前回の続き。実食タイムである。
先ずは事前予約で引き取ってきたものの内、保冷剤を付けてくれたものから片付ける。
・豪華三種漬け丼(福井駅)(1,620円)
寒ブリ、漬けサバ、甘えびと3種類の海鮮が乗った豪華版だが、蓋を開けた瞬間、嫌な既視感を覚えた。
…上げ底…
思った通りであった。
昨年も全く同じ思いをしたことを、1年経って見事に忘れていた。
ご覧の通り、表面から見ればなかなか見事な豪華海鮮丼である。
しかも北海道のように、カニや何やでゴテゴテ埋め尽くしていない。
しかし、銭湯の子供風呂を思わせる、このご飯の層の薄さは何だろう。
嫌らしい行為だが、容器を下から写してみた。
黒い縁の、実に高さ半分ほどが上げ底されている。
特別なシャリを使っているわけでもないだろうに、何でたかがご飯の量をここまでしてケチるのか。
よほど小食の人は別として、この分量では絶対に1食では足りない。
昨今のコンビニ弁当を思い出し、何だか悲しくなってしまった。
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・北海ちらし(釧路駅)(2,484円)
気を取り直して、2食目。
サーモン、生ホタテ、カニのほぐし身、イクラ、少量ながら生ウニも入ったオーソドックスな海鮮丼。
刺身をマグロではなく、サーモンとしたのは少しでもコストダウンを図ったか?
付け合わせのワサビを全て塗って食べたら、思いのほかワサビが効いて、脳天を突き抜けること数回。
しかしながら、残念!
これも上げ底。
ご飯の層の薄さは、上記「三種漬け丼」並だ。
醤油が滲み込みすぎて辛い。
ワサビも効きすぎて辛い。
適当に量を調整しながらかけるべし。
海鮮丼のくせに貧相な印象しか残らず。
釧路の駅弁なら、数年前に姿を消してしまった、「ほっかぶり寿司」のほうが遥かに良い。
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・北海道産牛 生ハムユッケ丼(南千歳駅)(1,300円)
気を取り直して3食目。
初登場の、珍しい生ハムを使った弁当。
中心に乗っているのは玉子のようだが、思った通り、偽玉子であった。
偽玉子とは、嘗て「島根牛みそ玉丼」で初めてお目にかかった、見た目は綺麗な白色だが、人工的な白身であり、中の黄身も不自然に均質な黄色味を帯びた、要するに人造玉子のことである。
嫌な予感を感じつつ、箸を入れる。
すると3食めにして初めて、上げ底ではないまともな容器の弁当に行き当たった。
さて肝心の生ハムユッケだが、とにかく塩辛く、ご飯が欲しくなる味。
敷いてある野菜もナムルといってよく、こちらも辛い。
偽玉子でも何でも、とにかくこの辛味を和らげてくれるだけで有難く感じる。まともな量の白メシも、この弁当には必須アイテムだろう。
しつこいようだが、最初に取り上げた「三種漬け丼」の容器と共に、外側を取り払い、重ねてみたのがこれ。
赤黒いほうが本品。
大した厚みのないプラ容器なのに、この縁の高さの差は…。
この弁当が上げ底でなくて、本当に良かった。
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・岩手短角和牛焼肉重(肉のふがね)(2,380円)
上げ底やら辛すぎ人造食材やら…口直しに早くも”絶対エース”投入。
主力商品・「岩手短角牛やわらか煮弁当」と容器は全く変わらないが、こちらはやわらか煮ではなく香ばしい甘辛味の焼肉が白飯の上に余すところなく敷き詰められ、更にピンク色が美しいローストビーフが加わる豪華仕様。
白飯と肉の間にはきんぴらゴボウも乗っている。
ローストビーフ用のタレは、本来全てローストビーフのタイプに合わせた量なのか、このハイブリッド仕様では多すぎだが、やはりここでも端に添えられた昔ながらの甘みのない酸っぱい真っ赤な梅干しが素晴らしい口直しの役割を果たす。
付け合わせの蕗、椎茸、人参のいずれも控えめな煮野菜、仄かな甘みの栗。全てが濃厚な牛肉と見事なコントラストを成し、申し分のない完成度の高さを感じる。
前回食した2020年当時と比べ、400円も値上げされてしまったが、昨今の値上げラッシュの中、確実に美味い牛肉弁当を食べるならこれという安心感を与えてくれる。
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いきなりお昼に4食というのは、幾ら最初の2個が話にならない量だったとはいえ、胃袋にきつすぎた。
その日の夜は、プレゼントの弁当箱目当てに地下で買ったフルーツサンドしか入らず、残りは翌日以降に回すこととする。
次回へ続く。