日付変わって1/21のこと。

既に1/16(月)から後半に切り替わっている。

後半初の週末である。

「ヒルナンデス」という昼の情報バラエティ番組で取り上げられたとかで、これまで碌に列が出来ていなかった実演販売ブースの一部に、長蛇の列が出来ているらしい。

"TV離れ"が言われ始めて久しいが、やれマツコだ、やれヒルナンデスだと、テレビで取り上げられるとうわっと殺到するミーハーで付和雷同という日本人の国民性は依然として健在で、まだまだ平和なのだと、このイベントを訪れる度に思う。

 

今回も公式サイトのWebキャプチャによりチラシを借用する。

昨年末にNet予約したものは全て11時~12時受け取りにしておいたが、これまで早めに2階を訪れても既に用意してくれていたので、この日は10時半頃現地に着き、真っ先に予約分を受け取り、それから玉出木村家のパンに並ぶことにした。

 

パン屋の列は何と3階から2階まで達しようとしており、7階まで行って降りて来ずに本当に良かったと思う。

 

以前は12時前頃迄ずっと列が動かず、待っている間、随分本を読み進められたものだったが、昨年、10時半頃には列が動き始め、タッチの差で「雪山パン」を逃してしまった経験があるので、紙一重に思える。

興味本位でNet予約した「美少女図鑑」駅弁だけが、よく見ると早くて13~14時受取なので、だったら他の駅弁もそれに合わせ、パンにもっと早くから並ぶ方が得策だったのかもしれない。

だが、玉出のパンは毎年食べているし、それほどガラリと目新しいものに入れ替わるわけでもない。これのためだけに開店前から並ぶまでの情熱はなくなっている。

この日も、私が最後尾についてほどなく、列が動いては止まり動いては止まりを繰り返し、途中、具合が悪くなって階段にへたりこんでしまったおじさんが出るなどハプニングはあったが、結局7階に到達したのは11時半過ぎであった。

 

いつもは長蛇の列を下まで見に来ては、顔なじみの客に声を掛けていく大将(社長)の姿は売り場にもなく、私の後ろのおばさんと若い男のスタッフとの会話によると、今回は名古屋と同時開催で、大将はそちらに出ているとのことであった。

トレイ置き場に置かれたこの紙だけが、いつもの大将の名残りであろうか。

今回お目当てだった「雪山パン」は、いつもは回廊式売場の最後の方にあるのだが、今回は少し売り場が広くなり、途中のコーナー部分にさりげなく置かれていた。

割高なせいか、今回は5個ほど残っており、早く列が進めと念じた思いが通じたのか、すかさず2個トレイに乗せる。

真後ろのおばさんも2個取っていたので、まさに売り切れ寸前ぎりぎり間に合った。

代わりに「ウィンナーショコラ」や「ゆずケーキ」、昨年から見かける「ピザデニッシュ」、「グラタンドッグ」、もしかして今回初お目見えかもしれない「あんバター」などは既に無かった。

ゆずケーキ」はお店が稀少性を宣伝しているほどには有難味を感じてはおらず、あれば買う程度である。惣菜パンも昨年食べたが、他所でも似た品は多数ある。あんバター」は何となく味に想像がつく。唯一「ウィンナーショコラ」が名残惜しいが、あれは確実に健康に悪いので、強いて別の日や別の会場へ追いかけることはしない。

 

長蛇の列、回廊式売場を取り囲むトレイを手にした客たちはいつも通りだが、大将がいないだけでなく、中央の島で客を呼び込み、パンを売り込むスタッフの姿が圧倒的に少なく感じた。

それでもこの日、もう一度現地を訪れると、14時半頃には売り切れてしまった由である。

 

キャッシュレス決済が世に浸透した現われか、この店のレジにもカード隊のおばちゃんが控えていたので、初めてカード払いを敢行する。

 

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先に同じ階奥の書店へ避難する。

丁度発売間もない鉄道雑誌で、買おうと思っていたものをいち早く買い、その足ですかさず1階へ下りた。

「駅弁買いまわり」のステンレスボトルを先にもらうためだ。

既に「青」は終了とのことで「緑」をもらう。

大きな紙袋2つになっていたのを1つにまとめ、再び7階へ上がり、実演ブースへ向かう。

TV効果なのか、これまでになく混んでいる。

「美少女」を受け取るまで時間をつぶさねばならない。

昼食用にすぐ後で食べる弁当を調達することにする。

 

早速屋上へ。

この日はこれまでになく風が吹き、おまけに風が冷たい。

昼12時近かったので屋上もそこそこ混んでいたが、バーベキュー用テーブルを確保できた。

中国人か台湾人かの若いカップルに相席してもいいかと尋ねられた。

4脚ある椅子の内、3脚は使っているので、それを譲ることはできないが、向こうから適当に椅子を持って来ればいいと伝えると、彼らは厚岸駅の「帆立かきめし」と阪神名物いか焼きをシェアし合って食べていた。

 

ほぼ同時にこちらも弁当を広げ、食べ始める。

 

常陸牛ロースステーキとすき焼き弁当(水戸駅)(2,200円)

「5ちゃんねる」の駅弁太郎氏の書き込みを見て、試してみたくなった駅弁。フラッグシップの「常陸牛ロースステーキ弁当」と迷ったが、味に変化が期待できる"相盛り"のこちらを選択。

今回、前半で食べた飛騨牛のローストビーフが思ったよりはレアではなかったため、ご飯に血の滴る牛弁よ、もう一度!という気持ちであったが、果たして期待通りであった。

ご飯は牛肉によく合う白飯。

付け合わせは菜っ葉と栗の甘露煮、半熟ゆで卵というシンプルさで、錦糸玉子で嵩を増すような姑息さがない。勿論ゆで卵は偽玉子ではない。

ロースステーキに紅塩をまぶすのは、初登場として"推し"の「常陸牛のロースステーキとローストビーフ贅沢盛り弁当」同様だが、半分のロースステーキに紅塩全部をかけると塩辛すぎとなる。

風が強い寒い屋外で食べたので、どうしても塩のまぶし方が均等にならず、時々しょっぱい味になってしまったが、甘みのあるすき焼きが塩辛さを中和してくれた。

牛肉の圧倒的な物量を期待するなら「~贅沢盛り弁当」だが、オーソドックスな作りの本品ならではの良さが感じられた。

佐賀牛、米沢牛、飛騨牛…魅力的な牛弁にこれまで幾度となく巡り会ってきたが、常陸牛も、なかなかどうして大層魅力的ではないか!!

 

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牛肉どまん中(カレー味)(米沢駅)(1,350円)

世評ほど、個人的には「牛肉どまん中」を、”絶賛!”、”イチ推し”、”ナンバーワン”などとは決して思っていない。東京駅でも新宿駅でもどこでも買えることもあって、珍しくもない。

従って「駅弁大会」ではあまり選ばないのだが、数年前に「4種盛り」を食べた時、元がカレー好きなのも相俟って、量の少なさ(何せ1/4なので…)が不満だったのを解消してくれる「カレー味」が今年は登場してくれたので、一度は食べようと最初から思っていた品。

メインの牛肉は、挽肉様のそぼろとコマ肉の合造だが、カレー味なのはコマ肉の側だけで、そぼろのほうはオリジナル同様の甘辛味。

カレー味と甘辛味の競演は、全体的に甘辛続きのオリジナルよりも変化があり、元々美味しい白飯が更に進む。

里芋煮、蒲鉾、玉子焼、にしん昆布巻、大根の桜漬けといった付け合わせはどれも素朴な味わいで、濃い味のメイン食材の良い箸休めになる。

 

もう少し牛肉が大きければねぇ…といつも思うのだが、そうなるとコスト高になってしまうのか…。

米原駅弁「近江牛大入飯」が来なかった今回、カレー味の牛肉弁当は本品が唯一か?

 

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再び7階へ下り、実演ブースに入って、涼を取るべく初見参のソフトクリームへ。

 

いわて山麓そだち濃厚ソフトクリーム(岩手県・ノグレット)(450円)

巷に溢れるスジャータ製を思わせる、ものすごく濃厚そうな見た目に反し、意外にすっきりとした後味が美味なソフトクリーム。

前半の清泉寮のシャリシャリ感と好対照をなすクリーミィな味わい。

脇に刺さっているのはごく普通のウェハスかと思いきや、しっかりとした食感の、確か煎餅と書いてあったように思う。

上から大口あけてかぶりつくも良し、煎餅ですくって上品に味わうも良し。

置いてあったチラシを読むと、現地ではこのミルク味の他に、玄米、コーヒー、甘酒の各種フレーバーがあり、他に野菜や果物を用いたジェラートも、アフォガードのトッピングなどもある模様。

 

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再び広くなった書店で、今度は買った以外の鉄道雑誌もパラパラと読み、12時半も随分回ったところで2階へ向かう。

今回も13時にはまだ間があったが、受け取ることができた。

 

これでひとまず退散。

パンや駅弁をコインロッカーに預け、新宿を一度離れる。

場内がこれまで以上に暑く、京王百貨店を離れても、人が多く、弁当2個、ソクトクリーム1本食べただけなのに、何だか腹が膨れ、やたらと冷たくてさっぱりとした飲み物が欲しくなる。

 

喫茶店もどこも混んでいるようなので、結局ペットボトルの飲み物で渇きを癒し、再び京王デパートに戻ってきたのは15時を少し過ぎた頃であった。

 

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最初の心づもりでは、もっと他所で時間を割いた後、実演販売ブースで再び弁当を買い、屋上で早めの夕食とする積りであったが、未だコメの飯と甘辛牛肉の食感が残っており、とても早弁する気にはなれない。

そこで、甘いものを買い、予定よりも種類を減らした弁当を買い、ここまで一度も飲んでいなかった、毎年定番のコレを飲み、今回の"締め"に再びソフトクリームを食べ、会場を後にした。

 

ぶどうジュース(岩手県・菅原ぶどう園)(1杯280円)

食品の相次ぐ値上げは遂に本品にまで及んだ。

昨年までの200円から一気に280円と、実に1.4倍の値上げである。

葡萄果汁の甘みの中に、何ともいえない独特のコクというか深い味わいがあり、他では感じられない唯一無二の価値がある。

コップ1杯ではあっという間になくなってしまうので、ひと瓶買って帰ろうかと思っていたのだが、コインロッカーに預けた弁当と、大量のパンに加えて重たいガラス瓶を提げて帰る気力が最早残っておらず、今期もこれ1杯だけに終わってしまった。

 

次回へ続く。