前回の続き。

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屋上で早くも弁当3食を平らげ、混み始める寸前で離脱。

 

昨年も記したが、ペット売り場に犬猫がいなくなって久しい。

嘗ては犬ばかりだったのが、猫ブームの到来により、比率が半々となったこともあった。

元が猫派の私は、ガラス越しに仔猫相手に指を近づけ、急にヒュッと動かすと、時折目を輝かせてパッと飛びかかってきてくれる。それが愉しい。

又、別の日には、フワフワとした真っ白な仔猫が、ピンク色の鼻に皺を寄せ、懸命に鳴いていた。見るからに女の子のオーラを幼猫にして全身に纏ったその子は、かの大島弓子氏の『綿の国星』のチビ猫よろしく、近い将来きっと同族のみならず、出会ったあらゆる人間をきっと魅了するに違いない。そう確信させるほどの美猫の素質を既に多分に感じさせた。

 

…閑話休題。

時は11時少し過ぎ。前回記事の弁当3個を30分弱で平らげ、ゴミを捨て、身支度まで整えたことになる。我ながら早食いである。

こんなことするから、思うように痩せない。

 

屋上からエレベーターで2階へ直行する。

ネット予約分を引き取るためだ。

引取会場は昨年とは違う場所に思われたが、確信はない。

前はもっと入り組んだ奥だった気がするが、今回は大階段すぐ脇である。

流石に1階まで伸びるほどではなかったが、踊り場にまでは列が出来ていた。

15分ほど待って引取り。例の"セクシー野郎"の妙なアピール癖のどさくさで有料化されてしまった紙袋は、予約分の引取に限りタダでもらえるのが有難い。

7階で既に買った食品と、この予約分を合わせると、優に1万円を超えるから、何の疑問もなく1階正面入口へ向かい、携帯の予約画面とレシートを見せ、Tシャツをもらって来たが、後でチラシをよく見返してみると、他の売り場でも買わないと本来対象ではないらしいことがわかった。

…つい先日の実体験なので、そのまま記したが、これをお読みになった方が、これ根拠に確信犯的に記念品を寄こせとごねてお店とトラブルになったとしても、当方は責任を負えませんので悪しからず。

 

今年は京王紙袋のお世話に極力ならぬよう、地元の業務スーパーが新規開店した際、もらってきた濃い黄色のショッピングバッグ持参でやって来た。

「輸送」に寄らなかったのと、買った半数弱は既に胃袋へ収めた後だったので、"業スーバッグ"1個で事足りたのだが、この日で期限切れとなる割引クーポンを使うべく、駅の反対側のシネコンで映画の予約を予めしてきた。

ところが、予想に反して昼の12時前には既に解放されてしまった。

予約したのは16時半過ぎの『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』である。

映画の感想をつらつら書くと、完全に本題から逸脱してしまうので、ここでは最小限に留める。

物語のクライマックスシーンは、特攻隊員たちがいよいよ出撃する場面だ。それぞれ自分が最も大切に思うものを携え、決して還ることのない死出の旅に飛び立とうとしている。

…最年長の妻帯者は、愛妻と遂に顔を見ることも叶わなかった幼き娘の白黒写真を、陽気で音痴なムードメーカーは、自分を想ってくれた魚屋の娘が贈ってくれたそっくりのお提髪の人形を胸に、そして本作のヒロインと時空を超えて恋仲になる佐久間青年は、愛する人と同じ名の大輪の百合の白い花を胸に、大空へと旅立った。

…清楚な白い百合の花一輪を胸に…粋で切なく、然しあくまで清々しく…あの場面でグッときた。暗がりの場内で、時折観客女性のすすり泣きが聞こえてくる。

 

…映画に行くのはこれより4時間以上後のこと。

予約の変更はできないし、早い時間に取り直して元の予約を放棄するのもお金が勿体ない。何とかして時間をつぶす手立てを考えねばならない。

 

12時からの別の映画を無理やりねじ込む構想が一瞬頭を擡げた。

その覚悟で、屋上で超早食いを敢行するも、2階の予約分引取で結構並んだ時点で、2本目の映画計画は諦める。

 

次に考えたのは、神保町の古本屋へ行くことだ。

だが、この時は鉄道雑誌の新刊の時期ではないし、今は特に探している本もない。幾ら勝手知ったる街とないえ、そんな状態であてなく行けば、街自体に飽きてしまう懸念があった。

 

こういう時、私の常套手段は喫茶店に入るか、かき氷屋へ行くことなのだが、腹がくちくなっている状況で、更に食い物屋のことなどこの時考えたくはなかった。

 

いずれにせよ、後で映画が控えているので、"業スーバッグ"をコインロッカーへ預けることにする。

この時点で、もう1食実演ブースで買うつもりだった駅弁を買い忘れてきたことに気づいたが、これ以上は食べられないし、再び会場へ戻るのは嫌であった。

それで窮余の一策。映画が19時に終わった後、もう一度会場を訪れ、夕食として再び駅弁を食することを思いつく。

 

広い新宿の東口から西口へ移動するのだから、最低でも15分程度はロスすることだろう。閉店が20時なので、もしかしたら売れ残り品が値下がっているかもしれない。

 

そう考えて、京王百貨店近くのコインロッカーを探すと、新宿駅西口は先にも記したように小田急百貨店取り壊しを伴った大改造工事真っ最中で、昨年までの私の脳裡に浮かぶコインロッカー分布図なぞ、ものの役にも立ちゃしない。

結局西口地下イベント広場奥の移転先コインロッカーを探し出してみると、殆ど使用中。唯一操作盤真下の小型に空きを見つけ、この日ばかりは例年よりも少ない手荷物に大いに感謝した。

 

さて身軽になったところでどうしよう?

映画の追加も、喫茶店も、神保町も却下し、結局私が選んだ時間つぶし策は、乗り鉄であった。

 

かくして昼12時には小田急線のホームに立っていた。

とはいえロマンスカーを奢る気はない。

それにしても中国人観光客が増えたなぁ…。

 

既に長丁場なので、若干端折ると、小田急で海老名。相鉄線に乗り換え、西谷から羽沢横浜国大方面へ、この日は東急ではなくJR直通で新宿まで戻って来る…新宿→新宿だが、改札が別会社なので通れるのではないか。

でも、どんな経路計算するんだろう…?それともエラーになって、駅員に説明かな…そんなことを考えつつ、相鉄線「特急」車内で乗り換え検索すると、そんな迂回路を辿っても、新宿に14時には着いてしまうことが判明した。

そうなると後2時間半をどうやって費やせばよいのか。

こうなりゃとことん乗り鉄だ。

大混雑の新宿や手前の渋谷で乗り換えるなど、想像しただけで嫌である。

敢えて随分歩かされる乗り換え不便な武蔵小杉で東急に乗り換えることも考えたが、それなら最初から相鉄→東急直通に乗っておればよかったことになるため、却下。

思い付きで大崎で埼京線直通を降り、待つこと15分。

湘南新宿ラインの宇都宮行快速に乗り換えると、すし詰めではないが、座れはしない。

運よくお隣恵比寿で座れたが、この日は東海道線でダイヤ乱れがあり、そのあおりで新宿で、交代乗務員到着を待つというよくわからぬ理由によって約15分足止め。

直通の拡大により、乗り換えなしで長距離移動できるのは便利だが、風が吹けば桶屋が儲かる式に、とんでもない遠方の路線の遅延が、思わぬ形で影響を及ぼす弊は免れ得ない。

新宿駅長時間停車のせいで、電車はどんどん混んでゆき、更に池袋でもどっと人が乗ってきて、こうなると車窓風景を楽しむどころではない。

折角の山手貨物線経由も、胃袋の消化活動と、ここに来てドッと出た疲れのためか、全く記憶になく、いつしか手に開いた文庫本の同じページだけが虚しく開いたまま、白河夜船となってしまったのであった。

 

乗客がドッと降りる気配にふと目が覚めた。

半分覚醒した脳味噌で、「いや~赤羽は流石に人が大勢降りるなぁ」と考える。

動き始めた電車の車内で車掌の案内が聞こえてくる。

「…次は~…大宮…」

確か湘南新宿ラインは浦和通過だったっけ…と昔の知識が頭を擡げ、ほどなくすると先ほどよりはしっかりと目が覚めた。

すると再び車掌のアナウンス。

「次はァ~東大宮ァ~東大宮ァ~」

…一瞬頭の中が真っ白になった。

大宮で降りて、今度は埼京線に乗って新宿まで戻ってくればいい。

そう思って湘南新宿ラインの乗客となった私は、湘南ならぬ”遭難"新宿ラインに乗ってしまった気分であった。

先ほど、随分人が降りるなぁ…と思った駅は、赤羽ではなく、あれが大宮だったのだ。

 

実は相鉄~埼京線直通電車の車内で、試しに湘南新宿ラインで北上し、久喜から半蔵門線直通の東武伊勢崎線に乗り換え、大手町から丸ノ内線に乗り換えたら何時になるのだろう?と調べてみたのだが、新宿まで戻ってくるのが17時を回ってしまうことが判明。

映画の前の時間つぶしの筈が、映画に大幅遅刻してしまう。

これもミイラ取りがミイラというのだろうか。

久喜から東武で戻るなら、小田急~相鉄は余分で、新宿で最初から北上すればよかったのである。

 

ともかくこの日、久喜まで行くのはNGであった。

仕方ないのでその時点で列車が次に止まる東大宮で下車。

そういえば東北本線(宇都宮線)で、大宮の次って東大宮だったっけ…⁈

普段乗りつけない路線ゆえ、咄嗟にそれが快速ゆえという発想はなく、後で上り電車に乗って初めて土呂という駅があったことを思い出すとは、我ながら随分と間抜けな話である。

 

その上り電車は上野東京ラインの「普通」であった。

昼下がり、早くも日が傾きかけた午後の東京方面への列車。

きっと大宮駅でまた乗客の多くが降りるに違いない。

…そう思いつつ、埼京線に乗り換えようと元々思っていたことに気が付く。

だが人で一杯のあの広い大宮のコンコースを、埼京線の地下ホームへと延々歩き、おまけに始発なら良いが、川越からの直通だと座れないかもしれないし、確か埼京線快速は今や武蔵浦和まで各停になって遅いし…そんなことを考えたら、降りるのが面倒になり、折角だから上野で降りてちょろっと秋葉原にでも寄るか、いっそのこと高々架で東京駅まで行ってしまおうか。

大宮乗り換えを億劫がった時点で、赤羽まで行って埼京線に乗り換えるという頭は完全に消えていた。

 

案の定、大宮駅に着くと、目の前に座っていた若者が降り、空いた席に尻を潜らせる。ところが隣のニッカポッカのおっちゃんのお行儀が頗る悪く、着膨れた身体を更に縮こまらせ、「座れただけでも感謝するか…」と大人しく更に西日となった車窓を首が痛くならない程度に雰囲気を味わう。

件のニッカポッカ親父は赤羽で降りて行ったが、降りる寸前になって、いきなり姿勢を正し、一瞬お行儀良くなったのは些か滑稽であった。

「オッサン、そういうちゃんとした姿勢ができるのなら、最初からそないせぇや」

というのはその時の私の心の声。

 

結局上野でも降りず、すると私より年嵩…と思いきや、もしかすると意外と私より若いかも…と思しき中年夫婦が隣の空いた席に陣取り、私のすぐ隣に腰掛けた亭主のほうが、奥さんにやたらと蘊蓄を垂れているのが可笑しくて、暫し耳を傾けていたが、何の蘊蓄垂れだったかは見事に忘れてしまった。

 

電車は近年整備された区間を最初はゆっくりと走っていく。

御徒町辺りで随分複雑なポイント転線を繰り返すなぁ…と思っていたら、電車は突然息を吹き返したように速度を増し、秋葉原の電留線脇を過ぎると両脇がバリケード様の塀で囲まれ、すると電車は高度を増し、「ほほぅ、この辺が高々架か。新幹線より高いところを走ってるんだぜぃ」などと思っているとほどなく東京着。

 

首都東京の玄関口のこの駅は、でっかいキャリーカートを引っ張った乗客がウロウロしていて、早足ですり抜けようとすると、油断すると足を引っ掛けられそうで怖い。

 

折角だから、「駅弁屋祭」を覗いてみる。

「ぶりかまめし」が売られていたら、荷物になるのを厭わず買っていたことだろうが、残念ながら見つけられず。

ただ、先ほど予約で引き取り、コインロッカーに眠っている秋田・大舘の「鶏めし」や、その姉妹品「比内地鶏の鶏めし」、名前は忘れたが常陸牛の駅弁など多数あり、モノによっては京王の輸送の大行列に並ぶより、ここで手軽に調達できる駅弁もあるのでは?と思いつつ、結局何も買わずに店を出る。

 

かくして東京駅から中央線に乗り換え、新宿駅に戻ってきたのは16時20分頃。漸く長い長い時間つぶし乗り鉄の旅が終わった。

 

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さてその2時間半後、映画を見終えた私は再び京王駅弁大会の7階会場へ降り立っていた。

思惑通り、実演ブースによっては、最後の追い込み宜しく売れ残り駅弁が処分価格で投げ売りされている。

昼前に買いそびれた駅弁の、グレードアップバージョンが、何と1,000円引きで手に入ったのはこの日一番の僥倖であった。

他にお買い得品はないか?としぶとく場内を回ってみたが、大してお買い得品はなかったので、閉店間近い夜の屋上へ再び参上仕る。

 

かくして長い長い旅路の末、夕食としてありついたのは次の2つ。

 

峠の牛めし (横川駅販売無) (1,500円) [おぎのや]

おぎのやといえば「峠の釜めし」。「峠の釜めし」といえばおぎのやである。

その超有名店・おぎのやが手掛けた牛めし弁当。

「峠の釜めし」と同じ、確か益子焼の容器が一大特徴だが、こちらは黒基調の渋さが増した色違いバージョン。

本当は家へ持ち帰り、レンジで温めて食べるべき弁当だが、意外とこの釜の容器が嵩張るので、屋上で食べて、容器は捨ててこようと思い、早めに食べることにした。

「峠の釜めし」と、どうしても比べてしまうが、こちらはシンプルな牛めしなので、味のバリエーションという点で「峠の釜めし」に全く敵わない。

普通の牛丼といった感じだ。

お昼に食べた駒乃家の「焼釜」のような、おこげが仕込まれているわけでもなく、底に至るまでスルリンとお箸で掬えるご飯であった。

 

別体の開閉式ポリ容器にたっぷり入った漬物達が、この弁当もおぎのや謹製であることを雄弁に物語る。

小学生の頃、大嫌いで専ら父に容器ごと渡して食べてもらったわさび漬け、梅干しその他正体不明の漬物たちも、今となっては懐かしく思える。

この漬物の存在は、「峠の釜めし」よりも、この甘めの牛めしにこそ相応しい箸休めなのかもしれない。

 

掛け紙には、「容器はそのままご家庭で140g(一合)の御飯がおいしく炊けます」と但し書きがあり、結局その言葉と、色違いの釜は持っていないことによるコレクター魂が作用(邪魔?)し、結局重い容器を家に持ち帰った。

だが今のところ活用の目途は立っていない。

高崎駅の「だるま弁当」の真っ赤な容器同様、食器戸棚の肥やしとなる運命なのだろうか。

 

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米沢牛ローストビーフ&馬肉あい盛り弁当 (今泉駅) (2,500円→1,500円)

昼間買いそびれたと思ったのは、「米沢牛&馬肉あい盛り弁当」(1,650円)のほうであったが、本品はそのグレードアップ版。

写真奥の茶色い小間肉が馬肉で、炒り玉子を境に、オリジナルでは牛肉甘辛煮が載るところ、本品は牛肉が全てローストビーフになっている。

やや肉厚のローストビーフはぎっしりと二重に敷き詰められ、上下写真を見比べてみていただければわかるように、炒り玉子の上にローストビーフを敷き詰め直しても尚ローストビーフがご飯を覆っているという太っ腹さ加減は、それだけでも称賛に値する。

牛肉をめくった下の牛肉を更にめくってみると、血の滴りが感じられる白飯。

馬肉からイメージする筋っぽさは感じられず、素朴な味わいの赤身肉の甘辛煮という印象。

既に述べたようにローストビーフを一重に敷き詰めただけでも十分弁当として通用するだろうに、敢えてそれを二段重ねにした心意気に感謝。

これが1,500円だったとは、恐らく今回随一のコストパフォーマンスの良さだが、元の2,500円でもこれなら納得のいく内容。

 

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さてその翌日のこと。

持ち帰った弁当を、昼夜各2食ずつ味わう。

 

引き続きそれらのレビューである。

 

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佐賀牛ステーキと若楠三元豚のスペアリブとハンバーグ弁当

 (武雄温泉駅) (1,998円) [カイロ堂]

昨年の「ふたつ星一段重弁当」→昨年記事)とそっくりな容器に入った、佐賀牛あり、豚のスペアリブあり、ハンバーグあり、野菜もあり…のバラエティに富んだ駅弁。

付属のレモンオニオンソースをかけて味わう見事にレアな霜降りの佐賀牛ステーキがメインで、これは絶対にレンジで温めてはいけない。

実際、食べたのが購入翌日昼間だったので、牛ステーキだけ別皿に避けて残りを電子レンジで温めた後、肉を並べ直して元の形を再現。

スペアリブとハンバーグは共に、若楠三元豚という佐賀県武雄市特産のこだわり品種を使った品。

スペアリブは、ローストした豚肉を、何と佐賀みかんのジャムと醤油で煮込み、山椒と花椒のスパイスを利かせた一品。

一方のハンバーグは、レンコンが混ぜられ、そのせいでシャキシャキした食感が心地よい。タレはこれまた鼈甲飴と凝っている。

 

九州の中でも佐賀県というと地味で目立たない印象が他所者にはあるが、近年、未見だが『ゾンビランドサガ』という相当ぶっ飛んだ設定のアニメ作品の舞台だし、「アド街ック天国」の今の女子アナが佐賀県出身で、時折佐賀推しをねじ込んでくるし、なかなかどうして侮れないが、それよりも何よりも、佐賀県の佐賀牛は、間違いなく駅弁界ではスターで、この調整元は牛肉弁当の西の王者だと私は確信する。

 

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近江牛 極 (草津駅) (2,300円) [南洋軒]

ピンク色が美しい赤身牛肉のステーキが豪快に4枚。

同種の他の弁当に比べ、肉厚で食べ応え十分。

黒胡椒がまぶされ、ワイルドな味わい。

その下には甘辛の牛焼肉。

付け合わせの野菜も、ナムル風で、全体のバランスを崩していない。

本品も購入翌日昼に食したが、丸ごとレンジで温めるのはご法度。

この見事なピンク色を守るため、ステーキは一度別皿に退避した。

 

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小松しし肉弁当 (加賀温泉駅) (1,280円)

今春の北陸新幹線敦賀延伸に伴い、新幹線にも加賀温泉駅ができる。

それを記念して作られた駅弁。

安宅の関が歌舞伎の勧進帳の舞台ということで、弁慶が勧進帳を読み上げる絵がパッケージにあしらわれ、脇も歌舞伎幕色と、歌舞伎調になっている。

地元に生息するイノシシをジビエとして用いたすき焼き煮をメインに、甘辛の肉そぼろ、小松菜、人参のおひたし、半熟ゆで玉子が大麦入りの味付けご飯に載っている。

ご飯は弁当箱全体に敷き詰められ、なかなか食べ応えあり。

猪肉のすき焼き煮は、しっかりとした食感で、やはり豚肉とは一味違う。

写真では殆ど取れてしまったが、糸唐辛子も含め、全体的に甘みの中にピリ辛風味が光る。

ゆで玉子は、白身が綺麗すぎて、偽卵を疑うが、半熟の黄身はなかなかの美味だった。

 

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鶏めし (大舘駅) (980円) 【花善】

ほぼ毎回食べている名物駅弁。

先ずは今どき珍しい見事な紐のかがり方が素晴らしく、毎回解く前に写真に残したくなる。

全体的にほの甘い味付けで、メインの鶏肉も中央にくちゃっと寄って決して多くはないが、玉子そぼろ、だしで炊きこんだもちっとしたご飯との味のバランスが非常に良い。

毎度書いていることだが、付け合わせの数々がそれぞれ良い仕事をしている。

メイン食材よりも濃い味付けの椎茸煮、漬物に加え、写真では椎茸の下に隠れてしまっているが、とりわけがんもどきが素晴らしい。

 

ただ、この弁当にも昨今の値上げの波は確実に押し寄せ、昨年の920円から、更に値上げとなってしまった。

1,000円にリーチである。

逆にいえば、これだけ個性的で良質な品を、このご時世下にあって、尚1,000円を切る価格設定に賛辞を贈りたい。

 

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最後は甘いもの。

 

あわまんじゅう (1個120円) [小池菓子舗]

前半にのみ登場する実演店舗。

買った時も、後日別の日に訪れた時も、結構列が出来ていた。

並びながら製造過程を見ていると、型に粟粒を撒き、こしあんをヘラで掬って乗せ、更に粟粒をまぶしてぎゅっと固める。

その工程からは、もっと固いスプレーチョコか金平糖の粒々にすら見えてくるが、意外ともっちりとしていて、滑らかなこしあんとよく馴染む。

日が経つと、さすがに底面は少し固くなるが、ほんの数十秒レンジで温めると、ふんわりもっちりした食感が元に戻る。

 

地味だが美味しい餅菓子。今どき安いのも好感が持てる。

 

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以上で、1/6(土)初日に買ってきた食べものの紹介は全て終了。

次回へ続く。