7月31日(日)
京都―五条坂/清水道―岡崎公園・美術館・平安神宮前
岡崎公園・動物園前―祇園/祇園―博物館三十三間堂前
塩小路高倉―京都駅前/京都駅前―四条河原町
四条河原町―河原町丸太町/神宮丸太町―中書島
中書島―(丹波橋)―京都
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祇園花月に行く。
昨夏が初だったが、その後、何度か行っているので、今ではここにもすっかり慣れた。
正面入口前には子供に大人気の、ボタンを押すとしゃべる立看板があるが、「カーッ」の川畑座長はおろか、すち子まで押しのけて、いつしか「いいよォ~」のアキが茂造じいさんと共に陣取っている。大出世だ。
新喜劇はすっちー座長公演だけに、ロビーにもすち子人形がいる。
なんばよりは落ち着いているが、子供らの記念撮影後を絶たず。
そういえば池袋の「東京グランド花月」の時やったか、スカートめくって堂々パンツ見してた。近頃全く出て来なくなったが、「パンツミー」の出始めだったからかも知れない。
やはり観光都市京都という場所柄ゆえか、祇園花月は、なんばと比べ、予約するとセンターブロック最前列も夢じゃない、という空き具合。
夏休み真っ只中だったので、一番前ではなかったが、2列目センターという良席だった。
ここ祇園花月でも、開演10分ほど前から、前座の芸人が出てきて、注意と宣伝と、拍手で迎えましょう的なノリを作ってくれる。
「幕が開くと写真撮影は禁止です」と断った後、「今は幕は開いてませんね~」と写真写せアピールするのはお約束。ならば期待に応えて写しましょう。
猛暑の中、スーツを着込んで汗だくで頑張っていたピンの彼。すんません…すっかりお名前、忘れました。
第1部の演芸は、ネイビーズアフロ、ヤナギブソン、ブラックマヨネーズ、大木こだま・ひびきの陣営。
なんばに比べると、演芸が少し軽いめ。浅草花月がこんな感じだった。
ヤナギブソンは前に一度他で見た覚えがある。ブラックマヨネーズはテレビ東京の「腹ぺこ!なでしこ グルメ旅」、「ブラマリのいただきっ!」でお馴染みだったが、M-1グランプリを見ていないので、小杉の「ヒ~ハ~」が何故あんなにウケるのかよくわからない。朝から歩き詰めだった疲れが急に出たのか、個人的にあまり面白いと思っていないせいなのか、吉本の演芸で初めて途中で眠りこけてしまった。不覚。
それでいてトリの大木こだま・ひびきはしっかり起きて見ているのだから、我ながら現金なものだ。
何度見たか知れないほどで、毎度同じネタだが、やっぱりおもろいねん、こだまはん。
ツカミはやはりコーラネタ。
「ボク、コーラが好きでしてなー。こないだウチの冷蔵庫に冷えてたから、嫁はんに「これもらうでー」言うたら、賞味期限が切れてますねん」
「コーラに賞味期限なんてあんのん?」
「あるねんー。嫁はんが「アンタやったら大丈夫や」いうから、飲んだらエライ酸っぱいんですわ。「何やこれ~?」そう思てよー見たら、それがポン酢でんねん」
(笑)
「ポン酢やったって気付かんかったん?」
「気が付かへんねんー」
「わからんかったん?」
「わからへんねんー」
「ボケとんのん?」
「ボケとんねんー」
その後、金毘羅さんに行き、展望台から船見て、目と鼻の先になって、どんぐりの背ぇ比べで、下りる時に膝が笑ろて、嫁はんが占いに凝ってて、緑がラッキーカラーや言われて、新大阪から新幹線乗ったらグリーン車に乗せてもろたけど、何一つええことなんかあれへん。そしたら京都から乗ってきたご老人が、コカコーラの会長さんで、すっかり意気投合して、今度コーラのCMに出してもらえることになりましてん。
…ここで場内大拍手…
「わー夢みたいな話やなー」
「夢やー」
ゲップ鳴らしながら「スカッとさわやか!コカコーラ!」
爺さんと婆さんの入れ歯とカスタネット取り違えネタもあったが、ひびきはんがカラスになったわけやなかった思うし、チッチキチーもなかった思うわ…それでどうやって往生したんか、スミマセン、今回も忘れてしまいましたわ。
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続く第2部は新喜劇。
題して「すち子のにんにん妊婦」。
烏川耕一と井上安世がうどん屋を営む夫婦で、安世は臨月を迎えている。自宅出産を選んだ安世は、産婆を店に呼び寄せた。それがすち子。
すち子は産婆チームを組んでいて、部下たちが大挙して押し寄せる。島田珠代、レイチェル、やまだひろあき、タックルながいら。
「ウーッ!サンバッ!」
ド派手なナリで激しく踊り出すメンバーたち。産婆=サンバのベタなダジャレ。中でも島田珠代のサンバダンスがノリノリだが、いきなり抱きついて「好きっ!」も、男の股ぐらくぐりで前掛けめくって「ドカーン」や「チーン」も、壁ドンしてから「男なんてシャボン玉」も、全て封印したのがちょっと物足りない。
びっくりするほどスポッと赤ちゃんが生まれるも、実は家出同然で烏川に嫁いできた安世。父・池乃めだかが店に乗り込んできて、自分の会社の跡継ぎに、生まれたての子を奪いに来る。
更に烏川に借金があったことが発覚。
借金取りが乗り込んでくる。帯谷孝史、もじゃ吉田の2人。もじゃもじゃ頭で乗り込んできたもじゃ吉田。すち子にヘアースタイルをからかわれると、パーティーしとったんじゃい!と鬘を取るが、下から現れた地毛も、全く変わらんもじゃもじゃ頭で…。一方の帯谷の電気ポット顔いじりはすっかり定番。ポットにグラサンしたら、そっくりやー。
めだかが現れ「ワシがカネを建て替える。その代わりに子供よこせ」と言い出して…さぁどないしよ?という話。
終幕後、祇園花月ならではの舞台挨拶&ズッコケコーナー。
今回は身体にピッタリ貼り付いた白い衣装越しに、柄パンが透け透けの汗だく・タックルながいがすっちーにいじられるというおいしい役。劇中で「中国人の爆買い」とイジられていた瀧見信行が、近頃目立つようになってきたな…と思う今日この頃。「千と千尋の神隠し」の「父役」に見えてしょうがないんだよなー。
吉田裕がいないから「乳首ドリル」は封印。清水けんじがいないから「シーケ、メンメン」も封印。松浦真也がいないから歌ネタも封印。定番ギャグを見ると安心するが、たまには定番ギャグが一切ナシというのも冒険を見ているようで興味深い。
以上、敬称略。
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劇場を出、祇園裏道をひたすら進み、鴨川を渡る。
急いで向かった先は、前夜に引き続き、「ソワレ」。
「ゼリーポンチ」は食べたばかりだから、今夜は趣向を変えて「ゼリーヨーグルト」か「ゼリーミルク」でも…と思ったら、何と「ゼリー売切れました」の貼紙が。
ウェイトレスのお姉さんに聞いていたら、「ゼリーコーヒー」はOKだった。「ラムティー・アイス」も併せて頼む。
早い話が、“コーヒーゼリー、ミルクコーヒー注ぎ”なわけだが、角切りゼリーがプカプカ浮かぶ、そのビジュアルだけで何だかお洒落に見えてしまう。それが「ソワレ」マジック。
「ラムティー」は、初めてだが、アイスレモンティーに、別添えのラム酒をお好みで1滴ずつ垂らす。最初は用心して少しにしていたが、大して味が変わった気がしないので、段々大胆になって、ポツポツポツと落としまくる。
酔っ払いはせなんだが。
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鴨川を再び渡るのがいやになり、京阪電車には乗らず、市バスで丸太町へ出る。
そろそろ日が沈み、辺りは夜闇に覆われる。
広い交差点を渡り、すぐ脇道を1本入ると、こんなに渋い銭湯が。
「桜湯」である。
渋い小料理屋といった感じの佇まい。ちょっと突き出た入口部分の緩やかなアーチが何ともいえぬいい雰囲気を醸している。
年季の入った木製下駄箱、カラフルでありながら、不思議と統一感のある小タイルが散りばめられた靴脱ぎ。実に良い。
中に入る。無論番台式だ。というより、番台式のところばかり選んでいる。
脱衣ロッカーは京都らしい、ガラス窓が嵌め込まれた木製扉がずらりと並ぶ。奥深いスペースに、四角い行李がすっぽり入る。
流しを通り抜け、いざ浴室へ。
中は適度に新しく改装され、建物の激渋さと、浴室の実用性がうまく融合された感じだ。
男女の仕切り壁沿いに、手前から、水風呂、浅、深、ジェット、薬湯、サウナがズラリと並ぶ。
中央の深い浴槽に、大きな水槽がせり出すように設けられ、鯉や大振りの金魚が悠然と泳いでいる。
入ったのは夜7時前後。地元の常連のおっちゃん達であろう。結構賑わっていた。
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すっかり夜の帳が下りた。鴨川へ向かう。
途中、随分渋い洋風建築風建物を道の向こう側に見つけた。と思ったらスーパーだった。ド派手なネオンは一切なく、入口に白色の店名だけが灯っている。景観を乱さぬ配慮がなされたヨーロッパ風の商店。こういう店の常連になりたいものだ。
夜の鴨川が静かな佇まいを見せている。
神宮丸太町駅に下りた。
この旅で初めて電車に乗る。
これから中書島へ向かう。準急だと中書島の先までずっと各停なので、三条で特急に乗り換えたいところだ。
特急はきっと混んでいることだろう。大阪まで行くわけではないので、こういう場合、隣席に気兼ねしないで済むロングシートのほうが寧ろ有難いのである。改装された8000系特急車は、車端部のみロングシートになったが、ハイバックの独立席が並び、今のところ最も贅沢なロングシートと言えそうである。
そんなことを考えていたら、淀止まりの急行が来た。しかも3000系。中之島線ができた時に、快速急行用に作られたクロスシート車である。
JR九州の新型車や、西武30000系など、近頃車体断面よりも正面が大きい電車が見られるようになった。この電車も同じ。頭でっかちのカミキリ虫の幼虫に思える。それに何だか随分馬面に見える。どうやらこの車両の登場を機に、京阪は、三日月をデザイン上のモチーフに好んで用いるようになった。だが、個人的にあまり好きではない。三河屋の前掛けみたいに思える。
青紫ぽい紺色と白色のツートンはこの形式だけだが、この車両の登場を機に、従来の車両も塗色が変わった。近代的なイメージにしたかったのだろうが、緑濃淡の一般車、オレンジ+赤の特急車のほうが好きだった。
南海電車も、昔は落ち着いた緑色濃淡だったが、関空乗り入れを機に、銀色ベースのチカチカした塗色になってしまった。既に廃車が進んでいたが、湘南顔の22001系電車も、銀色+青&オレンジに塗り替えられた。全く似合わん。可哀相なほど。
…ともあれ、馬面と三日月前掛けは、どうも頂けないが、内装は渋く、実用本位なもので、“No.2”の役割は十分に果たしている。
とはいえ、いずれ“No.1”の8000系特急車の置き換え時期が来た時、この3000系電車の増備で済まされてしまうのでは趣味的に詰まらないし、大幅サービスダウンである。
西鉄みたいになってほしくはないと願うばかりである。
京阪の場合、これから8000系電車の一部が、1+2列のプレミアムシート車に改造されるから、当分置き換わることはないのだろうが…。
急行・淀行は、すっかり陽の落ちた地上へ出てからも、終始ガラ空きであった。
初めて京都で銭湯巡りを始めた時、旅の初日に訪れたのが藤森の宝湯であった。京阪電車の藤森駅で下り、川沿いに暫く歩いた後、車通りを折れて、まっすぐ歩き始めたが、結構距離があり、途中、暗闇に覆われた大きな医療センターを横目に、本当にこの道で合っているのだろうか?と不安になりながら歩いた覚えがある。
その時、JR藤森のほうがずっと近いということに気付き、以来、京阪の藤森はご無沙汰だ。
その藤森駅を通過。お隣の「墨染(すみぞめ)」という何とも味わい深い名の駅も通過。
やがて電車は中書島駅に着いた。
駅の西口に降り立つ。
電車でかなり遠い所まで来たと思っているが、地図を調べてみると、市バスがここまで来ていることが判った。折角1日券を持っているわけだし、又とない冒険だし、帰りはバスで京都駅まで戻るか…と、バス停を先に探す。
タクシー乗り場脇を進むと、広い道が線路をアンダーパスしており、その坂を上ったところにバス停があった。
時刻表を見ると、既に終バスが出た後だった。バスの冒険はやめにする。
駅前に引き返し、真っ直ぐ緩い坂を下ると、飲み屋街の真ん中に、渋い洋風の建物が姿を現した。
新地湯である。
ここへ来るのは何年ぶりのことだろう。
試みに今、調べてみたら、4年ぶりのことである。
北陸へ旅に出た時、最終日前日昼に京都へ出てきた。それからの行程がすさまじい。京都タワー浴場→平安神宮→金閣寺→船岡温泉→アスタルテ書房→スタンド→錦湯→ソワレ→新地湯→日の出湯 と約11時間かけて回っている。
それに比べれば、今回の京都巡りは何てスローペースなことだろうか。
今回の新地湯訪問は、まだ夜8時であった。
白い漆喰壁の脱衣所。所々に円柱状の柱が強烈な存在感を見せ、重厚な雰囲気漂う。ここも流しコーナーがあり、その先が浴室扉となる。角が大きくRを取った造りで、引き戸と左右の窓が一体に見えるようなデザインになっている。電車の正面窓の処理の仕方みたいに見える。
湯船は手前から、水、浅、深、浅ジェットと長細く配され、一番奥のジェット浴槽は底が灯りで光っていた。
「湯船のなかでタオルを使わんといてえ」
物柔らかな京都弁の貼紙。そう言われたら、何や言うこと聞かな、こりゃしゃーないなー。負けたで。そんな気分になるから不思議や。
中書島から京阪電車で京都方面へ戻る。
折よく特急が来た。丹波橋で降りるので、ハイバック・ロングシートに身を沈めた。
乗ってきた特急を見送る。待避していた2600系普通もカメラに収める。
塗装こそ変われども、オデコのデカ目、ガイコツ状の外付けテールランプ、いかつい幌、そして何より卵型の車体、緑色のまま変わらぬ内装…。これぞ京阪電車というものだ。
丹波橋駅の連絡通路上に、昔、赤福の売店があったな…と思い出し、探したが見つからない。
近鉄電車に乗り換える。
近鉄の通勤電車といえば、他社なら転落防止用幌がつくところを、代りに配された棘々しい出っ張りが互い違いに配された物々しさが、今は真っ先に思い浮かぶ。
中世の拷問具・「鉄の処女」みたいだと言ったら、ファンの方のお叱りを受けるだろうか。
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今回は大人しく京都駅まで戻ってきた。さすが特急王国・近鉄だけあって、特急車が発車を待っている。ビスタEXとACEという全くの異系列車同士が当たり前のように繋がっているのが近鉄流。
こうして見比べてみると、車高からして全く違っている。せんと君とスズメバチがごっつんしているように思うのは私だけ?
改札を出る前に、確か赤福が売ってた気がしたな…と探したら、今や専門の売店ではなく、ファミリーマートの店頭に売られていた。8個入の小箱と12個入の2種類あったが、私が買って8個入は完売となった。さすがに12個は食べれません。
JR京都駅前広場に降り立った。
お灯明みたいな京都タワーがライトアップされて煌々と輝いている。
この日、夕食らしい夕食をまだしていなかったことに気付いた。
バス案内所の手前に、進々堂がパンを売っている。
初日に行きそびれた京大向かいの喫茶店とは、厳密には別系列になっているようだが、こちらはパンを中心に手広くチェーン展開している側の店。
夕飯代わりにと、惣菜パンを買う。パンを買うと、コーヒーが安くなる。売り子のお姉さんの口車に乗せられ、アイスコーヒーも一緒に買って帰る。
これが遅い晩御飯となった。
ついでに赤福の包みも解いた。
甘い誘惑には抗えない。
どうせ明朝は旅館の朝ご飯が出されるのだし…。
心の中で言い訳する間もなく、8個の赤福が立ちどころに胃袋へと吸い込まれてしまった。






















