんですね。俺は以前その事を『指原は漫画よりも面白いことを現実世界でしでかしてしまった』と評しましたが、この最終章は指原が起こしたバグのような現実をしっかり超えてきたかなと思います。」
司会者「それまでAKBの史実通りだったのが違う方向にマンガは行ってしまったんですか」
いけだ「っていうか結局指原は最後までモブみたいな扱いだし、1推しの高柳さんも全然出てこないので、このマンガは絶対1位にはさせられませんでした。というわけで、『このマンガが凄い!っと思うよ2016』栄えある1位の発表です。」
1位 「世界はボクのもの」(NEW)
司会者「『デトロイトメタルシティ』(以下、DMC)や『みんな!エスパーだよ!』でおなじみの若杉公徳が描くボクシング漫画が今年の1位を獲得しました。」
いけだ「天才的な才能を持ちながらボクシングをやりたくないアイドルオタクの主人公が嫌々ボクシングをやらされるストーリーはDMCに酷似してますし、試合中に繰り出されるトンデモ技や例えはDMCと似たテイストのギャグで笑えます。しかしながら今作は序盤のうちから主人公がボクシングの魅力に気づいてくるので、そこはDMCとは違うところですけど。」
司会者「ボクシング版YAWARA!ですね。」
いけだ「そうなんですよ。1巻では早くアイドルの動画を観たいからスパー相手を早くKOしなきゃいけない話だとか、周りのアイドル仲間にはボクシングの才能の事は隠していたりするんですけど、だんだん周りにバレてくるっていう。それと伏線の張り方とか、絵のディティールとかDMCの頃と比べて格段に上手くなってるのでDMC以降の若松作品読んでない人は結構ビックリするかもしれません。」
司会者「そんなに進化してるんですか」
いけだ「表紙もオシャレですし、かなり進化してると思います。今までの作品と違って下ネタもほとんど無いので万人受けしやすそうですね。主人公がアイドルオタクなのに見ていて気持ちいいのも作品の魅力。」
司会者「万人受けしそうなマンガを1位に持ってくるなんて、いけださんも大人になりましたね。」
いけだ「実は1位の他に今回特別賞を発表したいと思っているんです」
司会者「はぁ?」
特別賞 「奥田民生になりたいボーイ、出会う男すべて狂わせるガール」
司会者「これは2015年夏に発売された作品で、今回のレギュレーションの対象外ですよね。」
いけだ「確かに対象外だけど1巻のみの単巻作品ですし、俺が読んだのが2016年なんで、どうしても入れたかった。あと2017年に妻夫木くん主演で映画化するので、それも兼ねて特別賞を新設しました。」
司会者「なるほど。どういったストーリーなんでしょうか?」
いけだ「出版社で編集者として働く、奥田民生に憧れる主人公が仕事で出会ったアパレルブランドのプレスの女の子に振り回されるラブコメディなんですけど、これが狂おしい。そして物語は後半からまさかのサイコホラー要素を帯びてきます。全編にわたって奥田民生の楽曲が引用されていて、民生のような『力まないカッコイ大人』になりきれない30代の男達には絶対刺さるマンガです。」
司会者「タイトルの『奥田民生になりたい』なんて人生で一度も考えたことも無いですけど、『出会う男すべて狂わせるガール』ってのは結構男は誰でも経験した事があるんじゃないですかね。」
いけだ「そこなんですよね。『力まないカッコイイ大人』なら狂わされることもないはずなんですけど、結局男は女に狂わされ続けるし、それが絶対的に悪いことだとも思わない。30代独身男の仕事のこと、恋愛のこと、青春は終わりなのかという命題に面白おかしく向き合った名作だと思います。後半のサイコホラー的な展開には完全にやられましたね。狂気の世界に思いっきり引き込まれてしまって帰れなくなりそうでした。ちなみに渋谷直角の前作『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』を先に読んだ方が面白いと思うので、そっちも併せて是非読んで欲しい。」
司会者「映画化で2017年は話題になりそうですね。」
いけだ「俺は漫画原作の実写映画化は大々大賛成なんで、どんどんやって欲しいタイプなんですけど、狂わせるガール役が水原希子なのだけはチョット嫌だな。吉岡里帆みたいな可愛い系にやって己を狂わせて欲しかった。」
司会者「確かに吉岡里帆になら狂わされてもいい!」
いけだ「司会者なのに自己主張しないで下さい。」
司会者「ごめんないさい。これで私の出番もまた1年後までお預けだと思ってつい・・・」
いけだ「そうならないように頑張ります。それでは過去最高の尺でしたが、最後までありがとうございました!」
司会者・いけだ「んじゃらば!」