元は名古屋の喫茶店だったはずのこの店だが、近年やたらと東京でも目にする機会が増え、我が家の近く…ともいえないが、居住エリアの街道沿いに店が出来た。
興味はあったが、いつ前を通っても、駐車場は車ばかり。
それで敬遠していたのだが、近頃新聞の折り込みチラシが時々入るようになり、それによると前は新刊本屋だった場所がいつしか新たなコメダに化け、しかもそちらのほうが家から圧倒的に近い。
「シロノワール」という、円形デニッシュパンにソフトクリームを絞った、あつあつなんだが冷え冷えのデザートは、私のような甘党にとり、「食うな」というほうが無理な、好みドストライクの一品。
近頃テレビや雑誌がこの手の食い物を「スイーツ」、「スイーツ」と連呼する。いつしか「スパゲティ→パスタ」などと同様、得意気に言い換えておきながら、その実中身はちっとも変わらんことに気づかされる。また、マスコミの言い換えを率先して真似、敢えて昔流のいい方をするならば“ナウい”などと得意気になっている連中のスノビズムというか“意識高い系”というか、鼻について仕方がない。
そうなると意地でも「パスタ」、「スイーツ」とは言いたくない。
大体「スイーツ」なんて、「ショーツ」の親戚みたいな語感で、日本男児としてはチョッピリ恥ずかしいのである。
…話は逸れたが、「コメダ」のサイトを見ると、今どき珍しく「スイーツ」ではなく、堂々と「デザート」と言っている点に、まず好感を抱いた。
2月のバレンタインを当て込んで、「クロノワール」なるスペシャル・チョコバージョンが期間限定で提供される旨を告知するチラシを手に、ついに“人生初コメダ”と意気込みかけたが、「どうせ混むんだろう」という端から試合放棄。敬遠してしまう。
「どーせ、炭水化物と乳脂肪分の塊だ。食さぬに越したことはない」
我が甘味欲を律するストイシズムを押し通したといえば聞こえはいいが、別名痩せ我慢とも負け惜しみともいうのである。
早い話がズルズルと行かぬ内に、機会を逃したというだけのこと。
しばらく時が流れた。
とある初夏の日、またしてもコメダの折り込みチラシが目に留まる。
「ピーチティー氷」なるかき氷の存在を初めて知った。
本当かどうかは知らないが、この夏限定だという。
桃にはもとより目がない。
桃の味のアイスもかき氷も“はずれ”と思ったことは一度もない。
しかも添えられた紅茶ゼリーの透明濃い茶色が、何だか味覚糖「純露」の紅茶飴みたいで、美味そうではないか。因みに子供の頃は、琥珀色に輝くハチミツ味のほうを“当たり”だと思い込み、紅茶味のほうを避けていた。子供時分の自分に「バカ、バカ、バカ」と頭をポカリとどつき、茶色い「純露」を口にねじ込んでやりたい気分だ。
やるな!コメダ。
というわけで、今度こそ“人生初コメダ”を目して、訪問を心に誓ったのであった。
少し前の日曜昼下りのこと。
かんかん照りの猛暑ゆえハンドルは既に灼熱地獄、車内は蒸し風呂状態。そりゃこんな中に放置されてりゃ、人も犬も死ぬわなぁ…というレベルの車を駆って、恐る恐る指先でハンドルをつんつんしながら、近場の「コメダ」へ行ってみた。
駐車場にすら入れないのではないかと思ったが、どうにか止められたのは幸先がいい。
そう思ってオサレ系ログハウス調の店内に入ってみると…いや~驚きましたね~。
「コメダ」というのはこんなにも混むものなのか…。
推定30人はいようかという、既に草臥れ果てた顔した連中が、皆一様に首をすくめてスマートフォンをいじっている様子が目に入る。
さながらゾンビ。男は臆面もなくすね毛ボーボー丸出しの、不細工膝丈ズボン姿(~一昔前は、ああいう丈のズボンは、探検家かボーイスカウトか私立小学校の男子児童にしかお目にかかれなかったものだが、今は、腹ボテ中年太りオヤジどもが、クロックスに膝丈スボンにTシャツ姿で、ガマガエルみたいな醜態を晒している。彼らの姿を目にする度に、“ああはなりたくない”と思う~)、連れの女のほうはもう少しましな格好だが、白っぽいふくらはぎ丈裾絞りズボンに、薄い色のカットソーなのかよーわからん、要するに印象に残らん格好だ。
子供は子供で、男の子は大抵がジャージだかスウェットだか、サッカー選手崩れの、足元だけが妙に派手。毒々しい毛虫を思い出してしまう。女の子は一応女の子とわかる格好ではあるが、これも中途半端なスカートや、ショートパンツや、妙な重ね着や、総じて誰もかれもメリハリのないどっちつかずのだらしない格好でお出かけする家族が本当に増えた。
喫茶店もとい珈琲店と一応名乗ってはいるが、行く前から予想はついてはいたが、これでは全くもってファミレスそのものである。
私はそもそもファミリーレストランが嫌いである。
徹底的にマニュアル化された接客、肝心の料理は、バイトがレトルトパックに詰められた食材をチンして並べて出すだけ、レトルトだから決して不味くはないが、その代り大して美味くもない。
そのレトルトも、本社から統一されたオリジナル品が来ればまだましだが、下手すりゃ「業務スーパー」や「肉のハナマサ」の安売り食材をそのまま使ったものもあるんじゃないか?そう疑いたくなる代物も多い。
料理の品質の悪さを誤魔化すために、やれドリンクバーだのサラダバーだのと、客の目を逸らす食いものを先にしこたま食わせて、メインディッシュが出てくる頃には大抵の者は既に空腹ではなくなっているから、量が少なかろうが、質が悪かろうが、文句が出ることは少ない。
そして暇をもて余す輩どもが、長時間居座ってべちゃくちゃ喋り、バイト店員が「1万円からでよろしかったでしょうか?」などと珍妙な“敬語”を使うというのが、私のファミレスというものに対する殆ど偏見に近いイメージだ。
…またまた話が逸れかけたが、結局その日はだらしない格好の“スマフォ・ゾンビ”の大群にほとほと嫌気がさし、入って店内を見回し、状況を把握すると同時に回れ右して退散したのであった。
さぁ困ったことになった。
どうやら私は「コメダ」を甘く見過ぎていたようだ。
こんなことなら名古屋へ旅した時、ついでに寄ればよかった。
彼の地には、「犬も歩けばコメダ珈琲」というほど、街中至るところに「コメダ」がある。
でもなー、名古屋へ行けば、もっと強烈な「マウンテン」や、同じチェーン店でも“えびふりゃ~さんど”で有名な「コンパル」とか、かき氷屋へ行ってしまうから、「コメダ」が相対的に月並みに見えてしまう。余程の覚悟を決めぬ限り、名古屋で「コメダ」を割り込ませる余地なしか。
ならば近頃進出し始めた新宿歌舞伎町や池袋の店はどうだ?
いやーそれも難しいでしょう。
特別価格…要するにショバ代プラスでちと高いというし、新宿には「喫茶西武」、池袋には「タカセ」がある。
何もわざわざお高い「コメダ」へ行くこともあるまい。
こんなにごちゃごちゃ思ってて、本当に「ピーチティー氷」にありつくことはできるのか?
凡そ何の役にも立たぬ思考の堂々巡りを経た末、結局、地元の店へ行くしかないという結論に至った。
前回の“敗因”は、多くの暇なファミリーがこぞって押し寄せる曜日、時間帯だったことにある。ならばとんでもない時間帯にすりゃいいじゃないか。
平日夜遅くとか、休日朝早くとか。
仕事帰りに寄るのは如何にも面倒だし、あまり遅い時間にかき氷を食うのはなるべく避けたい。
例えば休日でも、映画の梯子の帰りに家へ帰る途中に「コメダ」に寄るのはどうだろう?
そんなことを急に思いついたが、その日は映画の終わりが夜8時半を過ぎており、空腹に負け、別の店にふらりと寄った。それが命取りとなり、ラストオーダーの夜10時半までに、到底行くことは叶わなかった。
名古屋や大阪、多分東京でも上野、浅草辺りだと、モーニングをやっている時間帯の喫茶店は却って混むものだ。
新聞を手にしたオヤジどもが朝早くから大挙して押し寄せ、下手すりゃ満席ってこともある。
昨夏訪ねた大阪・動物園前のアーケード街にある喫茶店がまさにそんな感じだった。強制的に相席となる。
しかし、私の住む街に、それほど年配オヤジが多くいるとは思えない。
ましてや街道沿い、車か自転車、稀には近所から歩き。そんな場所にあるのが、わが最寄の「コメダ」である。
甘いもんばっかり食うために、何でわざわざ朝メシ抜きで、早起きして車で行かなあかんのか?
そうも思ったが、これも経験。一度はやるべし。
そうして「コメダ」へ辿り着いたのが、朝8時半前。
既に駐車場はかなり埋まっている。
皆、どんだけ「コメダ」が好きやねん?!
中に入る。
ひと足違いで、でっかい車から降りてきたでっかい図体の巨漢に先を越される。
“うわー、俺の嫌いな、メリハリのない格好のデブオヤジだわ…。これ以上、肥えてどないすんねん?早死にするぞ…”
というのは心の声。
この“がまがえる親父”を早足で追い越してしまいたかったが、如何せん相手は巨体。横幅を取られ、脇をすり抜ける余裕なし。
ファミレスよろしく名前と人数を紙に書く。
どうやら“がまがえる親父”は、先に店内で受付を済ませていた妻、娘の連れだったようで、これがまたその妻も娘も、似たようながまがえる体型だったから面白い。マトリョーシカを見る思いであった。
本当は大の煙草嫌いだが、日曜午後ほどじゃないとはいえ、早くも屯している“スマフォゾンビ”連中と席を同じゅうするのを極力避けたいので、「禁煙・喫煙どちゃらでもOK」としておいたら、案の定、「喫煙のお席でしたらすぐご案内できますが」と店のお姉さんというよりはおばちゃんに案内された。
仕切扉の先は毒ガス室…と思ったら、思ったよりはましで、これなら神保町「ミロンガ」の右側のほうがよほど煙い。
それに喫煙室へ行くと、ファミレス特有の“ガキ天国”からは隔絶される。
予告なしに突然発せられる「キィ~~ッ」という、近頃の躾の悪いガキのキチ○イ奇声の高周波に、脳が歪み、耳を覆う必要もないだろう。
外から照る日差しはまだ低く、若干オレンジがかって眩しい。
案内してくれたおばちゃんが「日除けを下ろしましょうか?」と申し出てくれたので、喜んでお願いすることにした。
漸く「コメダ」の席に着き、念願の「ピーチティー氷」を頼む時が来た。
折角だから「シロノワール」も頼むとしよう。
どちらも「ミニ」にしておく。
「ミニ」と略すと、何となくやらしい気もするが、どちらも店公認の「ミニ」だから仕方がない。
さて飲み物は頼むべきか?
折角「珈琲」店なのだから、コーヒーを頼むべきか迷ったが、目に入ったのは「ジェリコ・飲むとプリン」というメニュー。
プリン好きでもあるので、もうこれしか考えられなくなってしまった。
これら3つを注文すると、お飲み物に「モーニング」をお付けできます、とおばちゃん。
これ以上食えってか…。
しかし、タダで頼めるなら、頼まない道理がありません。
ゆで玉子付の「A」、玉子ソース付の「B」、小倉付の「C」があったが、こうなりゃ徹底的に甘いものだ。「C」を選択。
おばちゃんから、「どんな甘党なんだろ?」と思われたかも。
暫くして次々に甘いものが運ばれてきた。
やはり最初に食べるのは氷でしょう。
「ピーチティー&練乳・ソフト氷」ミニ (730円)
“桃味のアイスと氷に外れなし”という己の“定説”はここでも正しかった。
上品だが十分主張してくる白桃シロップが、ふわふわの氷を溶かさんばかりにかかり、練乳が甘さを更に倍加する。
ソフトクリームは脇に氷に寄り添うようにふにゃふにゃと絞り出されているが、氷がガリガリ系ではないので、氷の食感と馴染む。
紅茶ゼリーは柔らかめで、その瑞々しいぷるぷる感が違和感なく氷に馴染む。
チェーン店の、しかも氷専門店のものではないだけに、それほど期待はしていなかったが、これはどうしてどうして、なかなかレベルの高い、味のまとまった、しかも独自性あるフレーバーである。
次は「ミニシロノワール」(400円)
「ミニ」とはいえ、それなりにボリュームはある。
運ばれてきた時はソフトクリームがまだ原型を保っていたが、下のデニッシュの熱で、どんどん溶けていく。
とはいえかき氷を差し置いてこちらを優先するわけにもいかず、氷を大分食べるまで手をつけずに“放置プレイ”。ソフトクリームはみるみる内に溶けだし、デニッシュの熱もほぼ奪われてしまった。
そのデニッシュは結構な肉厚で、予め4つに切り分けられてはいるが、そこにソフトクリームを乗っけて一口で食べるのは、なかなかの至難の業であった。
いっそのことカレー用の大きなスプーンがほしい。
デニッシュ自体に甘みがついており、なかなかボリュームのあるデザートである。
「モーニングCセット・小倉トースト」
上2品を食べるのに夢中で、ずっと放置していたので、すっかり冷めてしまったが、仕方がない。
予めバターが塗られたトーストは、さほど量は多くない。四つ切1枚を縦に割った形をしており、中央に切れ込みが2つ。
付け合せの小倉あんをスプーンで塗りたくると、甘みとしょっぱさが入り混じり、丁度いい味になった。
伝統的な名古屋喫茶のモーニングというのは、飲み物一杯頼んだだけで、何でこんなに付録の食いもんが次から次へと付いてくんの? と疑問符だらけの超絶大盤振る舞いだという噂があるが、まだ一度も経験したことがない。
想像の“名古屋モーニング”のボリューム感に比べると、何とも慎ましやかな“おまけ”だが、この時はこの分量で本当に良かったと思っている。
さて殿(しんがり)を務めまするは「ジェリコ・飲むとプリン」(620円)。
既にソフトクリームのせを2つも胃袋に収めた身には、てっぺんにたっぷりと絞り出された生クリームが本当にキツかった。
早い話が、カラメル味のゼリーがいっぱい入ったミルクセーキに、生クリームを絞り、更にカラメルソースをかけたものである。
まぁ味は確かにプリンだが、自分が理想とする、側面に硬い膜が張った苦甘いカラメルが絡んだ玉子味がふんだんに効いた「焼きプリン」とは、残念ながらほど遠い。
面白いのはストローが通常のものよりもかなり径が太く、頑丈にできていることだ。コイツを咥えて啜れば、カラメルゼリーも何のその。ずりゅっずりゅっと吸い込めて、おまけにストローがヘナッと崩れることもないから、詰まってしまうこともない。
随分昔、今から30年ほど前のまだ世の中がバブリーな時代だった頃、ひと夏だけマクドナルドで、「チョコバナナシェイク」というのが売られていたことがあった。
ハーゲンダッツの新作カップみたいに、チョコとバナナがマーブル状というわけではなく、ノーマルなバナナシェイクにチョコソースをかけて、ひたすら混ぜて飲むのだが、このチョコソースがシェイクに冷され、面白いように固まった。尋常じゃない妙ちきりんな形にである。それをあの径は大きいがヘニャヘニャのストローで飲めというのが土台無理な話だ。どんなに強力な吸引力を発揮しようとも、いびつに固まったチョコレートが目詰まりを起こし、結局周囲の目を無視して、蓋を開け、ストローでチョコソースを掬いとって口に運び、残ったバナナシェイクはストローに頼らず、男前に一気飲みせざるを得なかった。
…今回、コメダが付けてくれた太くて硬いストローだったら、かの「チョコバナナシェイク」が吸えたかな…? などと思いながら、生クリームとミルクセーキとカラメルゼリーを啜ったが、多分かのマックシェイク史上最悪の失敗作を攻略するには、このストローでも無理だったろう。
幾ら甘甘星人の私でも、朝っぱらからこう立て続けに甘くてボリュームたっぷりのものばかり喰らうと、些か苦しくなった。やはり甘いものは腹を膨らます。
締めて1,750円。既に入口ではわんさか人が押し寄せ、まだ朝9時だというのにこの混み様は尋常ではない。
辛抱強く待っている連中の顔を見回していると、ふと安ビジネスホテルの朝食バイキングで出くわす他の宿泊客の顔が思い浮かんだ。
妙に緊張感の欠けた、部屋着+α、よそ行き未満の印象の薄いだらけた格好の連中は、起き抜けに宿の朝メシにやって来る泊り客の間抜け面と一脈通じるものがある。
そんな“地元コメダ”だが、折角家にまぁ近いのだから、休日昼下がりは避けるのは勿論のこと、意外に混んでいた朝早くもなるべくなら避けて、次来ることがあれば、今度は夜遅い時間に行ってみるとしよう。
結構メニューの種類が多いので、色々目移りするが、「コーヒーミルク&ソフト氷」、「金のアイスコーヒー」、「小豆小町」あたりが候補かな?
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さてその暫く後、映画の梯子の帰りに、今度こそはと意気込んで、暗い夜道を自転車駆って再び「コメダ」に辿り着いたは夜10時。
まさかこの時間に満席ってこともあるまいね…。
流石に夜も遅い時間ともなると、店内はまったりムード。
禁煙席の4人卓に余裕で座れたが、それでも結構客がいる。
その雰囲気はまさに夜のファミレス。
向こう側の4人卓で、イヤホンを両耳にすっかり自分の世界に浸っている20歳前後の眼鏡っ娘が、両足とも靴を脱いでソファに立て膝。下手すりゃM字開脚…とまでは言わないが、M字閉脚くらいで太腿あらわ。思わずぎょっとしたことよ。
この日の狙い目は、先日意外に美味いと感じたかき氷。
紅茶味のかき氷は外れなしと書いたが、コーヒー味の氷もまず外れはないと言えよう。あのしゅわしゅわ感があれば、ソフトクリーム付け合せでも、食感の不協和音を感じることはないだろう。
飲み物もコーヒーにする。下手な喫茶店でアイスコーヒーを頼むと、出来合いの業務用紙パックからコップに注いでハイなんてこともあるだけに、近頃暑くてもホットコーヒーをなるべく頼むことにしている。
まぁ珈琲店を名乗る「コメダ」だから、例え出来合いでも、少なくとも自社開発のアイスコーヒーは出すのではないか。
アイスコーヒーなら、スペシャルバージョンの「金のアイスコーヒー」が本命だが、とりあえず通常タイプにしておこう。1.5倍増しの「たっぷり」があるのは嬉しいところ。これにする。
既に夜も遅いから、迷ったが、この日は遅い昼食のせいで夜を食べずにいたので、ヘビーなカツは流石に敬遠だが、サンドイッチ位なら試してみるとしよう。
ベルを鳴らし、お姉さんを呼ぶ。
「たっぷりアイスコーヒー」、「ミックスサンド」、それと食後に「コーヒーミルク&ソフト氷」。
「ミックスサンド」には辛子バターを使っていますが、宜しいですか? とお姉さんに確認される。
「ハイッ、大丈夫です。」
(小学生時代の「サンドイッチスプレッド」は苦手でしたが、辛子バターくらい、今では平気のへいちゃらさ~)
「氷は「ミニサイズ」でないほうで大丈夫ですか?
「フルサイズ」はかなりでっかいですよ。」
とお姉さんに真顔で覗き込むように尋ねられたのが、何だか妙に可笑しい。
“でっかい”って言っちゃうんだ…。
“北海道、でっかいどう”というベタなシャレを思い出す。
そういや前に名古屋の「マウンテン」で、「あつげしょう」を持ってきてくれたお姉さんに「これお一人で召し上がるんですか?」と訊かれたことがあったっけ。
前来た時はてんてこ舞いだった厨房も、この日は余裕があるらしく、アイスコーヒーはすぐ来るし、ミックスサンドも随分早くにやって来た。
何でも50周年とかで、お菓子をお茶請けに付けてくれる。
何だろ~と開けてみると、豆菓子であった。ほの甘くしょっぱく、カリッとしていてなかなか美味い。
ミックスサンドはなかなかのボリューム。玉子&レタス、ハム&キュウリの3連タイプ。玉子ソースがぐにゃっとはみだし皿にこぼれ落ちる。でっかいフォークで掬って食べる。辛子バターと黒胡椒が効いて、なかなか美味い。580円と今どきの喫茶店のサンドイッチとしては安いほう。
さあお待ちかねの氷。
お姉さんが持ってきてくれた時、脇に寄り添うように絞られたソフトクリームがホロッと崩れかける。落ち着いた顔でテーブルに置いてくれたが、お姉さん、内心では焦ったんじゃないのかな…。ソフトクリームよ、よくぞここで踏みとどまってくれた!
氷はふわふわときめが細かく、甘いコーヒーソースがかかってしゅわしゅわとした食感があり、これならソフトクリームが一緒でも違和感がない。
底に軟らかいコーヒーゼリーが隠れており、最後は氷、ゼリー、ソフトクリームが混然一体となって溶け合う。
金色の鉢を両手で持ち上げ、恭しく氷汁を飲み干す。
お姉さん、確かに仰る通り、でっかい氷でした。
厨房から、「次、でっかい氷でーす」という掛け声が聞こえてきたから、きっと「ミニサイズ」ではないフルサイズのかき氷のことを、お店の業界用語で“でっかい”と呼んでいるんでしょうね。
夜の「コメダ」にて、思いがけずほっこりする。
今度また“でっかい”氷食べに来なきゃね。







