前回の続き。今回は甘いもの。

 

・冨貴豆(山形県/まめや)(690円)

青えんどう豆をゆでて、砂糖で甘くしたもの。塩がアクセントとなっている。

 

子供の頃、あずきと、炒った大豆以外は豆全般が嫌いで、特にグリーンピースが大嫌いであった。青臭い皮の風味と、中身の澱粉質の微妙なザラザラ感が駄目であった。小学生当時、折角の月に一度のご飯給食に、「豆ごはん」が出ると、憂鬱な気分になり、何度かグリーンピースを根気よく全部よけて食べたこともあったが、やがて高学年になってくると、面倒になり、いやいやながら我慢して食べるようになった。

今でもレトロな洋食店で、たまにチキンライスやスパゲティ・ミートソースにグリーンピースが乗っかって出てくることがある。何で、余計なことをしてくれるのかと子供の頃は怒りにも似た感情を抱いたものだ。同じようにナポリタンにはピーマンがある。本来好物のケチャップ味のスパゲティを食べる上で、それらの緑色した野菜が、楽しい気分を削いでくれる疎ましい存在だったのである。

だからうぐいす餅は好物でも、うぐいす餡は嫌い。ずんだ餅は、その存在すらずっと知らなかった。

 

そんな私が大人になって、こうして自ら志願してえんどう豆の菓子を食べている。

我ながら実に感慨深いことだ。

子供の頃、苦手にしていた青臭さは、無論その片鱗を残してはいる。だがそれを補うに余りある、塩味を隠し味にしたほどよい甘みは、今となってはとても美味しく感じる。

昔の寿司の折詰位の量がある。豆がほろりと崩れるので、匙で掬って食べた。豆なので腹持ちが良い。何日分かの朝食になってくれた。

 

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福田パン コッペパン各種 (岩手県)

まっ茶あんサンド (159円)

ピーナツ・バターサンド (139円)

 

前に記したように、他にあん・バター入りサンド、ジャム・バター入りサンド、コーヒーも来ていたようだったが、既に売り切れ。この2つだけが手に入った。

 

盛岡のソウルフードで、店では60種類位の具材やクリームがあり、お菓子系のみならず、総菜系パンに仕立て上げることもできるらしい。

行列ができる大人気店だが、これとは別に、地元のスーパーやコンビニでは、予めクリームをサンドした状態でビニール袋に入ったパンが幾種類も売られているらしい。

今回来たのは、その一部。

 

「まっ茶あんサンド」はてっきり抹茶を練り込んだあんこが入っているのかと思いきや、抹茶バタークリームとあんこの取り合わせである。ねっとりとした抹茶クリームはクリーミーで、あんことの相性は良い。

 

「ピーナツ・バターサンド」 は、ピーナッツクリームだけでなく、マーガリンも別に塗ってある。だからしょっぱ甘い。

 

どちらもかなり大きい。

去年、初めてこの駅弁大会で食べた後、調べてみたら、亀有に吉田パンという、福田パンで修行した店主がオープンさせた店があることを知った。いわば直系の店である。一度行ってみよう、みようと思いながら、ずるずると時が経ち、あれから1年が過ぎた。今度こそ、一度行かねば。

 

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玉出木村家 菓子パン各種

 

ベネティアーナハーフ (518円)

 

オレンジピールを練り込んだ生地がドーム状に焼き上がった、ふわふわと柔らかいパン。表面に粉糖がまぶり、メロンパンの皮のように甘くてちょっとサクサクした食感の香ばしい味がする。アーモンドの粒がたくさん植わっていて、それがよいアクセントとなっている。

オレンジピールが入っているお蔭で、中身も飽きることなくペロリと平らげることができる。

 

ウィンナーショコラ (259円)

 

去年から200個限定に増強された。(以前は150個限定だった。)

表面に分厚いチョコレートが惜しみなくかかったドーム状のパン。中はカスタードクリーム。かなり甘い。パンはふわふわと柔らかく、甘い。台紙の紙に滴り落ちかけたまま固まったチョコレートがへばりついており、台紙を剥がす時、それがぼろぼろと零れ落ちる。それを丹念に皿で受け、余すことなく口へ放り込む。それがチョコ好きの楽しみ。甘党のためのパンだ。今回も2個購入。

 

ロールデニッシュみかん (216円)

 

ロールケーキ状のパン。外側はパイ生地でサクッとしている。表面には粉糖。

バナナ、アップル、いちご、オレンジ…など色々な種類があり、例年、京王駅弁大会に来るのはバナナ味だが、今回初めてみかん味が来た。去年2月の吉祥寺東急の時はアップルだった。

個人的には、これが今までで一番美味いと思った。みかんの缶詰が中央に巻いてある。酸味と甘みのほどよいバランスが、外側の濃厚な甘さと絶妙なコントラストを感じさせた。

 

石焼いもパン  (1袋454円)

 

石焼きいもを模した5cmくらいのサイズのパンが5個。サツマイモをたっぷり使ったしっとりとした中身に、芋の皮風味の外側がアクセントとなる。

人形町の壽堂という和菓子店に、黄金芋という名物があり、サツマイモを模した菓子というとこれを思い出す。その連想から、皮にまぶしてあるのはニッキかと思いきや、何とココアであった。癖のない甘みを徹底させるのがこの店ならでは。

切り口の真ん中には黒ごま。こうなると焼いもというより大学芋ぽい。しっとりとした食感の秘密は練乳のようだ。甘くて優しい味わい。

 

雪山パン (593円)

 

中央が山型に盛り上がった、粉糖が山ほどまぶされたパン。ドイツ菓子「シュトーレン」の小型版といったほうが近い。生地も、他のパンとは異なり、固めである。丸かじりするのはかなり危険。服が粉糖まみれになることだろう。ナイフでお上品に切り分けて食べるのがよい。

ヘーゼルナッツ、レーズン、チェリー、オレンジピールと中の具材は多彩。どれもドライフルーツだが、洋酒は使われておらず、ここでもひねりのない甘さを追求するこの店ならではのポリシーを感じる。

この店の甘い菓子パンの中にあって、ひと際甘い。他より高価だが、シュトーレンだと思えば割安である。

私はこのパンが一番好きで、去年に続き、3個奮発してしまった。大将もこのパンにはひと際自信があるらしく、場内でいつも、来る客にこのパンを勧めておられる。

 

毎度記していることだが、この店の甘いパンは、甘さが豊かさの象徴だった時代を彷彿とさせる。

東京でいえば、池袋東口のタカセがちょっと似た感じだ。

ダイエットとか健康志向とか、本格志向とか、そういったものが流行っているが、下手すりゃ口を切りかねないような硬くてゴツゴツしたパンを、皆、無理して食べていないか?元より私は大の甘党で、菓子パン好きだから、このお店ならではの甘いパンを贔屓にしており、それで毎回、長い列に並び、食べ過ぎ覚悟で多く買い込む。

それは甘いものをひたすら欲した子供時代への郷愁の感情も混じっているからなのかもしれない。

 

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とろとろわらび餅 (大阪府・わらび屋本舗)

プレーン/よもぎ 各300g;各540円

去年に続き、今年も実演販売が来た。

京都・出町柳が本店だと思っていたが、大阪府守口市が本店のようだ。

包装紙にも「とろとろすぎてつまようじでは食べれません」とちゃんと関西弁で書いてあり、割り箸をつけてくれた。

蓋を開けるとおびただしい量のきな粉が溢れ出す。そこから割り箸でほじくり出し、わらび餅をつまんで食べる。まさしくとろとろの食感。

わらび餅はプレーンタイプとよもぎの2種類。どちらか1つに絞ることなんてできない。

300gという小ぶりのパックをそれぞれ買ったが、500gの更に大ぶりのパックもある。こちらは700円少々。300gでも結構な量がある。

よもぎ味は濃い緑色をしており、ちゃんと苦みがある。

 

きな粉に砂糖は入っていない。どうしても余ってしまうが、きな粉好きとしては、こいつは捨てるに忍びない。後で全部牛乳に混ぜて飲んだ。

 

他にもいちご大福などが売られていたが、やはり看板商品のわらび餅が一番売れているようだった。

 

次回へ続く。