8月3日(月)
伏見―名古屋
名鉄名古屋―(犬山)―(新鵜沼)―名鉄岐阜
名鉄岐阜―名鉄名古屋/名古屋―伏見
伏見―上前津 大須観音―(伏見)―中村公園
近鉄米野―名古屋―伏見
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前回の続き。
太閤通を東へ進む。辛うじてまだ日はあるが、既に夜7時近い。
中村区役所方面へ向かっている。段々道沿いに店屋が増えてくる。
閉店後のペットショップがあった。シャッターは閉まらず、店内の灯りが消えている。ショーウィンドウ越しに猫のケージがあった。猫好きの習性で、思わず寄って行って、ガラス窓を引っ掻いてみる。猫は2匹。今一つ反応がない。
適当に写真でも写して退散するか。そう思い、カメラを向けると、猫がびっくりするほど反応を示し、ご覧のカメラ目線。デジカメが放つオートフォーカスの赤ランプに興味津々のご様子。
道を尚進み、区役所の角を北に曲がる。大通り沿いに暫く進み、道を渡ると、ちょっとガランと広い空の中に古そうな煙突が見えた。
薄暮の中に聳える煙突。競い合うようにそそり立つアンテナ群がものものしい。
表へぐるりと回ると、目的地の金時湯である。
衝立状の壁の脇から中に入ると、渋い木製の引き戸と暖簾がはためいている。
番台からすぐにかなり広くて薄暗い脱衣所が広がる。太い円柱が天井を支えるさまがものものしい。ガラスの嵌まった四角い木製脱衣ロッカーがズラリと並ぶさまが渋い。
浴室との境目に、結構な広さのタイル床があり、ここで湯上りの際、身体を拭けということなのであろう。名古屋の銭湯には結構こういう作りのところが多い。
浴室は白いシンプルな壁。中央に主浴槽がデンと構え、細かなタイルが縁を彩る。奥の壁際に泡風呂と電気風呂が並ぶ。確かここだったと思うが、普段は電気風呂嫌いで避けているのが、思い切って入ってみたら、想像以上にビリビリせず、耐えることができた。
ここは地図で見ると、名古屋駅にほど近いようだが、辺りの様子からは全くそんな気配はない。新幹線の海側に座った時、窓越しに河合塾○号館といった建物群を見ている。立地上はその奥になるはずだが…。
外へ出るとすっかり夜の帳が降りていた。中村区役所方面へ車通りを南に向かって進む。太閤通りもそのまま渡る。辺りは意外にも閑静な住宅街である。名古屋駅に歩いて行ける距離とは思えない。
途中で大通りを逸れ、斜めの脇道を進み、普通の車道にぶつかったところで曲がる。適当に当りをつけて曲がってみると、そこは完全に住宅街といった様相で、一体どこに銭湯なんぞあるのやら。途方に暮れかける。
そこでスマートフォンの出番となる。GPS機能付のGoogleマップはこういう時実に便利だ。どうやら入る道を1本間違えたらしい。
駐車場の車の下をねぐらにする猫がいるらしい。寄っていくと、野良なので警戒して逃げる。屈んで車の下からこちらの様子を窺う猫にカメラを向けてみたが、結局フラッシュを焚かないと写らなかった。
ここを右に折れて暫く進むと、辺りは段々家が古くなり、木造1階建ての古そうな家が並ぶようになった。いよいよ銭湯立地の匂いがし始める。
次なる目的地・地蔵湯に漸く辿り着いた。
以前、中村湯で見かけた金属製の細かい網目模様の蓋がついた下足入れがまず目を引く。
ここも番台式だ。というより、最初から番台式の銭湯ばかり選んでいる。
脱衣所がオブジェの山だ。大黒天、布袋さんを始めとする七福神の木製彫刻群。蛙に瓢箪、ウミガメに犬。有名人のサインがズラリと並ぶ。
浴室への入口もアーチ型の窓が流し脇に開き、渋い。
中へ入る。中央に楕円形の主浴槽。中に段差があり、浅、深となっている。手前に水風呂。奥に電気、ジェット浴槽が並び、女湯との仕切壁沿にはちょっとしたステージがあって、桜やひょっとこ、象の置物まであった。
風呂から上がって服を着ながら改めて賑やかな脱衣所のオブジェたちを眺めていると、女性用との仕切壁上部に置かれた丸い飾りが気になった。青いガラスが入っている。一体これは何?
それと今どき珍しい瓶コーラの自販機があったので、懐かしくなって思わず買って飲んだ。量は少なめだが、100円というのが嬉しい。大昔、スーパーカーブームの時、王冠の裏にスーパーカーのイラストが印刷されて、これを集めようというキャンペーンがあった。ピンクレディーの2人が黄色のカウンタックLP400のガルウイング両側にぶら下がって宣伝していた。自販機備え付けの栓抜きで栓を開けると、王冠がそのまま回収されてしまう。それを防ごうと、懸命に小さな指を隙間に入れて、王冠が落ちないようにし、ねずみ色のゴムキャップを剥がして、イラスト入りの王冠を集めるのだ。…そんなことを思い出してしまった。
外に出た。狭い平屋の家が並ぶ一角に白い猫の親子がいて、じっとこちらの様子を窺っている。辺りは暗闇なので、フラッシュなしだとピンボケするし、フラッシュを焚いたら猫の目が光り、ちっとも可愛く写らない。これ位が精一杯。
住宅街を更に南下。暫く歩く。幼稚園とか寺とかがあるごちゃごちゃとした細道をまっすぐ。その先に近鉄電車らしき線路が見える。方角は合っているようだ。
やがて線路際の道に出た。道は緩い坂道をなしていて、次なる目的地は近いはずなんだが、ここから先はよくわからない。そこで再びGoogleマップの世話になる。
坂を下ってしまう手前の脇道を斜めに入り、アパートがごちゃごちゃと並ぶ一角を抜けると、道沿いに建物が並ぶ間にちょっとした広い空間があり、その奥に暖簾がはためいていた。
この日の最後の目的地・松の湯である。
夜9時近かったが、結構客の入りが多い。カラカラとアルミサッシの引き戸を開けると、中は番台。脱衣所はレトロ感はさほどなく、白基調の適度に昭和ぽい作りである。
ここも浴室との境目に広い流しとタイル貼りの床があり、その奥が浴室だ。
白い壁に対し、中央に鎮座する主浴槽のへりや側壁、それに床面に配された細かなタイル模様に、何ともいえぬ美学を感じる。
再び線路沿いの道に出て、まっすぐ進む。遥か向こうにはJR名古屋駅の大きな駅ビルが光っている。あそこまでは歩けないなーと思っていたら、ほどなく歩いた先に近鉄米野駅があった。
今どき珍しい構内踏切を渡るようになっている。ブザーが鳴って遮断機が降りた。目の前を回送の「ビスタEX」がそろそろと通過して行った。
人っ子一人いない名古屋行のホームで電車を待っていると、向こう側にJRの留置線群が見える。何気なくカメラを向け、写した写真を後で見たら、キヤ95であろうか。案外レアな車両を捕えたのかもしれない。
やがてガラ空きの普通が来た。近鉄の車両同士の隙間の転落防止柵は、いつ見てもものものしい。まるで拷問用の棘みたいなのが両側から生えている。刺さったら痛そう。
ほどなく近鉄名古屋に着いた。折角なのでアーバンライナーを記念撮影。
その昔、近鉄特急といえばビスタカーが代名詞で、その昔は「ビスタコーチ」というレトロな2階建てバスまであったらしいが、近頃ではすっかりビスタカーの影が薄くなってしまった。
何でもアーバンライナーが登場した1988年の前に、乗客にアンケートした結果、天井が狭くなる2階建方式よりも、広い天井の通常方式のほうに軍配が上がったそうだ。
あの狭苦しい圧迫感こそが、非日常的雰囲気を醸し出していたのにねぇ。
2階建車両というと、一時期は新幹線にも走っていたが、効率化優先で消滅。小田急やJR東海の「あさぎり」用電車もMSEにとって代わられ、2階建車両というとJR東日本のグリーン車という感が強くなってしまった。
海外ではシドニーのタンガラ電車、パリのRER用など、個性的な2階建車両が沢山走っているのに比べると、我が国の鉄道車両はまぁ車両限界が小さいという本質的な理由もあるのだけれど、近年画一化が進み、趣味的にはちっとも面白くない。
魅力的かつ個性的で冒険心に富んだ2階建車輛の登場を求む。
この日も宿に帰ると、フロントで冷えたおしぼりを貸してくれた。
冷やっこくてチョー気持ちいいー。…って言い草は、もう古い?!
次回に続く。














