8月6日(木)
難波―梅田―宝塚
宝塚―(西宮北口)―今津―武庫川
武庫川―姫島/姫島―(大物)―日本橋
********************
この旅もいよいよ折り返し地点に入る。
朝からなんばグランド花月に行く。
第1回目公演は9時45分開演だが、開演前の「花月爆笑族」も見たいから、30分前には劇場入りしよう。
こういう時、日本橋に宿があるのが有難い。
朝はゆっくり寝坊したが、この日は広島に原爆を落とされた日だ。平和祈念式典の様子をテレビで見、両手を合わせて黙禱する。終戦記念日よりも、この日の方が厳かな気持ちになる。旅先で迎えることが多いが、極力こうして犠牲者の方々を悼む気持ちを、一人の日本人として持ち続けたいと思う。
ウィークリーマンションを改装したような造りのビジネスホテルだが、1Fには喫茶店があり、朝食がついている。案内を請う時、丁度居合わせた若い女性客と連れだと勘違いされ、慌てて否定した。こっちは別にいいけれど、向こうがヤでしょ。
トーストとサラダ、ゆで卵にアイスコーヒーという軽食を摂り、劇場へ向かう。なんばグランド花月は、かなり日本橋寄りにあるから余裕で歩いて行ける。朝9時の日本橋は、夜はあれほど観光客や酔客で溢れていたのが嘘のように、ビジネスマンやOLの姿しか見かけない。その中を、軽装でレジャーに向かうことに妙な優越感を覚える。
**********
劇場前に来てみれば、夏休みだけあって、子連れの姿が目立つ。この日はアホの坂田の着ぐるみと記念撮影する客が後を絶たず。

さぁ劇場へ入るとしよう。
エスカレーター前で挨拶してくれる事務方のお偉いさんぽい方や、スタッフのお姉さんたちは、意外なほどに折り目正しく、おちゃらけていないところに感心する。
一日支配人は誰だったかスミマセン忘れてしまいました。
開演前の「花月爆笑族」は、幼稚園児に扮した座員たちを率いて、ギターのおっちゃん(…今、調べてみたら、おかけんたさんというらしい)が、「おお牧場は緑」などを歌い、客席に呼びかけてみんなで手を動かしましょうねというもの。吉本の芸人さんはこういう客席いじりがほんまに上手い。
そうこうする内に第1部の演芸が開幕となった。
学天即、かまいたち、ミサイルマン、浅越ゴエ(ザ・プラン9)、笑い飯、ザ・ぼんち、桂文珍の順。
学天即は、2日に祇園花月でも見た。ネタは同じようなものだった気がする。
かまいたち、ミサイルマンは、スミマセン、どんなネタだったか忘れてしまいました。確か、かまいたちのほうはこぶ平みたいな顔したほうが中国人のふりをするネタだったような気が…。
浅越ゴエは、前に一度ここで見た。滑舌のよい知的そうな風貌で、アナウンサーよろしく解説していく。一見教養講座ぽい辞書ネタ。名付けて辞書講座。大人向け辞書と小学生向け辞書の用語解説の違いから、後半はその用語を使った文例の説明。小学生向けには、ひろし君という男の子の図解が出てきて、これが面白い。
時代遅れの例として、ひろし君の格好が紹介される。それがちょんまげだったり、絶体絶命の図示として、ひろし君が豚の丸焼き状態だったり…。実際に見てもらえば意外なほどにハマります。
笑い飯も何度か見たことがある。基本的には同じネタ。ラーメン屋の行列に割り込まれた時、どうするか?かわりばんこに演じてみせる。最後はガムの神さまネタ。哲夫という小顔のほうが、「ぶぁさっ、ぶぁさっ」と大ぶりな仕草で羽ばたくさまが、どう見ても蝶ちょというより蛾に見え、胡散臭そうのが面白い。
ザ・ぼんちは、おさむちゃん大暴走。サッカーのメッシとか、年金ネタとか、途中でハーモニカ吹いちゃうし、笑かしてもろたけど、ゴメンナサイ、再現できるほどには覚えてません。
演芸のトリは桂文珍師匠。昔から結構縁があり、何度も見ている。最近はスマホネタ。
街で文珍を見かけた一般人。誰やったかなーと咄嗟に思い出せず、「ちょっと待ってて下さい」と徐にスマホを取り出し、シュッシュッと検索し始めた。
「大阪、落語家、眼鏡」
その頃には当人もう目の前にはいない。
「“鶴瓶です”って言うたりますねん。」
実際よお間違えられます、との弁。
確かこの日は、この後喫茶店に行ってカレーを頼むが、ウェイトレスとのやり取りが全く要領を得ず…という話だった。客の文珍師匠はとうとう怒って帰ってしまう。残されたウェイトレスと店長。実は2人ともアンドロイド…というオチ。
*****
休憩をはさんで新喜劇。この日は「茂造のミラクルサマー」。辻本茂雄座長回。この回は最初からハイテンションで「当たり」だった。
茂造じいさんがバイトに来て、伊賀健二や平山昌雄と絡み…といういつものパターンとはちょっと違い、辻本が扮するのはシッゲゾーという未来人。銀色の全身スーツに身を包み、頭だけは御茶ノ水博士よろしく茂造じいさんの片鱗を残している。伴ってきたのはタダーシこと西川忠志。こっちは金色全身スーツ姿。人類の未来を守るためやってきたというのだが…。
以下は詳しい筋書き。
舞台はペンション。営むのは吉田裕、(鮫島)幸恵の若き夫婦。従業員・島田珠代が初っ端から登場。大暴走する。地上げ屋がやって来て、ペンションを売れと迫られるがどうにか追い返す。演ずる森田展義の洗剤ネタはこの時初めて見た。英語でまくしたてるだけのあまり面白くない人というイメージしかなかったが、この新ネタ(?)は面白い。この後も何度か見ている。
「バイオ酵素のアタック~」
「酵素パワーのトーップ(チョップ)」
「隙をついてお前の腕をボールド(ホールド)」
「とどめや!フフフフンフン…」「何してるんですか?」「ハミング」
「アイツなかなかアリエ~ル」
「今日のところはエマール(帰る)」
そこへ怪しい黒ずくめの男2人が現れ、従業員・珠代を拉致しにかかる。
そこへ突然現れたのがシッゲゾーとタダーシの2人。どう見てもママチャリとしか見えないタイムマシーンに乗って、西暦2167年からやってきた。22世紀はサイボーグが人類を支配する世界。革命を起こし、サイボーグを制圧した革命の指導者がタダーシ。シッゲゾーはその守役。
サイボーグたちはタダーシの暗殺に失敗すると、今度は過去に遡り、タダーシの先祖の暗殺計画を立てる。シッゲゾーたちはタダーシの両親を守るべく、未来からやってきたという。
実は珠代はタダーシの母親。
でも、現代世界では珠代は独身。タダーシから父親が健二だと聞かされる。ところが健二は店を出ており、行方不明。シッゲゾーらはひとまずペンションに居候することに。
そこへ有名イタリアレストランのオーナー・島田社長(島田一の介)とその令嬢・(小寺)真理がやってくる。真理の婚約者・新名徹郎も一緒。ところがペンションのシェフ・レイ(レイチェル)は、実はその昔レストランの後継者と島田社長に見込まれ、真理と婚約までしていたが、理由を告げず出奔。
レイへの気持ちがまだ残っていた真理が、ペンションへ父親らを連れてきたのだ。
まりこりんこと小寺真理の、うっとおしいブリっ子ネタ(ぞうさんがパオ~ン…)に、茂造がホンマに憎々しげな顔して銃乱射というのは最近すっかりお約束。
新名徹郎への「こんにちは」ネタは、大しておもろくないのに何度も繰り返され、チョット鬱陶しいが、子供への挨拶啓蒙には丁度良いのかもしれない。
徹郎のことを聞かされたレイ。思わず口をついて出た言葉は、辻本回ではすっかりお馴染み、
「なんてこった。パンナコッタ。」
現代世界ではレイを好きな珠代。そこで珠代は真理に「愛の表現力勝負」を持ち掛け、小寺真理が身体を張って、島田珠代と同じ小芝居を熱演。
サーフィンで倒れて水着がとれて、「ありったけのワカメを下さい!」と絶叫して、最後は茂造の股間へ一直線…みたいな。後のTV放映では小寺真理の時は途中で辻本に止められてたが、観に行った時は、ビールサーバーの蛇口みたいなこと言ってしっかり触ってたゾ。
一方、真理を奪われまいと、徹郎もレイに「一発ギャグ対決」を持ち掛ける。こっちはレイの「脇の下ライザップ」の圧勝。
今度はド派手スーツの借金取り(アキ、もりすけ)がやって来る。オーナーの息子・健二の借金の取り立てに。一悶着の末、一旦借金取りは引上げ。
そこへ健二が婚約者・真希(前田真希)を伴って帰ってくる。勝手に家出して、借金までこさえた健二にレイは怒りを露わにする。
今回は伊賀健二への「横顔新幹線」ネタはそれほど長くはなかった。
再び借金取り。アキのダンス携帯着信ネタは前からだが、今回は『宇宙戦艦ヤマト』の主題歌がマイケル・ジャクソンと交互に混じり、ヤマト主題歌と共に、一同敬礼。アキがテーブル上に正座すると、男たちがテーブルを持ち上げ、進水式よろしくスイスイ。手を振るアキが何だかやけにかわいい。
そこへ今度は先ほどの黒づくめの男たち実はサイボーグたちが、今度はイカれた全身青ラメと赤ラメ姿で乱入。健二と珠代に斬りかかるが、チャンバラのどさくさで借金取りのアキが斬られ、倒れざまに「いいよぉ~」。
実は健二の婚約者・真希はペンションを売らせようとする地上げ屋とグルで、シッゲゾーらはそれを秘かに聞く。ここでも再び、「なんてこった。パンナコッタ。」
そこへ40針縫って奇跡の復活を遂げたアキ&もりすけの借金取りコンビ。アキの「いいよぉ~」に代わるリアクションをシッゲゾーから求められ、とっさにイマイチのリアクションしかできないもりすけは、居合わせた一の介とハゲ頭同士引かれあい、『ET』よろしくオデコとオデコの未知との遭遇。イマイチ面白くなかったもりすけだが、このネタはウケた。反応がよかったのか、この後何度もこのネタを目にすることになる。
ペンションを売らせようと地上げ屋がやってきて、真希の正体も知れる。真理が人質にとられるが、サイボーグが地上げ屋たちを追い出し、真理を人質に取る役を取って代わる。
サイボーグの放った銃弾が、スローモーションになる。みんな器用によけて、一番奥にいたアキの胸を貫くが、効果音楽が実は茂造の携帯着信音というのはいつものパターン。
どさくさの流れ弾に遭って、アキは「いいよぉ~」といまわの際の言葉を残して倒れるが、こちらも胸ポケットの携帯電話で奇跡の命拾い。
サイボーグ軍団は健二を亡き者にしようと襲い掛かろうとするが、健二が殺られると借金の取り立てができなくなるとアキが応戦。意外に職務に忠実なお方デス。
アキは単身刀で応戦。大立ち回りを演ずるも、途中何度もやられて倒れるが、シッゲゾーに「まだまだ~」と励ましになってるのか何なのかわからぬ励ましで、無理矢理戦線復帰を強いられる。最後はシッゲゾー&タダーシが飛び道具でサイボーグを撃退。
ブラックホールへサイボーグたちは吸い込まれ、巻き添え喰らってアキ&もりすけの借金取りコンビも吸い込まれ…。シッゲゾーが「すいませーん」。ホールの向こうから「いいよぉ~」。どこまでも人のいいアキでした。
さて物語も終結へ。島田社長はレイを認め、真理と元サヤに戻ってほしいと懇願。和解。
一方、珠代は一連の騒動での健二の勇敢な振る舞いに惚れ、ひっしと抱き合い、「連結!」
シッゲゾーとタダーシは未来へ戻ると宣言。
タダーシは再び人類の指導者としてこれからも精一杯頑張るという。
「大きなことはできなくても、小さなことからコツコツと」
流れる未来的な効果音。どこかで聞いたことのある曲だなー。そう思ったら、『うる星やつら2・ビューティフルドリーマー』のものだった。
アニヲタでもあると、こういう時、何だか得した気分になれると思うのは私だけ?
限りなくママチャリぽいタイムマシーンにまたがって颯爽と現れるシッゲゾー。その後ろには銀ラメスーツのいかれた姿に化けた鮫島幸恵が乗っている。
シッゲゾーとの浮気が発覚していた幸恵。とうとうシッゲゾーとの浮気が本気になって、未来世界でシッゲゾーと結婚すると夫・裕に宣言。更にその後ろにタダーシもまたがる。
そこへヤケを起こした地上げ屋・森田が乱入。お前らのせいで計画台無しや~と銃をぶっ放すと、器用によけたシッゲゾー&幸恵を素通りし、タダーシに命中。倒れるタダーシ。
「わー、タダーシが死んだら人類が滅亡するんですよね~?何とかせんと~」
取り乱す吉田裕。関係ない一般人のほうが得てして真面目になっている。
シッゲゾー&幸恵、委細構わず「幸恵、シッゲゾー、行こ~う」
当事者の方が無責任。結局愛に生きるんかい?!
**********
おもろいネタ込みで以上、大体紹介したつもりだが、文で書くとどうにもくどくて鬱陶しいネ。
島田珠代が最初から出てくると、テンション高くて盛り上がりますわ。
ペンションの客に麦茶を出すが、豪快にすっ転んで、お茶をぶちまけ、拭いた雑巾の絞り汁をコップに戻して「どうぞ~」とか、レイチェルと連携して股間くぐりとか…。
考えてみれば、この回は浅香あき恵、末成由美、未知やすえといったベテラン女優陣の出演は全くないが、それに気づかないほどのハイテンション。
辻本茂雄が贔屓にしていると思しき役者は沢山いるが、女優陣では鮫島幸恵、最近では小寺真理がお気に入りなのではなかろうか。
昨秋、MXTVの放映で、鮫島幸恵が身体を張った島田珠代との「愛の表現力勝負」を見て大笑いしたが、今年頭のメイド喫茶回あたりからまりこりんがイジられ若手女優のポジションを代わりに得たようだ。メイド喫茶店員出身だけに萌え声はお手の物だし、見た目に反して舞台度胸もありそうでしっかり「愛の表現力勝負」もしてまうし、偏りはあるかもしれないが辻本茂雄の若手いじりは、若手を育てるのに一役買っていると言えるのではなかろうか。
今ひとつ目立たぬ存在だった、青っ白い若ハゲ(失礼!)にすぎなかったもりすけを、島田一の介と組んで“ハゲとハゲの宇宙人の挨拶”に仕立てたのは、思わぬコロンブスの玉子。
上でも書いたが、英語でまくしたてるだけで、 『おそ松くん』のイヤミみたいなイメージしかなかった森田展義の洗剤ネタも面白かったし…。
話の筋と関係ないところで、踊れる若手女優陣を使ったダンス披露が長い回は、特にその場面がおもろいわけではないから個人的にはあまり好きじゃない。又、伊賀健二の「横顔新幹線」もそろそろマンネリ化してきた感じがする。
トラブルを解決するために一芝居打とうと計略を巡らし、茂造じいさんに「許してやったらどうや」など訛った台詞を5つも6つも言わせ、綿密なリハーサルまでやったのに、本番ではとんでもない方向に転がって「あきらめたらどうや」という展開が、辻本座長回では好きだ。ちゃんと見ていないと面白さがわからないが、手の込んだネタで楽しい。
それらをやめて新味を狙ったこの回は、なかなか新鮮で「大当たり」といってもよいと思える。未来人ネタなど、そうそう使いまわすことなどできそうにないが、茂造じいさんネタのバリエーションとして大あり。オオアリクイだ。
準座長扱いのアキが、この回でも特に目立つ。「いいよぉ~」をこの回でも連発。
この回の「ヤマト」ネタも大爆笑もんだったが、別の回の「サザエさん」ネタもおもろかった。他にはこの10月に観た、シゲファニー回かな…。
女優陣のダンス披露場面はあるが、ジャズダンス教室が舞台だから、本筋に関係してますし。
話の筋に関係なく、唐突にダンス場面が挿入されることに否定的な見方をするのは、宝塚ファンとしてはチョット矛盾している気がしないでもありませんが…。
実際、この日はこの後、宝塚へと向かったのであった。
最後に付録。YouTubeから動画を引用。オフィシャル動画は途中のスローモーション場面で何故か音声が消えてしまうので、別のものを掲載。その内消えてしまうかもしれないので、ご興味を持たれた方はお早めに。
以上、敬称略。
次回へ続く。
難波―梅田―宝塚
宝塚―(西宮北口)―今津―武庫川
武庫川―姫島/姫島―(大物)―日本橋
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この旅もいよいよ折り返し地点に入る。
朝からなんばグランド花月に行く。
第1回目公演は9時45分開演だが、開演前の「花月爆笑族」も見たいから、30分前には劇場入りしよう。
こういう時、日本橋に宿があるのが有難い。
朝はゆっくり寝坊したが、この日は広島に原爆を落とされた日だ。平和祈念式典の様子をテレビで見、両手を合わせて黙禱する。終戦記念日よりも、この日の方が厳かな気持ちになる。旅先で迎えることが多いが、極力こうして犠牲者の方々を悼む気持ちを、一人の日本人として持ち続けたいと思う。
ウィークリーマンションを改装したような造りのビジネスホテルだが、1Fには喫茶店があり、朝食がついている。案内を請う時、丁度居合わせた若い女性客と連れだと勘違いされ、慌てて否定した。こっちは別にいいけれど、向こうがヤでしょ。
トーストとサラダ、ゆで卵にアイスコーヒーという軽食を摂り、劇場へ向かう。なんばグランド花月は、かなり日本橋寄りにあるから余裕で歩いて行ける。朝9時の日本橋は、夜はあれほど観光客や酔客で溢れていたのが嘘のように、ビジネスマンやOLの姿しか見かけない。その中を、軽装でレジャーに向かうことに妙な優越感を覚える。
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劇場前に来てみれば、夏休みだけあって、子連れの姿が目立つ。この日はアホの坂田の着ぐるみと記念撮影する客が後を絶たず。

さぁ劇場へ入るとしよう。
エスカレーター前で挨拶してくれる事務方のお偉いさんぽい方や、スタッフのお姉さんたちは、意外なほどに折り目正しく、おちゃらけていないところに感心する。
一日支配人は誰だったかスミマセン忘れてしまいました。
開演前の「花月爆笑族」は、幼稚園児に扮した座員たちを率いて、ギターのおっちゃん(…今、調べてみたら、おかけんたさんというらしい)が、「おお牧場は緑」などを歌い、客席に呼びかけてみんなで手を動かしましょうねというもの。吉本の芸人さんはこういう客席いじりがほんまに上手い。
そうこうする内に第1部の演芸が開幕となった。
学天即、かまいたち、ミサイルマン、浅越ゴエ(ザ・プラン9)、笑い飯、ザ・ぼんち、桂文珍の順。
学天即は、2日に祇園花月でも見た。ネタは同じようなものだった気がする。
かまいたち、ミサイルマンは、スミマセン、どんなネタだったか忘れてしまいました。確か、かまいたちのほうはこぶ平みたいな顔したほうが中国人のふりをするネタだったような気が…。
浅越ゴエは、前に一度ここで見た。滑舌のよい知的そうな風貌で、アナウンサーよろしく解説していく。一見教養講座ぽい辞書ネタ。名付けて辞書講座。大人向け辞書と小学生向け辞書の用語解説の違いから、後半はその用語を使った文例の説明。小学生向けには、ひろし君という男の子の図解が出てきて、これが面白い。
時代遅れの例として、ひろし君の格好が紹介される。それがちょんまげだったり、絶体絶命の図示として、ひろし君が豚の丸焼き状態だったり…。実際に見てもらえば意外なほどにハマります。
笑い飯も何度か見たことがある。基本的には同じネタ。ラーメン屋の行列に割り込まれた時、どうするか?かわりばんこに演じてみせる。最後はガムの神さまネタ。哲夫という小顔のほうが、「ぶぁさっ、ぶぁさっ」と大ぶりな仕草で羽ばたくさまが、どう見ても蝶ちょというより蛾に見え、胡散臭そうのが面白い。
ザ・ぼんちは、おさむちゃん大暴走。サッカーのメッシとか、年金ネタとか、途中でハーモニカ吹いちゃうし、笑かしてもろたけど、ゴメンナサイ、再現できるほどには覚えてません。
演芸のトリは桂文珍師匠。昔から結構縁があり、何度も見ている。最近はスマホネタ。
街で文珍を見かけた一般人。誰やったかなーと咄嗟に思い出せず、「ちょっと待ってて下さい」と徐にスマホを取り出し、シュッシュッと検索し始めた。
「大阪、落語家、眼鏡」
その頃には当人もう目の前にはいない。
「“鶴瓶です”って言うたりますねん。」
実際よお間違えられます、との弁。
確かこの日は、この後喫茶店に行ってカレーを頼むが、ウェイトレスとのやり取りが全く要領を得ず…という話だった。客の文珍師匠はとうとう怒って帰ってしまう。残されたウェイトレスと店長。実は2人ともアンドロイド…というオチ。
*****
休憩をはさんで新喜劇。この日は「茂造のミラクルサマー」。辻本茂雄座長回。この回は最初からハイテンションで「当たり」だった。
茂造じいさんがバイトに来て、伊賀健二や平山昌雄と絡み…といういつものパターンとはちょっと違い、辻本が扮するのはシッゲゾーという未来人。銀色の全身スーツに身を包み、頭だけは御茶ノ水博士よろしく茂造じいさんの片鱗を残している。伴ってきたのはタダーシこと西川忠志。こっちは金色全身スーツ姿。人類の未来を守るためやってきたというのだが…。
以下は詳しい筋書き。
舞台はペンション。営むのは吉田裕、(鮫島)幸恵の若き夫婦。従業員・島田珠代が初っ端から登場。大暴走する。地上げ屋がやって来て、ペンションを売れと迫られるがどうにか追い返す。演ずる森田展義の洗剤ネタはこの時初めて見た。英語でまくしたてるだけのあまり面白くない人というイメージしかなかったが、この新ネタ(?)は面白い。この後も何度か見ている。
「バイオ酵素のアタック~」
「酵素パワーのトーップ(チョップ)」
「隙をついてお前の腕をボールド(ホールド)」
「とどめや!フフフフンフン…」「何してるんですか?」「ハミング」
「アイツなかなかアリエ~ル」
「今日のところはエマール(帰る)」
そこへ怪しい黒ずくめの男2人が現れ、従業員・珠代を拉致しにかかる。
そこへ突然現れたのがシッゲゾーとタダーシの2人。どう見てもママチャリとしか見えないタイムマシーンに乗って、西暦2167年からやってきた。22世紀はサイボーグが人類を支配する世界。革命を起こし、サイボーグを制圧した革命の指導者がタダーシ。シッゲゾーはその守役。
サイボーグたちはタダーシの暗殺に失敗すると、今度は過去に遡り、タダーシの先祖の暗殺計画を立てる。シッゲゾーたちはタダーシの両親を守るべく、未来からやってきたという。
実は珠代はタダーシの母親。
でも、現代世界では珠代は独身。タダーシから父親が健二だと聞かされる。ところが健二は店を出ており、行方不明。シッゲゾーらはひとまずペンションに居候することに。
そこへ有名イタリアレストランのオーナー・島田社長(島田一の介)とその令嬢・(小寺)真理がやってくる。真理の婚約者・新名徹郎も一緒。ところがペンションのシェフ・レイ(レイチェル)は、実はその昔レストランの後継者と島田社長に見込まれ、真理と婚約までしていたが、理由を告げず出奔。
レイへの気持ちがまだ残っていた真理が、ペンションへ父親らを連れてきたのだ。
まりこりんこと小寺真理の、うっとおしいブリっ子ネタ(ぞうさんがパオ~ン…)に、茂造がホンマに憎々しげな顔して銃乱射というのは最近すっかりお約束。
新名徹郎への「こんにちは」ネタは、大しておもろくないのに何度も繰り返され、チョット鬱陶しいが、子供への挨拶啓蒙には丁度良いのかもしれない。
徹郎のことを聞かされたレイ。思わず口をついて出た言葉は、辻本回ではすっかりお馴染み、
「なんてこった。パンナコッタ。」
現代世界ではレイを好きな珠代。そこで珠代は真理に「愛の表現力勝負」を持ち掛け、小寺真理が身体を張って、島田珠代と同じ小芝居を熱演。
サーフィンで倒れて水着がとれて、「ありったけのワカメを下さい!」と絶叫して、最後は茂造の股間へ一直線…みたいな。後のTV放映では小寺真理の時は途中で辻本に止められてたが、観に行った時は、ビールサーバーの蛇口みたいなこと言ってしっかり触ってたゾ。
一方、真理を奪われまいと、徹郎もレイに「一発ギャグ対決」を持ち掛ける。こっちはレイの「脇の下ライザップ」の圧勝。
今度はド派手スーツの借金取り(アキ、もりすけ)がやって来る。オーナーの息子・健二の借金の取り立てに。一悶着の末、一旦借金取りは引上げ。
そこへ健二が婚約者・真希(前田真希)を伴って帰ってくる。勝手に家出して、借金までこさえた健二にレイは怒りを露わにする。
今回は伊賀健二への「横顔新幹線」ネタはそれほど長くはなかった。
再び借金取り。アキのダンス携帯着信ネタは前からだが、今回は『宇宙戦艦ヤマト』の主題歌がマイケル・ジャクソンと交互に混じり、ヤマト主題歌と共に、一同敬礼。アキがテーブル上に正座すると、男たちがテーブルを持ち上げ、進水式よろしくスイスイ。手を振るアキが何だかやけにかわいい。
そこへ今度は先ほどの黒づくめの男たち実はサイボーグたちが、今度はイカれた全身青ラメと赤ラメ姿で乱入。健二と珠代に斬りかかるが、チャンバラのどさくさで借金取りのアキが斬られ、倒れざまに「いいよぉ~」。
実は健二の婚約者・真希はペンションを売らせようとする地上げ屋とグルで、シッゲゾーらはそれを秘かに聞く。ここでも再び、「なんてこった。パンナコッタ。」
そこへ40針縫って奇跡の復活を遂げたアキ&もりすけの借金取りコンビ。アキの「いいよぉ~」に代わるリアクションをシッゲゾーから求められ、とっさにイマイチのリアクションしかできないもりすけは、居合わせた一の介とハゲ頭同士引かれあい、『ET』よろしくオデコとオデコの未知との遭遇。イマイチ面白くなかったもりすけだが、このネタはウケた。反応がよかったのか、この後何度もこのネタを目にすることになる。
ペンションを売らせようと地上げ屋がやってきて、真希の正体も知れる。真理が人質にとられるが、サイボーグが地上げ屋たちを追い出し、真理を人質に取る役を取って代わる。
サイボーグの放った銃弾が、スローモーションになる。みんな器用によけて、一番奥にいたアキの胸を貫くが、効果音楽が実は茂造の携帯着信音というのはいつものパターン。
どさくさの流れ弾に遭って、アキは「いいよぉ~」といまわの際の言葉を残して倒れるが、こちらも胸ポケットの携帯電話で奇跡の命拾い。
サイボーグ軍団は健二を亡き者にしようと襲い掛かろうとするが、健二が殺られると借金の取り立てができなくなるとアキが応戦。意外に職務に忠実なお方デス。
アキは単身刀で応戦。大立ち回りを演ずるも、途中何度もやられて倒れるが、シッゲゾーに「まだまだ~」と励ましになってるのか何なのかわからぬ励ましで、無理矢理戦線復帰を強いられる。最後はシッゲゾー&タダーシが飛び道具でサイボーグを撃退。
ブラックホールへサイボーグたちは吸い込まれ、巻き添え喰らってアキ&もりすけの借金取りコンビも吸い込まれ…。シッゲゾーが「すいませーん」。ホールの向こうから「いいよぉ~」。どこまでも人のいいアキでした。
さて物語も終結へ。島田社長はレイを認め、真理と元サヤに戻ってほしいと懇願。和解。
一方、珠代は一連の騒動での健二の勇敢な振る舞いに惚れ、ひっしと抱き合い、「連結!」
シッゲゾーとタダーシは未来へ戻ると宣言。
タダーシは再び人類の指導者としてこれからも精一杯頑張るという。
「大きなことはできなくても、小さなことからコツコツと」
流れる未来的な効果音。どこかで聞いたことのある曲だなー。そう思ったら、『うる星やつら2・ビューティフルドリーマー』のものだった。
アニヲタでもあると、こういう時、何だか得した気分になれると思うのは私だけ?
限りなくママチャリぽいタイムマシーンにまたがって颯爽と現れるシッゲゾー。その後ろには銀ラメスーツのいかれた姿に化けた鮫島幸恵が乗っている。
シッゲゾーとの浮気が発覚していた幸恵。とうとうシッゲゾーとの浮気が本気になって、未来世界でシッゲゾーと結婚すると夫・裕に宣言。更にその後ろにタダーシもまたがる。
そこへヤケを起こした地上げ屋・森田が乱入。お前らのせいで計画台無しや~と銃をぶっ放すと、器用によけたシッゲゾー&幸恵を素通りし、タダーシに命中。倒れるタダーシ。
「わー、タダーシが死んだら人類が滅亡するんですよね~?何とかせんと~」
取り乱す吉田裕。関係ない一般人のほうが得てして真面目になっている。
シッゲゾー&幸恵、委細構わず「幸恵、シッゲゾー、行こ~う」
当事者の方が無責任。結局愛に生きるんかい?!
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おもろいネタ込みで以上、大体紹介したつもりだが、文で書くとどうにもくどくて鬱陶しいネ。
島田珠代が最初から出てくると、テンション高くて盛り上がりますわ。
ペンションの客に麦茶を出すが、豪快にすっ転んで、お茶をぶちまけ、拭いた雑巾の絞り汁をコップに戻して「どうぞ~」とか、レイチェルと連携して股間くぐりとか…。
考えてみれば、この回は浅香あき恵、末成由美、未知やすえといったベテラン女優陣の出演は全くないが、それに気づかないほどのハイテンション。
辻本茂雄が贔屓にしていると思しき役者は沢山いるが、女優陣では鮫島幸恵、最近では小寺真理がお気に入りなのではなかろうか。
昨秋、MXTVの放映で、鮫島幸恵が身体を張った島田珠代との「愛の表現力勝負」を見て大笑いしたが、今年頭のメイド喫茶回あたりからまりこりんがイジられ若手女優のポジションを代わりに得たようだ。メイド喫茶店員出身だけに萌え声はお手の物だし、見た目に反して舞台度胸もありそうでしっかり「愛の表現力勝負」もしてまうし、偏りはあるかもしれないが辻本茂雄の若手いじりは、若手を育てるのに一役買っていると言えるのではなかろうか。
今ひとつ目立たぬ存在だった、青っ白い若ハゲ(失礼!)にすぎなかったもりすけを、島田一の介と組んで“ハゲとハゲの宇宙人の挨拶”に仕立てたのは、思わぬコロンブスの玉子。
上でも書いたが、英語でまくしたてるだけで、 『おそ松くん』のイヤミみたいなイメージしかなかった森田展義の洗剤ネタも面白かったし…。
話の筋と関係ないところで、踊れる若手女優陣を使ったダンス披露が長い回は、特にその場面がおもろいわけではないから個人的にはあまり好きじゃない。又、伊賀健二の「横顔新幹線」もそろそろマンネリ化してきた感じがする。
トラブルを解決するために一芝居打とうと計略を巡らし、茂造じいさんに「許してやったらどうや」など訛った台詞を5つも6つも言わせ、綿密なリハーサルまでやったのに、本番ではとんでもない方向に転がって「あきらめたらどうや」という展開が、辻本座長回では好きだ。ちゃんと見ていないと面白さがわからないが、手の込んだネタで楽しい。
それらをやめて新味を狙ったこの回は、なかなか新鮮で「大当たり」といってもよいと思える。未来人ネタなど、そうそう使いまわすことなどできそうにないが、茂造じいさんネタのバリエーションとして大あり。オオアリクイだ。
準座長扱いのアキが、この回でも特に目立つ。「いいよぉ~」をこの回でも連発。
この回の「ヤマト」ネタも大爆笑もんだったが、別の回の「サザエさん」ネタもおもろかった。他にはこの10月に観た、シゲファニー回かな…。
女優陣のダンス披露場面はあるが、ジャズダンス教室が舞台だから、本筋に関係してますし。
話の筋に関係なく、唐突にダンス場面が挿入されることに否定的な見方をするのは、宝塚ファンとしてはチョット矛盾している気がしないでもありませんが…。
実際、この日はこの後、宝塚へと向かったのであった。
最後に付録。YouTubeから動画を引用。オフィシャル動画は途中のスローモーション場面で何故か音声が消えてしまうので、別のものを掲載。その内消えてしまうかもしれないので、ご興味を持たれた方はお早めに。
以上、敬称略。
次回へ続く。