9月2日(土)

 

網走駅前―博物館網走監獄/博物館網走監獄―網走駅

網走駅―女満別空港―羽田空港

 

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前回の続き。

この旅もいよいよ最終日を迎えた。

網走の宿でも朝食はバイキングであった。

普段よりも遥かに大量の食事を摂っている。

宿を出て、網走駅へと向かい、ロッカーに荷物を預けた。

もしかすると、宿のフロントに頼めば預かってくれたかもしれないが、空港へ向かうのが丁度昼時で、宿が手薄になる時間帯だから、厚かましいことを言うのはやめた。

駅構内に「かにめし弁当」の売り場がある。その奥が喫茶店になっており、売り子さんはそこも兼ねているようだ。

釧路もそうだったが、人の少ない駅構内とはいえ、ご当地駅弁の売り場がこうしてしっかりあると、何となく安心する。

丁度、北見へ向かう普通列車の改札が始まっていた。

平日朝間だから、「キハ40」も重連である。

それにしても次の列車が1時間半後とは、閑散路線もいいところである。

客が少ないんだろうな…と苦境ぶりが窺える。

 

駅構内に、「網走刑務所作業製品」なるものが展示されていた。

受刑者の人たちが作っているのだ。

コーヒーカップや湯飲みが、湖面に張った氷がひび割れたような模様で、如何にも北海道らしい。

一瞬「欲しい」と思ったが、どうやら駅では売られていないようなので、すぐに忘れてしまった。

バスに乗る。

前日、活け毛ガニ定食を食べに乗ったのと同じ路線だが、今度は店の前を通り越し、博物館網走監獄まで行く。

これから向かうのは、網走刑務所の昔の様子を再現した博物館のほうだが、途中車窓に見えたこの建物が、現在の網走刑務所である。

 

やがてバスは街道から山道に逸れ、ほどなくして停留所に着いた。

ご覧の曇天で、肌寒く、博物館へ向かう客はまばらだったが、乗用車で来ている客もおり、チラホラと人の姿が認められる。

橋を渡り、入場券を買い、煉瓦造りの正門へ。

ここへは昔、一度来たことがある。

その時は確か夕方、閉館間際の時間であった。

そのせいか、訪れる客は少なく、広い敷地内の囚人たちの人形が、何だか不気味に見えた。

あれから28年。

こんなに綺麗だったか?

もっと陰気臭い場所だった記憶があったのだが…。

 

アーチ型が美しい。今はこんな形の建物は造られないであろう。

おや…かっちりした制服に身を固めた門番が立っているぞ。

さすが網走監獄…と思い、近付いたら人形だった。

これは期待できる。

かつて見て回った大勢の人形たちは、昔と変わらず健在に違いない。

最初に正面の「庁舎」へ入る。重要文化財だという。

中は展示室となっており、展示パネルや資料が展示されている。

ゴージャスな布張りの椅子で寛ぎたいところだが、あまり時間を浪費する訳にもいかない。

屋外に出て、広大な建物を見て回ることにする。

 

まずは「職員官舎」。

いきなり人形のご登場だ。

姉さん被りの奥方が立ち働く奥に、窓を背に囲炉裏の前に陣取る亭主…って、よく見たら剃り込み入ってるし、パンチで茶髪だし、人相悪すぎるぜ、オッサン。

職員っていう以上は、舎監か何かなんだろうにねぇ。

 

厨は昔の日本の台所って感じ。

昔、としまえんにあった西洋おばけ館のそれみたいに、ゴキブリの作りものはなかった。

「母ちゃん、大根めしってうめえな…」

そんな声が聞こえてきそう。

 

水門を横目に見ると、向こうで囚人服着たおっさんが何かしてる。

…と思ったら、いかだをこいでいるのか。

巨大ニポポもあるぞ。

 

裁判所へ。

 

ものものしい法服の展示もあるが、何といっても見どころは人形たちが織り成す法廷再現場面。

格好は意外と今風です。

 

接見室?

キターッ!!

何で悪者といえば、剃り込みリーゼント、茶髪、ガングロって決まってるんだろ…?

「っせーんだよっ!何か文句あっか!」

「まぁ落ち着いて話し合いましょ」

「ああーっ?」

 

捕われのおばはんをじっと監視する女性看守。

あら、よく見ると、結構若い姉ちゃんだわ。

お肌がきれいです。

 

別の法廷再現場面。こちらの被告はソバージュの長い髪がなかなか魅力的な30代位と思しき女人。

さしずめ、暴力亭主ともみ合う内、誤って刺し殺してしまったってなところでしょうか。

 

こちらは休泊所。

道路作りに駆り出された囚人たちが、現場で寝泊まりするための簡易宿泊所。「動く監獄」と言われたそう。

いわゆるタコ部屋ってやつですな。

丸太が枕になっていて、「カンカン、カンカン」とけたたましくぶっ叩かれて起こされちゃ、どんな寝坊助でもかなわない。

 

まだ寝てるおっさんたちがいる中、4人だけ立ちん坊でテーブルを囲んで何やってるんだろう?

白い制服姿が凛々しいが、何故かアンニュイな表情の若き看守。

 

うわっ、まぶしい!

 

「そいでよォ、スケがよォ…ごにょごにょ…」

「でへへ…そいつはお盛んなこって」

どんな時でも、寝床の内緒話はたまらねぇな。

 

「コラ、お前ら!明日も早いんだぞ!さっさと寝ろ」

 

立ってる4人は、なぜかメシ食ってた。

この連中も、揃いも揃ってパンチだが、左手前のオッサン、石○三郎氏か、髪型を変えればさ○まに似てる。

 

別棟ではみんなお寝んね。

…と思ったら、1人まだ起きてたか…。

 

眉間の皺がひときわ深いヒゲ看守。

屁我慢してるのかしらん…。

 

こちら気持ちよくお寝んね中。

栄養が足りてるのか、ツヤツヤと血色のいいこと!

 

仲間が寝息を立てる中、秘かに目を見開くオッサン1人。

コイツ、何か企んどるな…。

 

外に出ると、わらロール(?)が転がっていたりして、のどかだが、どうやってこんな綺麗に巻くんだろ?

 

農作業や漬物を漬けるための場所もあったようだ。

ものものしい農機具が並ぶ。

拷問器具に見えなくもないが、全部れっきとした農機具のようだ。

それにしても「鬼ハロー」って、すごい名前だな…。

田んぼにするのに、コイツを馬に牽かせて土を耕すためのものらしいが、直訳すれば「鬼さんこちら」。

うーん…何で鬼?

 

ここにもいたいた!

看守の見張りの下、作業にいそしむ囚人たち。

金づち振り上げ、鍛冶屋の真似するひときわ威勢のいい茶髪の兄ちゃん、よく見るとハゲや。

それを見守る若きチョビ髭看守。

シュッとした日本人離れしたお顔だが、多分外国製マネキンの流用なんだろうね。

 

監獄歴史館へなだれ込む。

 

網走刑務所という名を一躍有名にしたのは、やっぱりこの映画なんだよなぁ。

一度本腰入れてシリーズ全部観てみるか。

この時はすぐにでも…と思ったが、未だ手つかず。

ごめんよ、健さん。

 

何だか場違いな、鹿鳴館夜会服みたいなのが出てきたな…と思ったら、名古屋の明治村とタイアップしているらしく、いわば関連展示といったところか。

極寒の中、苦役に耐える囚人から見れば、こんなヒラヒラした夜会服に身を包んだ高貴な令夫人たちなど、目の保養どころか、目の毒か憎しみの対象にしかならんだろう。

明治村にも、ここと同じようなオレンジ色の囚人服着た人形たちが展示されていることを、今やっているNHK朝ドラ「半分、青い」で、この前、初めて知った。

 

メインの展示は、3方向のスクリーンに映し出される、中央道路開削の再現映像。

山林原野を一から切り拓くんだから、重労働もいいとこ。

スクリーンの奥が透けて見えるので、何やら幻想的な風景。

ここにもしっかり看守がいました。

“彼”が一番男前だったかな…?

 

2階には囚人服を着てみるコーナーや、丸太ん棒持ち上げ体験コーナー、刑務所の歴史を語る展示など。

 

囚人と看守たちとの関わりはまだまだ続くが、長くなるので一旦ここらで打ち止め。

次回へ続く。