前回の続き。
今年の“駅弁大会”は、最後は大雪に振り回され、輸送駅弁の多くが不着という異常事態のまま終わりとなってしまったが、実食レポートのネタは多数なので、あと数回、このシリーズを続ける。
暫しお付き合いのほどを。
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・海の輝き(小樽駅)(1,580円)
個人的には蒸しウニの美味しい駅弁で真っ先に思い浮かぶのがこの弁当だ。
イクラの醤油漬け、蒸しウニ、玉子焼、ししゃもの卵、椎茸煮が色鮮やかに盛りつけられた美しい海鮮ちらし寿司である。
しょっぱさ、甘み、酢の酸味…各具材の味が複雑かつ絶妙に絡み合う中、椎茸煮の甘辛味が、実にいい仕事をしている。
今回の実演ブースでは、「ウニ対決」の一派・「まるごと雲丹と本ずわいのっけめし」、それのいわば“ウニ抜き”である「本ずわいまるごとのっけめし」と本品の計3品が売られていたが、やはりここの真の看板は本品だと思うのである。
長い会期中に「まるごと雲丹と本ずわいのっけめし」も試してみようかと思っていたが、この後、色々な弁当を多数買い込んだ煽りで、その機会がないまま終わってしまった。
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・のどぐろとサーモンといくらの弁当(新潟駅)(1,530円)
すっかり“定番”と化したお気に入りの一品。
のどぐろの塩焼き、醤油漬焼サーモン、いくら醤油漬と、魚系食材が賑々しく並ぶ。付け合せに甘酢生姜、ゆず。
これを受けるのが昆布だしご飯。このご飯が実に美味い。白米でも酢飯でもないご飯と、半生の魚を合わせる弁当は、他にちょっと見当たらない。魚との相性はバッチリだ。
容器が上げ底になっているが、その分、ご飯がこんもり盛り上がり、緩い山裾に魚がへばりつくように配されている。
これだけ魚が多いと、ご飯よりもおかずが余ってしまうほどである。
2ちゃんねるの書き込みによると、初登場時はのどぐろがもっと立派だったとのこと。馬面歯茎の某庭球N選手の「のどぐろ食べたい」発言が、のどぐろという魚への注目度を一気に高め、品薄になったのが原因と囁かれているが、真偽のほどは定かではない。
個人的にはのどぐろの塩焼きもさることながら、半生サーモンの漬け焼きがそれに勝る美味を誇っていると思っているのだ。
当初、1,530円という値段は高めに感じたが、その後ずっと価格据え置きで頑張っており、この店の良心を感じる次第。
この弁当の後、のどぐろを用いた弁当も色々食べたが、やはり「のどぐろといえばこれ」という、定番の強さを食べる度に感じさせてくれる一品である。
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・ぶりかまめし (富山駅)(1,100円)
駅弁大会に行くようになって11年、全ての回で欠かしたことのない唯一の弁当である。
昨年の記事を読み返してみると、「1,200円」とあり、このご時世に値下げ?
200円、300円の値上げが当たり前のようになされる昨今、ファンとしては実に嬉しい。
濃厚な甘辛ダレをまとったぶりかまが主役。山椒をまぶせば、さながらウナギを思わせる味わい。箸で切れるほど骨まで軟らかく煮込まれた食感は他に類例を見ない。じっくり一晩煮込むそうだ。何年か前に、自分でぶりかまを買ってきて圧力鍋で煮てみたが、ここまで骨が軟らかくはならず、到底素人が再現できるものではなかった。
白エビに刻み生姜、わかめの乗ったわさび味の酢飯。それら脇役たちがぶりかまという存在感たっぷりな千両役者を引き立てる。意外に白エビのじょりっ、しゃきっとした食感が効く。
今回は、少し値の張る姉妹品(「源の旅めし ぶりかま 紅ずわい蟹 白えび」)も売られており、真っ先にそちらも試したが、やはりどっちをとる?と言われれば、圧倒的にこっちなんだよなぁ…。
わかめとわさび酢飯が、ぶりかまの生臭さを消すのに重要な役割を担っている気がする。
近頃、京王地下や東京駅にも冬は輸送で来るようなので、また買いに寄ろうか知らん。
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・あなごめし弁当(宮島口駅)(1,944円)
数年前は1,300円台で買えたし、実演に来たこともあったが、近年は「D-1」販売の整理券対応方式に落ち着いている。
昨年、1,700円台から一気に1,900円台に値上げ。
2,000円の大台を超えるのは時間の問題かと思われたが、今年は嬉しい据え置き。同価格帯の佐賀牛もそうだが、やはり1,000円台を辛うじて維持するというのが、売れるギリギリの価格帯という考えなのだろうか。
過去には整理券に時間帯が細かく設定されるという特別感が与えられたこともあったが、今回はオーソドックスな方式に戻った。その代り、前半限定となり、この弁当の整理券を求めて一度きりの週末に朝早くから並ばれた方も多いと思う。
かく申す私もその口で、幾ら高価とはいえ、目の前にこのレア駅弁の整理券が多数積み上げられている状況を前に、1枚だけもらっていけるほどストイックにはなれず、つい欲張って2枚もらった。
いわずと知れたあなご弁当の王様である。
経木の弁当箱に、焼き穴子がぎっしりと並んでいる。穴子が1口大に切り分けられ、漬物が置かれた場所を除き、全て穴子、穴子、穴子…。甘すぎず、香ばしい醤油味のさっぱりした穴子ならではの味わいを、この弁当は「これでもか」というほど味わわせてくれる。
穴子の周囲を下のご飯ごと箸で掻き出し、口に運ぶこと11回。付け合せの漬物は、沢庵、奈良漬、甘酢生姜とバラエティに富み、良い箸休めになる。
個人的に奈良漬は苦手だが、この弁当では、その独特な風味が寧ろ絶妙な“味変”になってくれるのである。
経木の弁当箱も随分減ってしまったが、こうして味わってみると、やはり経木ならではの味わいがある。
先に記した園部の「栗めし」もそうだが、ご飯に木の香りが移っている。それは今どきのスチロール容器では決して味わえぬ、古き良き時代の、先人の知恵が活かされた懐かしい味わいだ。
時間の経過と共に、弁当箱に接した箇所のご飯が、経木に水分を吸い取られ、カチカチになってゆく。鍋に高足式の台を入れ、この弁当の底を持ち上げて、下に水を張り、火をかければ、簡易蒸し器となるなど、今回もこの弁当の味わいを復活させる方法が色々と語られていた。
私のは、もっと横着な方法で、水をパラパラと振りかけて、蓋を乗っけてレンジで2分というもの。これだけでも随分美味しくなる。
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・「岩手短角牛弁当やわらか煮」(1,480円)
毎年欠かさずリピートしている。前の記事で売り子のお姉さんに「今回で8度目」と言ったが、既に8回食べていた。9度目となる。
赤身牛肉を柔らかくなるまで醤油で煮込み、ほぐし身にしたものがメイン。さしずめ高級コンビーフといったところか。牛蒡敷きご飯との相性も格別。
そのご飯は、今回から水沢産金礼米という「ひとめぼれ」にコメが変わったという。元々ここのご飯は美味しいと思っていたが、確かに今回のご飯は特に美味しい。
元来私は梅干し嫌いだが、この弁当では酸味の効いた梅干しが、甘辛醤油味が続く中、箸休めとなり、有難い存在と感じる。
副菜も毎度お馴染みの、栗の甘露煮、椎茸の甘辛煮、人参、蕗の煮物と、全て控え目な味に抑えた素朴なもの。
今年も前半のみの登場。目立つ正面で華々しい「牛肉対決」が今年も繰り広げられていたが、他にはない強烈な個性を誇る、真に美味な牛肉弁当である。
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今回はどれも過去に幾度か食べたことのある、個人的には“殿堂入り”クラスの定番中の定番ばかりがずらりと並んだ。
最後に甘いものも1つ。
・「まんごープリン他フルーツミックス」(姫路ミルキーウェイ)
売り子のお姉さんが気前よく色々試食させてくれるのに乗っかって、遂に今回購入。
「フルーツミックス」は、看板フレーバーの「まんごー」の他、「めろん」、「ぶるーべりー」の3種類。こんにゃくゼリーやスジャータのような小さな容器に入ったプチサイズ。
一度凍らせて、解凍し、溶けかけたものが一番美味しいと言っていた。
熱気と人ごみの中では、特にこうした冷たくてさっぱりとして甘いものが、ものすごく有難く思えるもので、本品が果たして街で見かけるマンゴープリンと何がどう違うのか?と問われても、正直なところ明確な答えを出すことはできない。
ただ、自宅に持ち帰ってからも、暫くの間、買い込んだ弁当を連日食べ過ぎるほど食べた後、本品を口に含むと、何ともいえぬ爽快感が得られ、口の中がすっきりする。
「フルーツミックス」は小さめの袋が確か20個入り、大袋が50個入り。
「まんごー」だけが20個、「めろん」、「ぶるーべりー」が各15個。
クーポン使用がモノをいい、2,160円也。
他にちょっと値段がお高めの「チーズ」、「チョコ」も試食させてもらったが、こちらは濃厚風味。
ご覧のように、「めろん」は酸味の効いた赤肉味で、小さいながらもちゃんと仕事しているなーという印象。
パンに塗ったり、ヨーグルトにかけても美味しいですよ、と言ってはいたが、やはりここは凍らせたままか、半解凍で味わうのが一番。
次回に続く。









