前回の続き。

1/17(水)のこと。身体が空いたので、開店前でこそないが、他の予定を返上し、現地に着いたのは11時前のことであった。

前半最終日に行く機会は滅多にない。

その分、後半が一発勝負になりそうで、その時こそ何をどう買おうか、作戦を立てねばならない。この日は、少しでもその時の補完ができれば、と考えた。

 

「A-0」輸送コーナーに行くと、思ったよりも列が短い。

ほどなく売場に通された。

カゴは敢えてもらわず、そのまま売り場を見て回る。

狭い場所ではカゴが却って邪魔になる。

今回一番というより唯一の“瞬殺”アイテム・茅野駅の「信州安養寺味噌弁当」は案の定、跡形もなかったが、大体この辺りと場所の目星がついた。

 

後日ここには朝一で来る積りでいる。

何が買いやすいのか、何が売れ筋で品薄なのか、ある程度見極めるのもこの日の大きな目的であった。

過去の“瞬殺”あるいは人気アイテムであった、「うに壺」(稚内駅)、「旭川しょうゆ豚丼」(旭川駅)、「山海三昧」(大分駅)、「天草大王」(熊本駅)は結構残っていた。

又、今回初登場の中で、スコップ型のスプーンがかわいいと評判の「日光埋蔵金弁当」(東武日光駅)などは結構残っていたが、気になる存在なので一度は手にしたが、後で選んだ弁当が多くなってしまい、この日は急いで買うこともあるまいと後回しにする。

昨年の“瞬殺”アイテムで、当blogでも取り上げた「えひめみかんブリの西京焼弁当」(松山駅)が1つだけ残っていた。去年の状況からすれば、信じられないような残り福状態なので、予定外だったが、手にする。

公式HPの実食レポートや2ちゃんねるの書き込みを参考に、現場で目にして旨そうだと思ったものなど、結局この日「A-0」で買ったのは、次の通り。

 

旭川しょうゆ豚丼(旭川駅)

・プレミアム焼肉弁当(米沢駅)

松阪名物黒毛和牛モー太郎弁当(松阪駅)

・ザ・さばかいどう(敦賀駅)

炙りのどぐろと炙りますの北陸御膳(敦賀駅)

牡蠣まつり丼(姫路駅)

丸亀名物骨付鳥弁当(丸亀駅)

えひめみかんブリの西京焼弁当(松山駅)

 

その数、実に8個。“実演中心。「A-0」は様子見”と最初に書いておきながら、ここへ来て、一気にスイッチが入った格好だ。

 

「C-1」総合案内前にも行ってみた。

宮島口駅の「あなごめし弁当」の整理券が結構残っており、思わず3食目の券をもらう誘惑に駆られたが、流石に6,000円も同じ弁当だけに遣うのは幾ら感覚が麻痺しているとはいえ、どうかしている。すんでのところで踏みとどまり、昼食用の弁当を求め、実演コーナーへ流れていく。

前半最終日も、やはり551蓬莱は強い。確かにでっかくてホカホカで美味いが、ああまでして並ぶほど、情熱を傾けるべきものなのだろうか。関西ではあちこちに売店があり、阪急の西宮北口で全く並ばずに買い、宝塚へ行く前に、あの広いホームのベンチで電車を見ながら豚まんと焼売を食べたりしているので、東京の催事でのフィーバーぶりは異様に感じる。

まぁそれを言うなら、今回も後半に登場する玉出木村家のパンもそうなのだが。尤もあちらは岸里玉出や難波高島屋は空いているが、梅田や河原町では東京同様長蛇の列らしいので、まだ分からんでもないが。

弁当で列が目立つのは、出水駅の「熊本あか牛と鹿児島黒毛和牛の牛肉めし」「うに貝焼き食べくらべ弁当」(いわき駅)、それと広島駅の「焼き夫婦あなごめし」

「あなご」は、公式サイトの紹介記事で見た写真が、あまり美味そうには見えず、2ちゃんねるによれば、前に実演で来た「炙りあなごめし」と同じ調製元で、手際が悪いから長い列が出来るんだという厳しい書き込みが。

穴子駅弁は、何を食べても、前回取り上げた宮島口の駅弁に敵うものがないというのが個人的な結論なので、最初からスルーする。

 

それと人が群がっているのは「うまいもの」だが、海鮮弁当の北海道・海のや。やはり彩り鮮やかな北海道の海鮮丼は強い。しかもあまり高価すぎず、2,000円程度で収まるのがポイントのようで、同じ海鮮丼でも、礼文島の本格派生うに弁当などは、4,000円超えの価格設定が響いてか、客が寄りついている感じがしない。

「うに貝焼き~」は人気が出始める前に食べておいて本当によかった。今回の「ウニ対決」では、ここの一人勝ち状態のようだ。

 

先日来た時、気になった岐阜・高山駅の「飛騨牛入手こねハンバーグ弁当」を買う。3人ほど並ぶ。前の前の客が「飛騨牛ステーキ&カルビ弁当」を2つ、カード払いで買っている。カード払いは実演ブースだと、中央のレジまで店員が走って行って決済してこなければならず、手間取る。現金でサッと買いたい客はいつまでも待ちぼうけを喰らわされる。どうにも手際が悪い。

待たされている間に実演の様子を見ていたが、ふと売場脇に「飛騨牛にぎり

と書いた幟があるのが目に留まった。注文を受けてから握ると書いてある。

ついでにこれも買っちゃおうか。そう思ったら、「本日分は完売」とシールが貼ってあった。早っ!朝一で売切れたってこと?!

 

続いて前半で実演販売が終わる、秋田・大舘駅の花善で、今回は王道の「鶏めし弁当」を買う。後半は引き続き「D-1」の整理券引き換えで輸送されてくるが、前に輸送で食べたら、やはり実演のほうが圧倒的に美味かったので、この弁当は実演にこだわるのである。

 

更に、後に回すと丼が嵩張りそうな、水戸駅の「常陸牛 山椒風味カルビ弁当」を入手。第53回の記念丼付のものが各日300食限定だが、丼付バージョン売切れ後の通常版とは100円しか違わない。「ながさき鯨カツ弁当」が「龍馬丼」に入っただけで、1,080円が2,700円に跳ね上がるのとはエラい違いだ。器付で高いといえば、「台湾パイコー弁当」もそうだが、器ばかりもらっても、結局使い道がなく、邪魔なだけだから、容器代の上乗せが大きい弁当は全て願い下げなのである。

ここも全く列はなかった。

 

これらを携え、屋上へ。

この日は雨の予報で、その時はまだ雨ではなかったが、今にも雨が降り出しそうな気配。幸運にも禁煙側のベンチが空いていたので、そこに陣取り、12時前の早めのランチタイムとする。

 

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「飛騨牛入手こねハンバーグ弁当」(高山駅)(1,200円)

デミグラスソース仕立てのでっかいハンバーグがどーんと乗っかった、男前な弁当。

インゲン豆など豆が脇についているな…と思ったら、チリコンカンというアメリカでは定番の料理らしいが、チリが入った感じはせず、あくまで豆の水煮が脇にあるという印象。

緑色の野菜は山くらげ漬で、どっかで同じものを最近食べたな…と思ったら、同じ調製元の高価駅弁・飛騨牛ステーキ&カルビ弁当」でも同じ食材が副菜についていた。

ご飯の上に敷き詰められているのは錦糸玉子。

…とこのように、メイン食材のハンバーグは堂々たる洋食だが、付け合せが(豆以外は)悉く和風という、何ともミスマッチな弁当である。

とはいえ、たっぷりかかったデミグラスソースと、肉厚なハンバーグが、全ての脇役に圧倒的に勝り、食べてしまえば「デミハンバーグ、うめぇ~」という印象以外の何物でもない。

醤油ベースの和風ハンバーグの方が、もしかしたらこの弁当の全体的雰囲気には合っているのかもしれないが、ヘルシー志向の女子ならともかく、ハンバーグをドーンと出されて、和風味のほうが好きという男子はいるか?!

副菜や錦糸玉子とのミスマッチ感覚はどうしても否めないが、それを上回るデミグラスソースの濃厚な味わい。

やっぱりハンバーグは洋風デミグラスでなくっちゃね!

それを再認識させてくれる弁当。

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「鶏めし弁当」(大舘駅)(880円)

これもここ数年、毎年欠かさず食べ続けている弁当。

前に高いほうの「比内地鶏の鶏めし」を先に食べたが、やはりこの定番駅弁も、実演が来ている以上、一度は食さねば落ち着かない。

随分と甘めに味付けされたダシの十分効いた炊き込みご飯に、そぼろ玉子、メインの鶏の煮つけ、栗の甘露煮などが乗り、てっぺんには紅葉を象った紅麩。

鶏肉が少ない気もするが、ご飯にしっかりと味がついているので、ご飯だけでも食べ進められる。

付け合せは、花型模様の蒲鉾、鶏肉のつみれ、がんもどき、椎茸甘露煮、しば漬、胡瓜漬など。

とりわけがんもどきとつみれが美味。脇役が実にいい仕事をしている。

地味な見た目ゆえか、実演ブースはいつもガラガラだが、根強い固定ファンはおり、私もその内の1人。今どき880円でしっかり腹が膨れる個性的な駅弁は貴重な存在なのだ。

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「常陸牛 山椒風味カルビ弁当」(水戸駅)(1,500円)

上でも記したが、今大会記念丼に入って、「プラス100円」とは随分良心的な価格設定ではないか。

その丼は、器の底に53回記念の文字がついているが、側面はおにぎり、釜、箸などのイラストが並んだデザインで、別にカッコイイとはいえない。

密閉こそしないが、軟質ポリ製のフタがついているのは、意外な芸の細かさ。

さて容器のことばかり記したが、肝心のお味のほうは、ストレートな焼肉丼といった様相で、牛の山椒焼とは初めて食べたが、なかなか香ばしいカルビ焼肉で、男でこれを嫌いという者はまず居まい。

蓮根、玉ねぎ、牛蒡、人参からなる根菜マリネという付け合せが珍しい。

桜漬けもカルビ焼肉の味を邪魔せずに、塩気とコリコリ食感を加える“味変”に貢献する名脇役。

しかしそれ以上に特徴的なのは、デザートという位置付けの青梅の甘露煮であろう。脂っこい焼き牛肉丼をしこたま掻き込んだ後、梅の清涼感が、この上ない口直しとなるのである。

各日限定300食の記念丼入りが売り切れた後は、縦長の通常容器版での販売に切り替わった。

今大会期間中、2ちゃんねる上で、幾多の実食レポート&写真を投稿し続け、多くの上質な情報を提供し続けてくれた駅弁太郎氏の言によれば、通常容器版のほうが、弁当自体は少しだけ量が多いようだ。

しかし、昼間訪れた限りでは、いつ見てもそんなに売れている感じはまるでなかったが、通常容器の出番はどれほどあったのだろうか?

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丸亀名物骨付鳥弁当」(丸亀駅)(1,350円)

屋上でのランチタイムも、既にここまで3食。

ここまでで留めておこうかとも思ったが、再び4食目に突入。

最初に買ってきた「A-0」輸送から、この弁当を食べることにした。

買った中で唯一の加熱式であるため、輸送とはいえ、温めることができること、それと加熱式は食べた後の容器の処理に手間取るから、現地で食べて空容器を処分してしまったほうがよいからである。

大掛かりな箱に垂れ下がった紐を引き、待つこと5分。

湯気が出てホクホクとしてきた。

そろそろ食べ頃。

お手拭きに加え、紙ナプキン、プラスティック製先割れスプーン、割り箸と、至れり尽くせりだが、更にその下の弁当を見て得心がいった。

大きな骨付き鶏肉がデーンと鎮座し、その下にしょうゆ味か?味のついたご飯。カレー風味の茹でキャベツが添えられる。

鶏皮ポン酢和えが副菜につくという徹底的に鶏に徹した弁当。

メイン食材の骨付鶏は、ニンニク風味の香ばしい味で、骨付きなので、さすがに割り箸で持ち上げたままかぶりつき続けるわけにもいかず、最後は骨を手でつかみ、かぶりつくことになる。紙ナプキンはそのためのものなのだ。

加熱式駅弁に共通の仕様だが、容器の大きさに比べ、上げ底で量が少なく、満足は得られない。

汁っぽい上に容器の縁が幾重にも溝があるので、箸でご飯を摘み上げて口へ運ぶのは至難の業。スプーンはそのためのものだ。

小さな容器に入ったのは、デザートか何かだと思い、最後に蓋を開け、口をつけて飲んだが、鶏油だった。

容器の蓋を見直してみると、カップの鶏油(チーユ)をかけよと書いてあった。

容器の説明はよく読むものだと痛感した。

 

東北新幹線が新八戸へ通った翌年、加熱容器を使った麺類駅弁対決というのがあった。

その時、容器の見た目のゴツさに反し、中身の少なさにがっかりさせられたことがあった。

その欠点は本品も同じである。骨付き鶏という大胆なおかずを使った独自性は買うが、如何せん食べにくく、量も少ない。

やはり加熱式駅弁は、自分には合わないと再認識させられる結果となった。

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会場に戻ると、丁度お昼時であった。

先ほど逸早く「完売御礼」となっていた、高山駅の「飛騨牛にぎり」の完売シールが取り払われていたので、聞いてみると、復活したようだったので、注文した。

出来上がるまで売場脇で待っていたら、奥の方から調理担当のおっちゃんが、何やら茶色い汁の入った大きなビニール袋を取り出しているのが見えた。

中は瘤のようなものが3つほど盛り上がっている。

どうやらそれはローストビーフのようであった。

実演とはいえ、何もデパートの売り場奥で一からローストビーフを作るわけではない。調製元で作られたものを真空パックにして、湯煎する。

頭ではわかっても、何だか楽屋裏を見せられたような気がした。

 

本当はこの弁当こそ、出来立てを即食べるべきものだったが、既に4食を胃袋に収めた身に、これ以上詰め込むのは無理であった。

買える時に買っておこうと思い、甘いものにもこの日初めて手を出した。

毎年欠かさず食べている、えがわの水ようかん、昨年初めて食べて気に入った山形県・まめやの「富貴豆」、今回初登場で、なかなか美味そうに思えた「さが錦 小豆」(村岡屋)の3種である。

 

いつになく早い帰途に就いた。

欲張って3食目の「あなごめし弁当」の整理券をもらっていたら、弁当7個が入った紙袋を提げて、またどこかで時間をつぶさねばならないところであった。

 

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さてその日の晩、昼の食べ過ぎで、帰りの電車で爆睡、夕方になっても全く空腹感を覚えない状態だったのが、8時を過ぎた頃、漸く空腹を覚えたので、持ち帰った中から、やはりこれだけは逸早く食べておくことにした。

 

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「飛騨牛にぎり」(高山駅)(1,600円)

5貫で1,600円。1貫320円という勘定である。そう考えると随分高い。

予め生姜が乗ったピンク色をしたローストビーフは食欲をそそる。

付け合せの醤油をかけると、更に旨そうな色合いになった。

口に含むと、思った以上に肉は分厚く、固いという印象。

以前、「前沢牛ローストビーフ肉巻きにぎり寿司」という駅弁が実演ブースに来ていたが、牛肉握り寿司としてはこれのほうがまだ美味かったかな…と思う。

ローストビーフってのは案外硬いんだ…ということを改めて実感させられた一品。どうせ牛なら、タタキのほうがレア度が高く、寿司に合う気がするんだけれどねぇ…。あ、それは生肉に近づくから、駅弁としてはNGなのか。

もう少し肉が薄くていいから、その分値段を安くして。

 

最後は甘いもの。

 

水羊かん」 (福井・えがわ)(1箱700円)

毎年買っている品。

福井では冬に水羊羹を食べる風習があるようで、他にも色々なメーカーから水羊羹が売られている。

過去には、この催事の次に催される福井物産展で、それらをありったけ買ってきたこともあったし、一度ネット通販で取り寄せもした。

そうして食べ比べてみると、改めてこの「えがわ」のものがよくできていると思わずにはいられないのである。味もそうだが、小分けにしやすく形取られた軟らかいプラ容器。その溝の幅ぴったりの木べら。

かの向田邦子氏が大の水羊羹好きであったが、彼女はエッセイで、「歯を食いしばって、一度にひとつで我慢しなくてはいけないのです。」、「水羊羹を四つ食った、なんて威張るのは馬鹿です。」と書いている。

それを体現したわけでもあるまいが、1区画を切り取って皿に入れるのに、実に都合よくできているのである。

こしあんを寒天で固めたものだが、隠し味は黒砂糖。これのお蔭で、実に味わい深い甘みとなっている。

これを持っている間は、毎食後、チビチビとつい食べ進めてしまう。

今回も、途中で食べ切ってしまい、後でもう1回買い求めた。

ひんやりとしていてサッパリして甘いものが恋しくなるという駅弁大会の法則に、何とも忠実に動いているのが我ながら可笑しいが、元々その手のものが好きだから、仕方がない。

 

次回へ続く。