前回の続き。

家に持ち帰った食品のレビューである。

 

*****

桃太郎電鉄ワールドぶっとび丼 ドイツソーセージ丼 (1,600円)

「桃太郎電鉄」というゲームとのコラボ駅弁として全5種類が登場。ゲームはやったことがなく、思い入れはないので、純粋に弁当としての味に対するレビューとなる。

事前予約で、本品と、後述の「アメリカロコモコ丼」と本品の2点を選択。

他にはスペイン パエリア丼、ブラジル シュラスコ丼、タイ ガパオライス丼がラインアップされている。

D-1輸送」で売られていたが、かわいそうなほど行くたびに売れ残っているのを見かけた。

スタンプラリーも開催されていたようだが、駅弁大会のメインの客層は年寄り夫婦であり、孫への土産に買おうと思わぬ限り、食指は動かないだろう。後はゲームをやる層だが、鉄道ゲーム~駅弁にどれだけ親和性があるのか、個人的には疑問である。

白い大ぶりのソーセージ2本をメインに、付け合わせは人参、キャベツの酢漬け。ザワークラウトを意識したものか。

反対側にはズッキーニなど角切り野菜を茹でたもの。

マスタードとケチャップが一緒に出てくるソースが付いている。

肉類がソーセージだけだと、流石に淡泊なせいか、下のご飯はカレー味となっている。

 

*****

桃太郎電鉄ワールドぶっとび丼 アメリカロコモコ丼 (1,600円)

ズッキーニとパプリカの賽の目切りは、上記「ソーセージ丼」同様。

ハンバーグ、目玉焼きが載っており、こちらのご飯は白飯。

丼は共通のようだ。

目玉焼きの黄身は半熟玉子だが、白身といい、あまりに色が均等なところを見ると、偽卵?と疑ってしまう。

それでも上記「ソーセージ丼」とは異なり、肉系おかずがボリューミーなため、ご飯はどんどん進んだ。

 

*****

ぶりかつ丼 (新潟駅) (1,100円)

「5ちゃんねる」の書き込みを見て、購入に踏み切った弁当。

早いと朝11時過ぎには完売してしまう。

御覧の通り、ブリのフライが海苔が敷かれた白飯の上にぎっしりと並べられ、ソースなのか下味がついている。

魚のフライといえば、白身魚やアジが一般的な中、ブリをフライにするのが珍しい。

とはいえ、近頃では例えば業務スーパーでも冷凍の鯖カツが売られている位で、流石に鯖とブリでは味は違うが、全体としては同じ方向性である。

付け合わせは山菜と桜漬け。

個人的には、ちょっと期待しすぎたかもしれない。

 

*****

近江牛ステーキ&焼肉弁当 (草津駅) (1,950円)

昨年に続きリピート。

黒胡椒がかかった厚めのステーキ肉が4枚。ピンク色の切り口が食欲をそそる。これまでの同種の弁当同様、ステーキ肉は外してレンジで温める。

半分は糸唐辛子がトッピングされた焼肉。

濃厚な焼肉と、黒胡椒ステーキ。

異なる牛肉料理を食べ比べながら、白飯を食べ進められる。

付け合わせのナムルも、特に焼肉とはよく合う。

考えてみれば、先日食した、今回“推し”の「近江牛 極」の廉価版とも言えそうである。(→「近江牛 極」記事

 

*****

富嶽あしたか牛すき弁当 (沼津駅) (1,180円)

昨年の好印象から、D-7輸送で売れ残り品を再び購入。

この手の弁当には珍しく、弁当箱一面にご飯が敷き詰められ、なかなか食べ応えがある。

甘辛味の牛肉煮はさほど多くはなく、左半分はそぼろ煮。玉子も砂糖入り玉子焼きで、キノコは椎茸やエノキではなくしめじ。彩り要因なのか梅の形の人参煮が2枚。

特筆すべきはしらたきの多さで、優しい甘みも相俟って、甘い玉子焼きというマイナスポイントはあるが、すき焼きとしての再現性は結構高い。

弁当箱が逆さ台形なのも特徴的。

底面こそ木目調の紙だが、側面には経木が奢られ、先日久しぶりに食した折尾駅の「かしわめし」が経木に直接接しない方式に変わった今、今回初めて経木に直接触れたご飯を食べることができた。

日が経つと、確かに水分が吸われて固くなるが、これもまた駅弁ならではの味わいであろう。

 

*****

弁当最後は、私のお気に入りツートップ。

 

岩手短角牛和牛弁当やわらか煮 (肉のふがね) (1,680円)

ほぼ毎年食べている牛肉弁当の名品。

「高級コンビーフ」との異名通り、脂身のない牛赤身肉を、繊維がほぐれるまで柔らかく醤油で煮込んだものがメイン食材。

白飯との間には牛蒡が敷き詰められ、これが食感に絶妙のアクセントを加え、実にいい仕事をしている。

濃厚醤油味の牛肉に対し、酸味溢れる真っ赤な梅干しが、これまた絶妙なコントラストを生み出す。

対する付け合わせの野菜類は、椎茸、蕗、人参いずれもが優しい素朴な味わい。

濃厚醤油牛肉→牛蒡の素朴さ→濃厚醤油牛肉

→酸味溢れる梅干→濃厚醤油牛肉→素朴な付け合せ野菜…

ベースの肉のしっかりとした美味さに加え、実に多彩な味の変化が感じられる弁当だ。

それに白飯も美味い。

 

*****

源 ぶりかまめし (富山駅) (1,350円)

先に触れたように、今回、実演から撤退し、全て輸送のみとなってしまった。

どうにか売れ残りを入手。

お蔭で今回も、参加した全ての回で食べ続けるという記録は途絶えることなく済んだ。

骨までほろほろと崩れるほど柔らかく煮込んだ甘辛醤油味のブリかまをメインに、酸味控えめなわかめ、白海老、生姜、わさびご飯というが辛みは殆ど感じない酢飯。

ブリかまは以前に比べると小さくなってしまったが、山椒をかけて味わう甘辛醤油味は、骨の食感とブリならではの身の充実ぶりを見せ、実に食べ応えがある。

量も十分。これ以上ないほどの独自性を誇る、他の追随を許さぬ唯一無二の魚駅弁の真冬のエースである。

 

**********

最後は甘いもの。

 

からいも団子 (あん入り/あんなし各3個) (900円)

蒸したサツマイモ(宮崎ではこれを唐芋というらしい)を混ぜてついた餅にきな粉をまぶしたもの。

粒あんの入った「あん入り」と、プレーンな「あんなし」の2種類がある。

いずれも捨てがたく、各3個ずつ計6個購入したが、1個からでも買えそう。

団子も、きな粉も、あんこも、甘さ控えめで上品な味わい。

しっかりした密度で、食べ応え十分。

たっぷりかかったきな粉がどうしても余るので、後で牛乳と混ぜ、きな粉ドリンクとしていただくことにしている。

 

*****

ミルキーソフト (ジヤージーブラウン) (390円)

メロンソフト (ジヤージーブラウン) (450円)

前半の清泉寮ソフトクリームを食べなかったので、後半初登場のこちらを2度食べた。

「ミルキー」のほうは、その名の通り、さっぱりとしたミルク味で、バニラとは風味が異なる。

対する「メロン」は、北海道物産店によくありがちな味だが、休憩所まで持ち歩いても、しっとりとした食感が残っており、こちらもサッパリ系の味わい。

 

*****

ぶどうジュース (菅原ぶどう園) (1杯280円)

最後の“締め”はやはりこちら。

昨年一気に値上げされてしまったが、更なる値上げにはならず、据置。以前の100円玉2枚に比して、いちいちお釣りに10円玉を2枚もらうのも煩わしく、このまま物価高が続くと、次は300円に跳ね上がってしまうことだろう。

とはいえ、やはりこのプレーンなぶどうジュースは、他にはない独特の風味があり、会期中一度は必ず味わいたくなる。

瓶で買いたい欲に一瞬駆られるが、今回もこれ一杯きりになってしまった。

 

**********

これにて今回味わった全ての食品に関する紹介を終えた。

 

駅弁大会を経ると、例年体重が一気に増す。

以前はその後暫く軽めの食事で調整すると戻っていたが、何年か前からなかなか戻らなくなった。加齢と共に代謝能力の衰えをこんなところで実感する。

今回はもっと買う数を減らし、縮小する積りだったが、事前予約だけで満足する訳もなく、年明け早々公開されたpdfのリストや、掲示板の書き込みを見たり、現地を訪ねたりすると、当初の予定外のものも随分食べることとなった。

 

長蛇の列を嫌い、これまで欠かさず並び続けてきた玉出木村家のパンは、今回遂に購入自体を取りやめた。競争が激しすぎ、又著しい価格高騰に見舞われた宮島口・あなごめしは、購入を諦めた。できれば買おうかと思っていた、えがわの水ようかん、伊勢の赤福は、買うのを躊躇う中、やっぱり買おうと思い立ったときには既に売り切れ。買い逃してしまった。

前半のみ登場した羽二重くるみは、「シュー皮と羽二重餅が合うのか?」と疑問を抱いている内に、販売期間を過ぎてしまった。

ながさき鯨かつ弁当、焼き鳥弁当(博多駅)、本場!博多辛子めんたい牛焼肉重は、いずれも実演で来ていたが、到底食べきれないと判断し、断念した。

 

特に、例年だと、この記事を公開する頃には、まだ菓子パンを大量に消費し続けている。それを取りやめた結果、急激な体重増は今のところ回避できている。

 

割と混んでいた日本縦断コラボシリーズは、地方ごとの有名駅弁をミニチュアにして詰め込んだ、いわばお試し盛合せ弁当だったが、寧ろ好みの味を見つけた時、その量の少なさに不満を感じそうだったのと、値が張るので、最初からパス。初日の会場で、販売ブースが異常な混雑ぶりだったことも、それに拍車をかけた。

近年繰り返し登場する特急列車ヘッドマークシリーズは、絵入りヘッドマークが登場した53-10(1978年10月の国鉄ダイヤ改正)当時、小学生で、その後のブルトレブームをリアルタイムで経験した世代だが、当時から私鉄贔屓で、エル特急を“格下げ”と思っており、現在のJR特急・新幹線にさほど魅力を感じない、ある意味特異な鉄道ファンなので、この弁当たちも最初からパス。

大会オリジナルのコラボものとしては、桃太郎電鉄ものに2つばかり手を出したが、元より当該ゲームに興味なく、料理の好みのみで選んだが、結果は先述の通りである。

前半後半通じて、台湾の弁当、菓子類も目についた。ステンレス容器・トートバッグ付の排骨弁当は数年前に食べたが、結局容器の使い道などなく、捨てるのも惜しいため、そのままビニール袋に入ったまま放置。それに容器代が嵩むのか高価なのでパス。他の食品は、総じて馴染み薄のせいか、人が素通りしていくのは気の毒であった。

 

昨年のまとめでも記したが、近年の価格高騰ぶりは目に余る。

2,000円突破は序の口で、3,000円超は流石にまだ少ないが、それに迫る値段の弁当が幾つも現れ出した。

開店60周年を記念したおかず増量は嬉しいが、その分負担も増量されている。

3,000円ともなれば、安い店ならしゃぶしゃぶ、すき焼き、焼肉などが食べ放題で提供される。あちらは安物の輸入肉だが、こちらは保存用添加物オンパレードだ。どうしても割高感が否めない。

後半登場のうなぎちらしごはん蒲焼き白焼き味くらべ(京都駅)も、まさしに3,000円にリーチがかかる設定となった。ここの調整元の駅弁は概ね好みで、例年食べ続けてきたが、流石に手を出す気が失せた。

「駅弁リスト」には廉価版のうなぎちらしごはんが載っており、せめてそれを買おうと実演販売ブースをのぞいてみたが、高い方しか置いていなさそうだったので、断念し、代りに途中まで忘れていた浜形水産のサーモン&鮪巻を買った。

 

今回でいう「D-7輸送」駅弁ブースは、コロナ禍の時は別の階に移っていたし、その前は同じ7階でも、子供服コーナー向の専用ブースに展開され、場内も広かった。

今回はこれも朝イチで並んで突入はしなかったので、実際のピーク混雑時の具合を知らないが、場内が随分狭くなり、とうとう嘗て赤福茶屋があった一番奥の場所に移ってしまった。

逆にいえば、客足予想がそれで捌ける程度ということだったのであろう。

 

今回の"駅弁記事群"初回でも、昨年の最終回でも記したように、新宿駅西口再開発の影響で、京王百貨店新宿店の立替が発表されている。

既にお隣・小田急百貨店が閉店されて久しい。建物は取り壊され、小田急新宿駅は物々しい仮設鉄骨で囲われ、地上は白い塀で囲われ、すっかり動線が変わってしまった。

小田急にはハルクがあり、現在小田急新宿店は規模を大幅縮小し、その機能を移している。

だが京王百貨店に、そうした手は打てない。

来年、駅弁大会は第60回を迎える。

それを節目に、何か大きな動きが見られるかもしれない。

まさかの聖蹟桜ヶ丘店移転開催か?

親会社の京王電鉄としては増収に繋がるかもしれないが、かなりの郊外である。

新宿という地の利を捨てるのは、集客減を惹き起こすリスクがあり、大きな賭けとなるだろう。

ならばいっそのこと京王プラザホテルはどうだろう?

思い付きで無責任なことを言っているので、実際には様々な困難を伴う可能性大である。そもそもホテル内に期間限定で実演ブースなど作れるのか?

 

コロナ禍は一応の落ち着きを見せ、会期中インフルエンザと共に大流行ということはなかった。寒波襲来や降雪もなかった。

能登地震の甚大な被害の中、不謹慎なことをいうようだが、駅弁大会に深刻な影響は感じられなかった。

開店前に並ぶことを今回はしなかったため、開店時の客扱いについてやり方が変わったのかどうかは分からない。私としてはこれまでよりも随分“手抜き”をした。

 

昨年に続き、牛肉に偏った選択をした感のある今回。

物価高の波は収まるどころか、更なる価格高騰を招くかもしれない。

最後は色々私見を連ねたが、来年は第60回の記念大会。

人と人の触れ合いという良いところを残しつつ、より魅力的な駅弁、食べ物に巡り会えること、そして何よりも、あれこれ言いながら食べ物を味わえる平和な世の中であってくれることを願ってやまない。