8月3日(水)
日本橋―扇町/天満―福島
福島―(京橋)―千林
千林大宮―(谷町九丁目)―日本橋
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なんばグランド花月を後にする。
元々の予定では、喫茶店「ロア」や「自由軒」にこれから行くつもりだったが、どちらも既に行ったので、予定を変えて一旦宿へ帰ることにした。こういう時、花月の近くに宿を取ってると便利やな~。
黒門市場には入らず、道を北に折れる。途中、古本屋を発見。ついつい寄らずにはいられない。若い女の子(女子高生くらい?)が店番をしていた。戦記物が店の半分を占める渋い品揃え。鉄道雑誌の古いのが結構あり、1つ1つ物色するも、欲しいものなし。美術書も、文庫本の小説も目ぼしいものなし。何も買わずに店を出た。
宿で暫く寛ぐも、ここでダラリとしてしまっては、そのまま夜まで居ついてしまうから、気力を奮い立たせて再び外へ出る。
堺筋線で扇町まで行く。天神橋筋商店街が目の前だ。素通りするには惜しいエリアだが、あまり寄り道はしない。それでも古本屋を見つけ、ついまたフラフラと。背表紙が褪色した漫画本の揃いが随分あったが、欲しいものはなかった。
去年一度天六から天満橋まで歩き通してみた。その時見かけた、東郷青児の絵みたいな伏し目でお澄まし顔のくせに真っ赤っかな下着姿という、ちょっと目のやり場に困るマネキン姉ちゃんは、今回はいなかった。
天満から環状線に乗る。盛り場のJRの駅は、何でゴミゴミしい感じがするのか、よぉわからん。
大阪駅を通り越し、一駅隣の福島へ。
阪神電車の福島も、去年、台湾氷を食べるために初めて降りたばかりだが、環状線の福島で降りるのは今回が初めてだ。やはり何となく殺伐としたゴミゴミとした雰囲気の高架線沿いにちょっと歩くと、目的地が姿を現す。
よほど行きつけた常連さんでなければ、こんなところに喫茶店が隠れていようとは気付くまい。
相当年季の入ったメニューに胸ときめかす。
見よ!この飲み物メニューの多さに安さ!
「クリームジュース」って何だ?「クリームサンデー」って何だ?「デンバーサンド」って何だ?
「スペシャルスパゲッティー」(「ッ」ってはねるのがミソ)なんてのもあるぞ。
更に「フルーツサンド」まで。
馬蹄形のカウンターのぐるりにサロン風回転椅子が。
夕方4時過ぎと中途半端な時間に行ったが、いかにも常連さんといった感じの多分外回りの営業マンと思しきスーツ姿のおっちゃんが、備え付けのスポーツ新聞読みながらカウンターでアイスコーヒー啜ってはった。
ちょっと入るのに勇気がいった。こっちは完全にアウトサイダーやから、遠慮してよそ者らしく、カウンター手前角のきちゃないテーブル席に腰を下ろした。
頼むものは最初から決めてきた。
ホットケーキ。ここのホットケーキは名物なんだそうである。とっても蒸し暑い日だったので、飲み物はアイスコーヒーにした。後から思えばクリームジュースかせめてミルクセーキにしておくべきだった。
今どき珍しい銀皿に分厚くてどデカいホットケーキが2枚。シロップがドーンと容器ごと豪快に出される。マーガリンは可愛らしく絞り出され、崩すのが惜しくなるほど。
先ずは1枚ナイフを入れた。マーガリンだけ塗って一口。断面がキレイ!
その後、全部ナイフを入れて、マーガリンを全部塗りたくって、シロップも惜しげなくドバーッとぶっかっけて、次々に頬張る。口腔中の水分がどんどん吸い取られる、吸い取られる!
間違っても、これにフルーツサンドやあんみつなど、よほどの空きっ腹にして行かないと、間食気分で完食するのは到底無理なボリューム感。これで550円というからほんまに偉い!
大阪に住んでたら、通い詰めるのにねぇ。
大満足にて店を出る。同じ高架下の飲食店街には、こんな色鮮やかな酒瓶を並べる居酒屋や、激安定食屋やら、魅力的な店が並んでいたのである。
都心部では珍しくなった踏切を渡る。単線が環状線の高架線に向かって真っすぐ上ってゆく。
地味な線路に見えるけど、重要な線やねんで。新大阪から天王寺へ向かう「はるか」や「くろしお」が、みんなここを通りよるから。今後、なにわ筋線が開通したら、その時には廃止になってしまうんだろうか。
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再び環状線に乗って、京橋で京阪電車に乗り換える。
次々と電車が発着する、人で混みあう駅だ。近鉄電車の鶴橋と雰囲気が似ている。
普通車に乗って、千林で降りた。
数年前までは乗り鉄オンリーだったので、専ら門真市まで行き、モノレールの乗り換えがてら見晴らしのいいホームにちょっと居残って電車の写真を撮るのが常だった。
変われば変わるもので、近年は千林でばかり降りている。
無論、激安甘味処・角屋のためだ。
とはいうものの、やはりこういう駅で電車を降りると、どうしても鉄道撮影大会になってしまう。俗に「新幹線型」といわれる中央に通過線を有するタイプの相対式ホームは、鉄道写真撮影にはもってこい。阪急六甲然り。小田急線複々線区間然り。暫しお付き合いのほどを。
左)平面顔の7000系。これに乗ってきた。
右)特急車8000系。中間の1両がプレミアムカーに改造される。2階席車がプレミアムでなくてよかった。2階席=一番豪華ではなく、平屋の居住性を重視するのは、近鉄のアーバンライナー辺りからか?!
左)目下の最新鋭、13000系。右)3000系。
こうして並べてみると、よく似た顔。中之島線開業当初は、直通快急専用車の趣きあった3000系だが、いつの間にやらライトカジュアル特急車の位置付けになりつつある。8000系にやがて置き換え時期が来た時に、3000系でお茶を濁されたらいやだなぁ…。8000→3000と、西鉄と形式名まで同じなだけに。
2400と2600の並び。この顔が元気な内は、例え外部塗色が体操のお兄さんみたいになろうとも(注:下半分の白が、トレパンを連想させてしまう)、趣味的には京阪電車安泰と勝手に思っている。
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駅を出ると、千林商店街の長いアーケードが続く。
惣菜や服、お菓子に金物、履き物と、所々チェーン店も入りはするが、個人商店が元気な商店街。こういう街に住んでたら、毎日が楽しいやろなーと思う。商店街が途切れた先に「スーパー玉出」があるにはあるが、基本的にスーパーいらず。
そんな中、チェーン店の薬局だが、「これは安い!」と引き寄せられたのが、この日焼け止め。
一番安いやつだが、今夏は特に値段が渋く、他所だと同じものが390円代は平気でするもんねー。
旅の途中にも関わらず、この後、衝動買いに走ってしまった。
天井から久方ぶりに、爽やかな男声合唱の“千林ソング”が降ってくる中、これまたここでしか見かけない千林名物だと個人的に思っているのが、このお方。
ふくよかおばちゃんマネキン。
確か以前、吉本新喜劇の特番で、浅香あき恵さんが昭和レトロなワンピースを買って、来ていたのがこの店やったと思う。
大変失礼なことを敢えて言うと、おばちゃんは大概モデル体型なぞしてはいない。スラリと痩せた若々しい八頭身、九頭身のマネキンさんが美しく着飾ったところで、何の参考にもならんのである。そこに来ればこのマネキンさんは立派だ。実情を如実に再現している。彼女の未来に幸あれ。
商店街が突き当りになり、左右に分かれる。左に曲がるとアーケードが切れる。そのすぐ先が角屋である。
夜6時頃だったが、平日ということもあり、夏場にしては列はまだ短いほうだった。
いつ来ても惚れ惚れする夥しいメニュー札の数々。
備え付けの紙に注文品を書いて、店のお姉さんに渡すという、実に合理的な方式なのだ。
似たようなやり方は、三宮や天神橋筋商店街の寿司屋でも経験したことがある。
氷好きの甘党にとり、夏場の角屋は天国みたいな場所。
大抵周囲を見回すと、1つ食べてる人ばかりだが、つい欲張って2つ頼んでしまうのだ。
一度、おかみさんがわざわざ「2つでよろしいですのん?」と確かめに来てくれたことがあった。
そいでよろしいですねん。
最初は、氷丹波黒豆きなこ金時ソフト。
すごいネーミングである。
きな粉シロップがけの氷の中に、あずきとソフトクリームが仕込んである。これで420円!
お次は、氷チョコソフト。400円也。
おっと…ソフトが被ってしまったぜ。
まぁええわ。ソフトクリーム好きだから。
天王寺の「スワン」の「スノープリン」というフラッペのことを書いた時、かき氷にバニラアイスは絶対にトッピングしないと書いたが、ソフトクリームとなりゃ、話は別だ。氷に絡めて食べれるからね。
相異なる食感同士が境目で不協和音を奏でるのが嫌なのである。
チョコレート味のかき氷は、近頃出す店が増えてきた気がするが、シンプルにチョコソースをかけた氷となるとまだまだ珍しいほうだと思う。私の知る限りでは、東京・新井薬師前の「富士見野」という店にチョコ氷が前からあって、練乳と絡めて食べると実に美味いのだが、あちらの難点は喫茶があいている時間が短いということ。ついに今夏は行きそびれてしまった。
いつしか夜7時近くなり、空にはどんより雲が出た。
立派なアーケード街に再び入り、千林駅方面へ延々続く商店街を横目に北上。地下鉄の千林大宮駅へ向かう。
この街にも古本屋が幾つかあり、見つける度に寄ってみた。
いつになったら7巻が出るんだろう?といい加減しびれを切らしている「ビブリア古書堂…」で、栞子さんが読んでいた、国枝史郎の伝記小説・「蔦葛木曽棧」の講談社大衆文学館版の揃いを見つけたが、前に神保町で殊のほか安く手に入れたのでスルーする。
車通りを渡ると、屋根こそないが、まだまだ商店街が続く。
その一角に和菓子屋さんを見つけた。
平台にガラスの蓋が掛かっているのが今どき珍しい。
どデカいグレープフルーツ柑…ゼリーなのか、寒天なのか…は絶大なるインパクトを誇り、角屋でしこたま氷を喰らった後でさえなければ絶対夜食用に買って帰るんだが…と恨めしい思いで横目に見ながら、通り過ぎた。
既に売り切れているようだったが、「えだまめ白玉」というのもやけに気になる。
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徐々に店の姿も途絶え、商店街から住宅街へとシフトする。
周囲には不釣り合いなほど広い道が横に広がっている。そこを右に折れ、暫く進む。
錦水湯だ。
2度目の入湯である。
初めて来た時は開店直後の昼過ぎだった。
今回は意外と地元の住人の常連さんが多いのか、若い兄ちゃんと何人も居合わせた。
浴室との仕切り硝子には涼しげなエンゼルフィッシュのエッチング、浴室に入るといきなりタイル張りの仕切り壁。その上に裸婦像が鎮座ましまする。壁の下部にはあでやかなる流金が優雅に舞う。
それらと対照をなすように、浴室壁面は白タイル。対する浴槽、へり、座る台、これらは全て御影石なのか、どっしりと黒く、モノトーンで統一された美学がある。
建物外見もなかなかどうして立派なもの。大阪銭湯によくある凸型玄関。屋根瓦に側壁に穿たれた丸窓。レトロモダンな下町銭湯ここにあり、という存在感だ。
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さてその錦水湯の強力なライバルがすぐ近くにある。2年前には前を通りながら、スルーしてしまった神徳温泉である。
暗闇に高く聳える煙突の、頭上煌めく「ゆ」が誇らしき。
裏の駐車場側から見ると、何だか「工場萌え」な気分だが、こんな近代設備の真ん前は、昭和風情漂う平屋住居が居並ぶ。その内の何軒かは内風呂がないのかもしれない。銭湯の存在意義、ここにありである。
正面に回ってみる。裏手の住宅街から一転、商店街になる。
屋上に聳え立つ茶筒状の広告塔のライトアップされた屋号がひと際誇らしげだ。
今様銭湯らしく、フロント方式。靴脱ぎからして広々としており、ちょっとしたヘルスセンターの面持ちである。
中も実に広かった。随分奥に長く、うなぎの寝床よろしく種々様々な浴槽が並んでいる。
奥には露天風呂も。
西成区山王にある和光浴場のゴージャスさや、厳密には銭湯ではないが、神戸の灘浴場の充実さ加減に相通ずる、至れり尽くせりの健康ランド的銭湯であった。
レトロな風情を味わうなら、先ほど入ってきた錦水湯だが、充実設備の今どきの豪華設備を求めるなら、やはりこっちだよなー。そう納得させられる内容である。
「21世紀の公衆浴場」とはまさに至言。
もう少し辺りを歩けば、他にも銭湯はあり、「ニューみよし湯」という銭湯も梯子する積りであったが、身体がふやけて疲れ果てた。
千林大宮から谷町線で延々ミナミまで乗り、千日前線に乗り継いで、日本橋へ戻ってきた。
地上へ出ると、いつぞやの晩のように、カタコトの日本語で話しかけてくるアジア系お姉ちゃんがおり、「出たな、娼婦」と一瞬思ったが、どうやらマッサージ店の呼び込みだったようだ。すまん。
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宿に帰りつき、濡れたタオルを干してから、ベッドの上に千林で買い込んできた日焼け止めを広げてみた。
爆買いは何も中国人の専売特許やないんやで~。
この時買い込んだ日焼け止めは、今なお我が家の洗面台引き出しに、大量のストックを誇っている。
さすがにちょっと買い過ぎたかなぁ。
まぁええわ。腐るもんやなし。









































