8月6日(木)
難波―梅田―宝塚
宝塚―(西宮北口)―今津―武庫川
武庫川―姫島/姫島―(大物)―日本橋
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前回の続き。朝の吉本に続き、宝塚も大当たりを引き当て、大満悦にて劇場を後にした。
ちょっと気が大きくなり、カフェテリア向かいにいつの間にか出来ている広い土産物コーナーに寄り、缶かんに入ったゴーフルとパイ、それと寶あわせというもなかを買う。
寶あわせがここで買えるなんて初めて知った。いつもはソリオ内でおっちゃんが作業している店で買う。時々おばちゃんにご贔屓のスターのことなど尋ねられつつ、もなかを買うのが楽しいが、ビジネスライクな劇場売店で今回敢えて買ったのは、カードが使えるからに他ならない。
最初からあんこがもなかに挟まったタイプのものもあるが、自分でへらで掬ってもなかに塗りたくってパリパリのもなかを作って食べるほうが圧倒的に美味い。この店では寶あわせがお勧めだ。
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ソリオを通り抜けようとふと脇を見ると、これまで気にも留めてこなかった喫茶店で氷のサンプルが目に入る。こうなったら生来の氷好き。寄らぬわけにはいきますまい。
カランカランと戸の音を立て、中に入れば、ゴージャスな緑色したビロード貼りの背高の椅子が並ぶお洒落な雰囲気。閉店時間が近い中、先ほど気になった「チェリーフラッペ」(750円)とアイスコーヒーを注文する。
名前から、てっきりサクランボ味のかき氷なのか?と思ったら、店の名前が「チェリー」だった。
真っ赤なシロップはいちご味で、特に珍しいものではなかったが、中にはしっかりバニラアイスが仕込まれ、バナナ、パインが脇を固める。てっぺんに乗った缶詰チェリーが、辛うじてサクランボの体面を保っている。
冷たい食べ物と飲み物をかきこみ、慌ただしく出てきてしまったが、帰り際にソリオのお店3店でお買い物すると、秋の大劇場公演のチケットが当たりますよという応募券をくれた。
冷静に考えれば、一体何倍の競争率なんだ、お前?となるのだが、 “当たったら、10月の吉本に続き、11月も関西遠征せにゃならんのか…う~ん…新幹線代が嵩むぜ”などとあくまでポジティブというかおめでたい思考の私。
氷だけで晩メシというのも何だかなーという気持ちと、2店舗めを稼ぐんだ!という思いがシンクロし、駆け込んだのがこの店。実は20年来の行き付けなのだ。
杵屋といえば手打ちうどんだ。子供の頃から猫舌で、親父のうどん好きに反発してか、蕎麦好きと来てるから、ざるそばはかなり食べつけている。
でも杵屋でうどんを食わないのは、自由軒で名物カレーを食わない位にアホだと思っているから、蕎麦かうどんか迷う。そんなジレンマを一気に解決してくれるのが「相もりざる」だ。だからこの店ではこればかり食べている。
ざるそばといえば、かつては必ずといってよいほどうずらの玉子がついてきた。幼心に鶏卵よりもずっと小さくて黒い斑点模様のついたうずらの玉子が可愛らしく、これをチョンチョンと割っておつゆに落とすのが楽しみだったのに、いつしか付かなくなってしまった。こういうところに世知辛さを感じてしまう。
そういえば、うずらの玉子は有精卵が多く、温めてやると雛が孵るらしいという話をテレビでやっていたと、職場の同僚からきいた。
その時、女性漫画家が都内の銭湯を巡る漫画で、アメ横に、確かタイだったかでアヒルの有精卵の中に雛が出来ている状態のものを敢えて殻ごと料理して食べる、見た目的には結構グロイ食いもんがあると書いてあったことを思い出した。
更にざるそば話だが、近頃贔屓にしている嵯峨谷というチェーンなんだが結構こだわりを見せる蕎麦屋で、ごまだれもりそばとハーフサイズの鯵ご飯を頼むのがすっかりデフォになっている。
ある夜のこと、いつものようにごまだれもりそばを頼んだ。この店は、有楽町の後楽そばのネギかけ放題みたいな感覚で、わかめがかけ放題という実に有難いサービスがあるので、わかめ壺からせいろのもりそば上に思いきりわかめを盛り上げ、下の蕎麦が見えなくなるほどにしてからズズズイッとごまだれに漬けて啜っていたら、隣に先に座ってほぼ半分もりそばを食べ終えていた若い姉さんが突然壺に手を伸ばし、同じようにわかめてんこもりを始めたのを見て、可笑しくてしょうがなくなった。
アンタ、絶対俺見て真似っ子したやろ!
まぁよろし。わかめは髪に優しい食べ物さっ。食え食え。店屋とちゃうけど。
そんなことを今思い出したが、以上述べた話はうずらの玉子有精卵~わかめまで、全て時系列的にはこの旅のずっと後の出来事なのである。実際に杵屋でこの時、そんなことを目まぐるしく思ったわけではない。
杵屋には、テーブル上にごま擂り器があるので、つゆの中に思い切りごまをゴリゴリ擂ってはつけて食う。
秋の宝塚挑戦権獲得にはあと1店舗だ!そんなことを思いつつ、更に奥の本屋へ向かう。
「ベルばら」研究の同人誌でも見つかれば買ってやる!そうすりゃ一気にノルマ達成だ!
そう思って勇み足。だが、そうお誂え向きの本などあるはずもない。さすがにその頃になると、競争率の高い宝塚ご招待など当たるわけがない、そんなバクチのために要らん買い物しようとすろのはアホや。…頭がクールダウンし始める。
本屋から立ち去ろうとしたその時、いずこからともなく何やら黒い飛行物体が本屋の中に飛び込んできた。
何だ?と目を凝らしたら、それは一匹のオニヤンマであった。
オニヤンマといえば体長10cmは下らないいわずと知れたトンボの王様である。2年ほど前に柏の三日月氷菓店という店へかき氷を食べに行った時、商店街で見かけたことがあり、写真を撮りたかったが、その手前のペデストリアンデッキに制服姿の女子高生がおり、ローアングルで盗撮したわね!と疑われるのがいやなので、みすみす見逃す羽目になって以来のことだ。
子供の頃、一度だけオニヤンマを捕まえたことがある。
まだ関西に住んでいた頃のこと、辺りは田んぼばかりの新興住宅街で、子供の遊びは専ら虫捕り。そんな中に、突如、ヤツは迷い込んできた。歓声をあげる子供たち。近所の同い年の女の子に煽られ、ブロック塀によじ上り、虫捕り網をブン回す。奇跡的にその中に入ってた。
トンボは飼育できない。空中で飛んでいるハエを捕食する虫だから。案の定、可哀相だが飢え死にしてしまった。標本にしたが、綺麗だった緑色の目はほどなく茶色に変色してしまった。
オニヤンマ 君の瞳は エメラルド
その輝きを 永久(とわ)に忘れじ
…さいぜんの宝塚のショーがまだ頭の中をぐるぐる回っております。一応エメラルドつながりということで。
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阪急の駅に来た。思い掛けない飲食店梯子のせいで既に時は8時前。後の予定が押せ押せだ。
今津線を北→南と乗り継ぎ、阪神沿線へ出る。
向かい側の宝塚線ホームに、珍しく9000系電車同士の並びが見られた。カメラを向ける。出発前なのでフラッシュ焚いても迷惑にはなるまい。折角なのでフラッシュ無と有両方試しに撮ってみる。
何だかミルクチョコとビターチョコみたいだな…。フラッシュ焚いたビターチョコのほうが、色に深みが出て高級感が増した気が…。
自分が乗ろうとしている今津北線の電車は、この線としては珍しい5100だったので、こちらも懲りずにミルクチョコとビターチョコ。色合いの違いをお楽しみ下さいませ。
さてすっかり陽は落ちた。暗がりじゃ車窓風景どころではない。この辺の車窓は「阪急電車」という映画にお任せするとして、パーッと乗って、ササッと西宮北口で降りて、パッと南線の電車に乗り換え、ペッと今津で降り、阪神電車に乗り換える。ほどなく着いたのは武庫川駅。
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ここで降りるのは昨夏以来二度目のことだ。
向かう先は同じ。武庫川湯である。
駅の中央を南北に貫く武庫川の東側の堤防と、暫く北へ向かった先に東西に走る車の道。それらに囲まれた一段低い住宅密集地の中に、武庫川湯はある。
この一帯は区画整理などとは無縁のぐにゃぐにゃの細道が蟻の巣穴か?と見紛うばかりに広がる迷宮地帯。Googleストリートビューの車も入り込めず、全くイメージトレーニングができない。そんな場所に夜遅く迷い込むには勇気が要った。それで去年は川沿いの築堤上の道を暫く北上。車の道に出たところで右折。東進。そこから南に戻る形で曲がり、工務店を目印に角を曲がる。そんな遠回りをしてみたが、一旦銭湯を見つけた後は、駅は南西。線路と川が交わった地点を目指せばよいわけだから、割と気楽に迷宮細道をぶらぶら歩き、途中、逆さクラゲか?と見紛うた和風旅館など見つけながら、無事駅に着いたのだった。
迷宮も一度歩けば勝手知ったる。今回は去年惧れ慄いた築堤から緩やかに下る坂道へ臆せず進むことにする。こうして見ると、何だかつげ義春の漫画の世界を彷彿とさせはしまいか?!
やがて見慣れた石垣塀の屋敷を横目に、適当に当りをつけて歩いてみれば、見覚えある工務店。その先に急にレトロな木の壁の平屋が狭い道沿いに並び、その間の細道を進むと、武庫川湯である。この日も人っ子一人いない中、静かに暖簾がはためいていた。
下足場は意外と広い。番台から脱衣所へ。浴室は白いタイルの簡素な作り。壁際のカランもシンプルだ。床は石畳。広い隙間にタイルが格子状に嵌め込まれ、浴槽の黒御影石共々実に渋い。反対側の女湯との境の壁沿いに浴槽が並ぶ。手前は浅く細長く、中央が深くて広い主浴槽。バスクリン湯がなみなみと。奥は二連のジェット風呂。
静寂な空間にて暫し極楽気分を味わう。
やがて後からおじさんの1人客が入ってきた。浴槽べりに腰掛け、ザブザブやり始めた。
基本的に苦手な電気風呂以外は、全ての浴槽に一通り身体を浸してみたいと思う貧乏性である。おじさんがザブザブやっているへりに近付かねば、手前の浅くて細長い浴槽に浸かることはできない。ここは本来子供風呂なのだろうか?だが子供風呂だろうが何だろうが、浸かりたいのである。こっちは滅多に来れないストレンジャーだ。
おじさん、早くザブザブやめて湯に浸かれ!心の中で秘かに念波を送る。
おじさんのザブザブはなかなかやみそうにない。一瞬ザブザブが中断し、カランへ向かった間隙を衝き、念願の浅風呂へ進出した。おじさんは怪訝そうな一瞥をくれた。そんなもん気にするか。
一通り浸かれば余は満足じゃ。
風呂を出た。
外へ出てこの渋い路地を奥に進む。狭い路地に突如聳え立つ煙突の偉容が異様だ。年季の入った煉瓦塀が実に渋い。小窓の奥から小さな灯りが漏れる。
湯上りは実にサッパリとして気持ち良い。ぶらりぶらりと迷宮路地を歩く。
この写真、8個上のものとほぼシンメトリーだ。ということに、アップロードして初めて気がついた。
今回は元来た緩い坂道を戻り、駅前のパチンコ屋の脇に出てきた。無事、駅に着いた。
こんな迷宮路地、銭湯巡りを趣味としなければ、一生訪れる機会はないだろう。そんな町の表情に触れられるのが銭湯巡りの醍醐味である。
武庫川駅で上り電車を待つ。頃は夜9時半過ぎ。向かい側の下り電車は家路に急ぐサラリーマンたちで混みあっているが、こちらはホームの客もまばらである。ホームが武庫川をまたぐ場所まで来て、カメラを塀の上へ掲げてみた。橋の照明が黒々とした川面に静かに灯りを伸ばし、静かな表情をたたえるさまは、ゴッホの「ローヌ川の星月夜」を彷彿とさせるではないか。
一方向こう側の下りホームに目をやると、白い柵の向こう側に歩道が並行しており、時折自転車が走っていくのが見える。
そうこうする内電車がやってきた。急行に乗る。
尼崎で急行から普通車に乗り換える。尼崎にも難波温泉という渋い銭湯があり、当初の予定ではここにも寄る積りだったが、駅から結構歩くようだ。時間が押せ押せなので今回は断念せざるを得なかった。
関西私鉄名物、両側扉開放の図。線路の両側にホームがある番線に待避する電車(この場合は普通車)が長時間停まる時、両側の扉を開けておくと、手前のホームの反対側に停まった特急から、普通車の車内を通り抜けて、更に反対側のホームの向こう側の電車(この場合は阪神難波線電車)にそのまま乗換できるというもの。
通常ならホームが違えば階段を下りて、通路を経てまた別の階段を上ってホームへ上がらねばならない。それを停まっている電車を仮の通路にしてしまおうという実に合理的な優れもののシステムなのである。
これは阪神電車、エラい!そう思うよ!!
普通車はジェットカーだ。加速が良い。それでも一昔前の青銅車よりは、急加速→おっとっとっと…慌てて掴み棒握る→減速→今度は前へつんのめり、…そんなデンジャラスな感覚が大分失せた気がする。
車内に虎マーク発見。前に見たトラ猫みたいな軟弱なやつよりも力強そうだ。これぞタイガースって顔や。
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そうこうする内、電車は姫島へ着いた。このカーブ具合、何だか既視感があるなと思ったら、去年の杭瀬が似た雰囲気に思えた。
駅の北側へ出る。杭瀬とは違い、駅前に公園はない。広い道が斜めに分かれた先を少し進んでから左に折れる。飲み屋が所々にある下町ぽい街並み。その並びに近代的な鉄筋の建物がある。そこが松の湯。
脇の階段を2階へ上る。
上った先にはうさちゃんに信楽焼のタヌ公がこぞってWelcomeとお出迎え。何だかチョット嬉しいゾ。
富士山に亀と、とってもお目出度い暖簾はためくエントランスを入る。よく見ると、暖簾を留めているのは、よくベランダに布団を干す時、布団をガチッと留める巨大クリップじゃありませんか!!小洒落たなりとは裏腹に、所々見せてくれる庶民的な表情が親しみ易くてとても良い。
ここはフロント方式。そりゃこんだけモダンななりした建物で、逆に番台式やったら驚きますわなー。
さあ入湯。脱衣所も浴室も思った通り近代的な作り。浴室は意外なほどに複雑な作りで、向かって左手側にカランが並ぶ。中央手前に衝立状の低い壁。そこにもカラン。右手前にもカラン。
右側奥に浴槽が広がる。深い主浴槽、その次が泡風呂。一番奥は一段高い踊り場で、本当はその奥に露天風呂があるらしいが、残念ながら中止であった。
踊り場左に水風呂。これはその左側のサウナへと展開。
女湯との仕切壁はオレンジ色、水色、緑に黄色と実にカラフルなカラータイルが不規則に嵌め込まれるが、基本はライトグレーの立体的な縦長柱状のタイルが縦に互い違いに配されるというモダンな意匠。その意匠は三角形の屋根まで続く。
訪ねた時は既に夜の10時半。客はまばらで、大学生と思しき若者3人が先客でいるだけだ。そこへいきなり入ってきた1人客のおっちゃん兄ちゃんは、「誰やねん?」と訝られたかもしれないが、な~に、こちらは銭湯梯子中。既に身体も頭も洗ってきたさ。「ちょっとごめんなさいね~。一通り浸からしてや~」の体。ササッと浸かって彼らより先に出てきてしまった。
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姫島でもう一湯。今度は阪神電車のガードをくぐり、南側へ出る。
電車の高架線路に沿って阪神高速のものものしい高架が走る。ここから西へ少々。ほどなく辿り着いたのが山水温泉。
折角やから、先にぐるりを見学しよか。
辺りの道は広く、銭湯全体の姿をカメラに収めるのに都合が良い。先の武庫川湯とはエライ違いや。
ここの暖簾も富士山&亀さんの縁起物の暖簾。姫島銭湯トレンドか?!
さあ入湯。番台を抜け、脱衣所へ。ものすごく広い。白い円柱のぐるりを取り囲むように赤色ソファが円形配置。上から見れば丁度プロセスチーズかケーキ1ホールの形だわ。
いざ浴室へ。浴室も実に気持ちよいほど広々とした開放空間だ。
横に大きく広い。
手前左から水風呂、サウナ。そこで壁。壁の奥に低周波の電気風呂。ここが左側奥。その右隣に深くて大きな主浴槽。手前に浅いサブ浴槽。主浴槽の右隣にジェットが3つ。ジェット手前に高床が広がり、そこから手前に一段下がり、この辺がカランとなる。
カランの並び一番手前、即ち入って右手側の一番手前に水鉢。浅風呂の斜め前に女神像が鎮座ましまする。腰つきが堪らんぜよ。
天井に目をやると、これまた随分と高い開放空間なんだなぁ。遥か高く、中央上部に四角く凸型に出っ張りがあり、そこに窓が開いている。女湯にまたがるカマボコ型の大屋根が開放空間の演出に大役を果たす。
壁は白基調だが、所々に小さな四角いタイルが水色、紫色、青緑色と三連。丁度吹き流し状に斜めに繋がり、単調な白壁に絶妙かつモダンなアクセントを与えている。
一方、シャワーはホースのあるタイプ。そのホースがものものしい黒色で、何だかガス管みたい。
湯上りに塩サイダーを飲んだ。結構遅い時間だったが、おっちゃん客も兄ちゃん客も引きも切らず。
渋さ、賑わい、雰囲気。この日入った姫島銭湯対決。これは山水温泉に軍配が上がろうか。
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外へ出て、ぐるりを回ってみた。風呂屋の裏手に回ってみる。ひと際高くに中から灯りが漏れる物見台のような出っ張りが、先ほどの天井の凸型出っ張りの外見なのだろう。
一方、そのすぐ傍には木密地帯といったらいいのか、随分レトロな木造長屋群が。これまでの経験からすると、やはりこうした昔からある木造長屋が残っている場所にこそ渋くて良い銭湯が栄える。背後に聳える高速道路のものものしい高架橋とのコントラストが面白い。
再び姫島駅へ。ここから梅田ではなく尼崎方面へ向かう。既に夜11時半近い。やはり尼崎の銭湯を断念したのは正解であった。
向かいの上りホームに5000系ジェットカーがやってきた。この肌色ぽいクリーム色と、青紫色ぽい紺色のツートンは、子供の頃から見慣れた青銅車だが、一足先に急行系の赤胴車は武庫川線以外絶滅してしまった。5700系というステンレスカーがデビューした今、やがて青銅車も過去のものとなってしまうのであろう。自由に写せるのも今のうちだ。
乗り換え時刻を調べると、尼崎まで行くよりも、手前の大物で降りて、難波線に乗り換えたほうが1本早い電車に乗り換えられるようだ。人影まばらな大物で下車。
暫くすると思った通り難波線の近鉄車が来た。尼崎まで行くと、下りから上りへの乗り換えだから、ホームを下って通路を介し、別のホームへ行かねばならないが、尼崎と次の大物との間で、本線下りと難波線上りの線路が入れ替わるから、大物では本線下りと難波線上りが同じホームになってくれる。
丁度、東京だと、中央線各駅停車で千駄ヶ谷方面から山手線渋谷方面に乗り換えようとする時、新宿まで行くより手前の代々木で乗り換えたほうが同じホームで済むのと同じ理屈である。
車内の広い近鉄車に座ると漸く人心地がついた。日本橋に着いた頃には日付が変わっていた。
酒は一滴も入っていないが、午前様だ。0時過ぎたら脇のインターホンを鳴らせと教わっていたが、ガードマンのおっちゃんが気を利かせてドアを開けてくれた。ありがとうっ。
不夜城の雰囲気醸す日本橋の喧騒を横目に、宿に戻ってすぐさま床に就けるのが何だか嬉しい。周囲は騒がしいが、風呂屋の梯子のせいで、すぐさま深い眠りについた。
これにて第6夜終了。




































