前回の続き
・常陸牛ロースステーキとローストビーフ贅沢盛り弁当
(水戸駅)(2,600円)
実演ブースでも売られている初登場駅弁。
並ぶのを嫌い、Web予約で入手。
ご覧の通り、肉、肉、肉!!!
おまけに玉子が偽じゃない!
そうだよ、これを待っていたんだよ。
齧ってみればその差は歴然。幾ら本物の煮玉子が高く、日持ちもしないからといって、何でわざわざ人工物を使うのか?
本物の玉子を使っているというだけで、良心的に思えてしまう。
付け合わせのタレは、前回取り上げた肉のふがねの「焼肉重」同様、ローストビーフ専用で、ステーキには紅塩をかけるのだが、両者とも量が多すぎて辛くなってしまった。
容器から想像できるように、この弁当もトレイが中央のみ窪んだ上げ底仕様なのだが、それを補って余りある肉の多さよ!
拡大写真右上にはローストビーフの花が咲く。
チラシ写真ほどではないにせよ、それは確かに花だった。
ロースステーキが血の滴る赤身を残しているところもいい。
この弁当は絶対にレンジで温めてはならない。
牛肉好きなら、喰うべし。
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・岩手短角牛やわらか煮弁当(肉のふがね)(1,680円)
いわずと知れた牛肉弁当の名品。
インターネット上では、当blogも含めてかねてから「高級コンビーフ」と称されてきた、脂身のない赤身肉をひたすら煮詰め、繊維がほぐれるほど柔らかくしたものがメイン。
とうとう店頭でも「コンビーフ」の文字が認められた。
醤油味の柔らかい牛赤身肉は他では味わえない唯一無二の味わい。付け合わせの甘みのない真っ赤な梅干しの酸っぱさが、絶妙なコントラストを引き出す。
蕗、人参、椎茸の煮野菜は打って変わって優しい味。
仄かな甘みの栗もまた、名脇役だ。
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・十和田バラ焼き重(新青森駅)(1,200円)
昨年に続き、リピート。
後半のチラシには載るそうなので、話題になる前に早めに手に入れられたのは良かった。
「十和田バラ焼き」とは、醤油ベースの甘辛ダレで下味をつけた牛バラ肉と大量の玉ねぎを、じっくりと“焼きしめ”たものだという。
その名に違わず玉ねぎが多く入っていて、ご飯が進む。
付け合わせはわさび菜醤油漬と大根漬の梅肉あえ、玉子焼き。
今回は、特に牛肉弁当を多く食べているが、本品が最も玉ねぎの甘みを強く感じた。
スルスルと風呂の蓋のように巻き上げる方式の蓋が独特。
元関西人としては、玉子焼きが甘すぎないのもポイント高し。
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・米澤牛牛肉弁当(米沢駅)(1,400円)
今回、本品とは別に「復刻版」もラインナップされているが、これは現行品。
両者でどう違うのか食べ比べしてみたいところではあるが、先にこちらを味わうことになった。
白米に味付けごぼうが散らされ、その上に牛肉煮が乗ったものがメイン。牛肉は甘辛く、ごぼうがある分、素朴な牛丼といったところか。
付け合わせは竹の子、人参、椎茸などの煮物。それとしば漬け、玉子焼き。
煮野菜はどれも甘辛で、前述・肉のふがねほど薄味ではない。玉子焼きも砂糖入の、東日本ではオーソドックスな味。
特筆すべきはご飯が美味しく感じられたこと。
米沢駅弁といえば、別の調整元の有名作・「牛肉どまんなか」があるが、「どまんなか」とはコメの品種のこと。
コメの名産地といえば新潟のイメージだが、山形県も実はそうなのだろうか。
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・たかのののどぐろめし(加賀温泉駅)(1,400円)
昨年に続きリピート。
のどぐろといえば北陸を代表する高級魚で、これをタレを塗って焼いたものがご飯一面に並んださまは壮観である。
新潟駅弁で「のどぐろとサーモンといくらの弁当」という弁当がかつては毎年のように来ていた。漬けサーモンとのどぐろの塩焼きの絶妙なコントラスト、上げ底容器を補って余りある、こんもりと盛り付けられたボリュームなど、お気に入りの駅弁であった。
その弁当で、のどぐろの味を覚えたのだ。
以前に比べると、のどぐろのスカスカ加減がどうしても目立って仕様がないが、昨今の値上げラッシュのさ中にあって、50円の値上げ幅に抑えてくれた調整元の企業努力に賛辞を贈りたい。
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・米沢牛伝統の百年焼肉弁当(米沢駅)(1,650円)
初めて食べる…と思って買ってきたが、過去の記録を見返してみると、2018年に一度食べていた。
米沢駅弁の調整元・松川弁当店は、間違いなく牛肉弁当の東の王者だと思っているが、牛肉の味噌粕漬けとは珍しい食材だねェ…と期待が膨らむ。
牛焼肉自体が濃厚な味わいなのに、味噌と粕の味が加わり、更に濃厚味が増す。
隠れたバランの下にはオーソドックスな牛柔らか煮が配され、ともすると味噌の辛味に引っ張られそうになるのを、甘みで中和してくれる。
付け合わせは以前のものよりもシンプルになり、砂糖入玉子焼きは同じだが、切り干し大根、柚子皮の酢の物だったのが、大根としその酢漬に変わった。
次回へ続く。