藤沢から小田急で2駅先、鵠沼海岸という駅のすぐそばに『埜庵』というかき氷の超有名店がある。
昨年9月初旬、初めて訪ねてみた。大いなる満足を得たが、この時は他の店も含めると完全に食べ過ぎ。
丁度その時分は、8月に九州へかき氷と銭湯のために遠征した旅行記をひたすら記しており、漸く完結したのは11月初旬のこと。気付けば既に肌寒く、残暑厳しい折のかき氷店巡りを文章にするには、既に時期を逸した感があった。
今年は早めに「埜庵」へ行こう。
それを合言葉に予定を考えていたら、前回記したダニエル・シュミット映画祭の上映を知り、こちらのほうが日程が厳しいから、予定を繰り下げ、夏休み突入後という混雑必至の猛暑の時期に入ってしまった。
同店のホームページにはご店主の言葉が載っており、時々更新される。それを読むと、「とてもご来店をお勧めできる状況ではありません」というすごいことが書いてある。
一体どれ位混むんだ…?!
去年は整理券をもらって1時間ほど時間をつぶしたが、流石に都内某店のように朝9時半で受付終了などということはないだろう。どんなに汗だくになっても、その先に待っているのは身体の中からクールダウンさせてくれる大好物のかき氷。敢えて玉砕覚悟で突撃だ。
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前回はJRの湘南新宿ラインで藤沢入りしたが、今回は小田急で行く。丁度快速急行にぎりぎりで間に合った。幸先が良い。新宿から1時間ほどで藤沢に着いた。
「埜庵」に直行。そうも思ったが、多分整理券だろうし、もし行列ならば尚のこと、ここは先に腹ごしらえするに限る。藤沢で一旦下車。最初の目的地へと向かった。
一度来ているから、迷うことなく真っ直ぐ進む。
間もなく見覚えのある幟が見えてきた。
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藤沢市藤沢96
11:00~21:00 (ラストオーダー20:30)(15:00~17:00休憩)
月曜日休
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前回同様、「ハンバーグ目玉カレー+中盛」をオーダーする。
昼の12時前だが、そこそこ混んでいる。
席は横長のカウンターのみの狭い店だ。
やがて漫画みたいな盛りのカレーライスが目の前に運ばれてきた。
てんこ盛りのご飯の上に、無理矢理ハンバーグと更にその上に目玉焼きものっけちゃいましたという感じの盛り付け。こんもりしていて何だか可愛い。
ご飯の山を根元から少しずつ少しずつそっと崩し、ルゥと絡めて食べ進める。穴ぼこになった場所にルゥが流れ込み、「水面」ならぬ「カレー面」が少しずつではあるが、下がり始めた。
入った時は他に3人程度の入りだったが、みるみるうちに客が増え、ほぼ満席となった。
見事なまでに野郎ばっかりである。
観察していると、屈強な男どもが「○○カレーの“10”で」とか、「△△カレー“3”で」などと注文している。数字末尾注文が謎の呪文のように思えてくる。
この店は、辛さ調節のリクエストにきめ細かく答えてくれる店なのだ。「10」とか「3」というのは、辛さの度合いなのである。
私は元が甘党だから、先刻「辛さは普通で」と注文したが、「ラーメン二郎」店内でジロリアンたちが「大ダブル野菜カラメニンニクマシマシ」などと呪文みたいな注文をしまくる中、「…えっと…全部のせで」などと頼んでしまうビギナーのような居心地の悪さを覚える。
それでも適度に辛みがあり、決して「甘口」ではない。食べ進めるうちに、辛さと暑さで、汗が後から後から滴り落ちてくる。
あまりドロドロすぎず、サラサラすぎず、大量の野菜だろうか、具材が完全に中で溶けていて、一見何の変哲もない普通のルゥだが、なかなかどうして凝った味だ。
そのルゥに絡みつく目玉焼きの黄身の美味いこと。これだからカレーに玉子はやめられない。
ハンバーグは手作り感あふれるもの。ころりんとした形がかわいい。
中盛りとはいえ、ご飯の量はかなり多いから、ルゥとのペース配分が大変。
何とか“カレーという薄衣を纏った大量ご飯”という事態だけは避けることができた。
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これで腹ごしらえは十分。
さぁもう一度小田急に乗って、「埜庵」へ向けて出発だ。
真夏の鵠沼海岸駅はかんかん照りの中、海水浴客で結構賑わっていた。
駅前からパン屋の前を通り、突き当りを右折。大阪寿司屋の角を曲がってすぐが「埜庵」である。
この日もご店主が自ら客案内に出ており、思った通り整理券を渡された。
炎天下で並び続けるよりもよほどそのほうが良い。
14:00~14:30の時間帯のどん尻に何とか滑り込む。14:15頃に来て下さいと言われる。
さて1時間半時間が空いた。どうしよう?
藤沢へ戻って、喫茶店で時間をつぶすか。
小田急で片瀬江ノ島へ出て、いっそのこと江ノ電で鎌倉まで出て横須賀線で大船からぐるっと回ってこようか。…いやいやそれはさすがに1時間半では回りきれない。
折角「海岸」と名のつく駅で降りたのだ。やはり海を目指すべし。
すぐ目の前の公民館で、涼みながら本読むか寝るか。一瞬そんな誘惑に駆られたが、それを振り切り、海へ向かう。辺りに立ち並ぶマンションも、心なしかリゾートマンション風。
河口に出て、車通りを渡る。信号が遠く、歩道橋を上らねばならない。既に汗だくで、階段を踏みしめる一歩一歩が重い。かんかん照りの真夏の海辺が目の前に広がる。
前来た時は、とんびが間近く飛んでいたが、今回は殆ど鳥はいない。
代わりに人が沢山いた。
ビーチバレーの特訓にいそしむ真っ黒に日焼けした黒ビキニのねーちゃん2人、サーフボードを抱えた兄ちゃんたち、テントを張って寝ている人…少し離れた波打ち際で、波と戯れる連中、その先にはサーフィンに興じる若者連中…。
こちらは普通の格好だが、ここでは完全に浮いて見える。
Tシャツに短パン、ゴム草履姿のほうが馴染む。
彼らを眺めつつ、海水浴場を進む。適当なところで引き返すつもりが、意外と時間がつぶれない。
最初は遠目に見えていた江の島が徐々に近くなってくる。
こうなったらいっそのこと江の島のたもとまで歩いてしまえ。片瀬江ノ島駅から戻れば丁度だろう。
そう思って尚も歩き続ける。
海水浴場の裏口から表へ向かって進む格好となり、やがて徐々に海の家が増え始めた。今どきの海の家は、大きい小屋というよりは、ちょっとした南国リゾート風の随分立派な建物だ。
脇から「わー」、「きゃー」と叫び声が聞こえてきた。
屋外プールでもあるのかと寄ってみたら、江の島水族館だった。
やがて海水浴場は一旦途切れ、江の島へ続く橋が見えてきた。
まだ小一時間ほどある。こうなりゃ江の島を目指すまで。一路、橋を渡る。
すぐ近くまでは何度か来たことがあるが、江の島自体へ来たのは初めてだ。
参道をそのまま上り、江島神社を目指す。
かなり急な石段は、汗だくの身にはかなりしんどい。
尚も石段をゼーゼーいいながら上る。上る。
くぐればご利益。その先でお参りする。
脇へ逸れ、少し進むと、更に上へ行けるエスカー乗り場があったが、そこまで行くと氷に間に合わないので、この辺りが潮時。
別の石段を降り、元の参道へ出る。今度はひたすら下る。
蛸を押しひしゃげてでっかい煎餅にする店が大行列だが、こちらは汗だくでのどはカラカラ。冷たいものしか受け付けそうにない。
再び橋を渡る。左手にはジェットスキーの若者。右手にはいろとりどりのヨットの群れ。
地下道をくぐって片瀬江ノ島駅へと向かう。
映画『ピンポン』でペコが飛び込んだ橋が見えてきた。
こんな看板を見つける。『ホットロード』の舞台も江の島近辺だったか…。
新宿行の急行が停まっていたが、10連車は鵠沼海岸通過なのでやりすごす。
沢山の観光客を吐き出してガラガラになった普通電車に乗り込む。
1駅だけとはいえ、冷房がよく効いた車内は束の間の極楽気分。
もらっていた整理券を胸ポケットから出してみると、汗でぐしょ濡れになっている。
再び鵠沼海岸駅へ降り立った。
駅前にはこんな海水浴グッズ屋があり、リゾート気分が高揚する。
そして再び「埜庵」。ご店主が相変わらずひっきりなしに訪れる客捌きに忙しい。只今2時間待ち。
暫く列に並ぶ。元は一軒家だったのだろう。1階カーポートの塀際に並んだ椅子が列の先頭で、そこまで来た頃にメニューを渡される。猛暑で大汗かいてヘロヘロだから、試しに2杯頼んでみようか…。
カーポート前の1階席の端に案内される。先に注文し、お金を払うシステムだ。
1杯に絞り込めず、「ヨーグルト練乳&マンゴー」、「生めろん」の2杯を頼むことにした。
次の時間帯の客が既にカーポートに長蛇の列をなしている。
「この大人数の行列客たちの前で晒し者になって氷2杯食うのか…」
「きっと“あいつ1人で2杯も美味そうに食いやがって…”と恨めしそうに見られるんだろうな…」
「構わん、構わん。見せつけてやれ。」
そんなことを思っている。
列の中に杖をついた爺さんと、歩き方が覚束ない婆さんを含むグループが居た。
流石に狭い階段を2階へ上るのは無理ではないか?
そう思い、案内係の女店員さんに「代わりましょうか?」と申し出ると、「いえ、いいんですよ」と言われるが、やはり手違いがあったらしく、ご店主が来て代わってほしいと頼まれた。
再びパイプ椅子の住人となった。
お詫びにコーヒーをサービスしてくれるという。ホットなど飲んだら干乾しになりそうなので、迷わずアイスを頼む。
そうこうする内、2階のベランダ席ならすぐご案内できますが…と案内係のお姉さんに申し訳なさそうに言われる。
どうせ氷2杯食うのだ。冷房なしでも構うものか。
前回同様、脇の玄関で靴を脱いで、狭い階段を上って2階へ行く。
ベランダ席は思ったのとは違い、大きなテントが張ってあり、意外なほどに個室感ある「離れ」といった感じの空間だった。
この頃から微風が吹いてきた。生暖かいが、無いよりはまし。
そうこうする内、最初の氷とアイスコーヒーが運ばれてきた。
オレンジ色のマンゴーの光沢感が良い。
恐る恐るスプーンを入れてみると、柔らかく、スッと入っていく感じ。
とろりとしたマンゴーシロップの鮮烈な食感。氷の柔らかさと一体となって口の中で溶けていく。
早く掬って食べ進めないと、これだけ氷が柔らかいと、やがてシロップの重みに耐えかねて、根元から大崩れを起こすだろう。
自然と匙の進みが早くなる。
さて、この辺りで味変。
ヨーグルト練乳ソースをかけてみる。
ヨーグルトの酸味が加わると、一層さっぱり感が増し、練乳の優しい甘みが幸福感をもたらしてくれる。
名残惜しいが、そろそろおしまい。ぐずぐずに溶けてくる。最後は器を両手で持って、ぐいっと一気に飲み干す。ちゃんと底にシロップがかかっている店の氷だと、この最後の氷汁が一番美味い。
お姉さんが器を下げに来て、ご店主の石附さんが客案内の合間を縫って来られたので、少しお話する。脱サラしてこの店を開かれたことは本で知っていたが、八王子方面に昔はおられたそうだ。
チョコレート色にこんがり日焼けされているが、サーフィン焼けなどではなく、炎天下で客案内に立ち詰めで焼けていると確かどこかで書かれていたような気が。
「生めろん」
前に頼んだ「生めろんみるく」は、氷自体にミルクがかかり、小鉢にメロンシロップが添えられていたが、今回は逆に、氷にメロンシロップ。小鉢にミルク。
そういえば並んでいた時に見たメニューに、「いちごみるく」と「みるくいちご」の違いが説明されていたか…。 後に来るほうが氷自体にかかっており、前に来るほうが小鉢ということのようだ。
「生めろん」は「みるく」と明記されてはいないが、サービスでミルク付き。
しゅわしゅわっとした上品なメロンの甘みが舌に滲み込む。どこかクリーミーな食感だ。
小鉢から直接かける勇気はなく、スプーンで慎重に一掬い、一掬いかけていく。
あまりゆっくりしてはいられない。
根元から崩れる前に、掬っては食べ、掬っては食べ…。
ミルク味が加わったメロンは、一層味にまろやかさが増す。
やはりこの「生めろん」はこの店の看板メニューの1つではないかと思うのだ。
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藤沢市鵠沼海岸3-5-11
11:00~18:00(ラストオーダー17:00)
月・火休(10月~3月不定休)
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食った、食った。満腹、満腹。
歩く度に、胃袋の入口近くまで満たされた水分が、ちゃぷちゃぷ音を立てるのがわかる。
駅へ戻る途中に大きな八百屋がある。
横目で通り過ぎようとしたら、大きな白桃がザルに4個ばかり盛られたのが「380円」とある。
「これは安い」
そう思い、目を留めると、すぐ隣に「貴陽」というプラムが4個「400円」とあった。
昨年、「太陽」という皮が真っ赤なプラムを初めて食べたが、これが実に美味い。
今年はそれに続き、この「貴陽」という品種をやたら目にする。が、地元では高い。
貴陽4個を衝動買いする。八百屋のお爺さんに、この品種、この大きさで、このお値段はお安いですねぇ。本当は白桃を買って帰りたいが、遠くまで無傷で持ち帰る自信がない。…そんな話をする。
さてこれから先どうしよう。
最初の計画では、氷の後で江の島へ渡る積りだったが、既に行ってしまった。
少し腹ごなしがしたいので、小田急で直接藤沢へ戻るのはやめにし、再び片瀬江ノ島を目指すことにした。
ところが電車は行ったばかりで、10分ほど待たねばならない。
そうする内にまた汗をかく。喉が渇く。
ふと買ったばかりの貴陽のことを思い出した。少々行儀悪いが、海水浴場そばの、人が少ない駅でなら丸かぶりが許されそうな気がする。
1個手に持ち、お手洗いで皮を水洗いし、ベンチに座ってがぶりとかぶりついてみた。
うんまいっ!!
心もち硬めの食感に、酸味よりは甘みが勝る果汁が口中にじゅわっと広がる。
おまけに種が小さく、簡単に実から離れてくれて食べやすい。
これはいい買い物をした。
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再び片瀬江ノ島駅に降り立った。
ペコが飛び込んだ橋を渡り、今度は江の島とは逆のほうに行く。
江ノ電や湘南モノレールの駅がそちらにあり、観光客が行き交う。
途中、生け簀の魚屋やレトロな和風旅館、和菓子屋、土産物屋が並ぶ中、こんな店があるのがいかにも海水浴場らしい。
前回は江ノ電に乗って藤沢へ出た。今回も江ノ電の積りだったが、急に気が変わり、モノレールに乗ってみることにした。
駅の作りが何とも昭和ぽい。
やがて電車がやって来た。
旧型の「500形」なのが、鉄道好きにとっては嬉しい。
クロスシートの車内が旅行気分をかきたてる。
面白いのは3両連結ながら、他の車両へ通り抜けできないようになっていること。
短い路線ながら、トンネルあり、山あり、起伏あり、住宅街あり、最後は大船駅前広場を空中で横切る。
ホームドアがないから、懸垂式モノレールの露天の姿が直接見られるのが良い。
工事現場を見下ろせるのも、モノレールならでは。
程なく大船に到着。降りたところで記念撮影。
片開きの扉がレトロで、銀色車体に赤帯の配色がどことなくウルトラマンぽい。
ガラス窓が縦方向に大きく伸び、横並びのライトがグッと下に寄るさまは、横浜市営地下鉄の既に引退した「1000形」という電車とどこか似ている。
大船に来たのは2度目だ。
大昔、ドリームランドモノレールの廃線跡を辿ろうとしたことがあったが、山裾辺りであえなく挫折。ドリームランド跡は、思い付きで歩くにはあまりにも遠かった。
従って、いまだに大船観音へさえ行ったことがない。
今回は大船には降り立たず、すぐさま東海道本線に乗り、2駅先の辻堂を目指す。
辻堂駅に降り立つ。夕方4時半頃。まだまだ明るい。そして暑い。
用意してきた地図を頼りに、東方面へ少し歩く。県道が線路をくぐる先の住宅街を少し進むと、いきなり目の前に趣ある建物が姿を現した。
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不動湯
藤沢市辻堂元町1-5-22
15:00~23:00
定休日:1・10・20日
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何といっても入口に斜めに覆い被さるように生える松の偉容が渋すぎる。
脇にはこんな年代ものの看板も。
暖簾をくぐると渋いガラス戸。下駄箱はかなりの年代もの。
番台の女将にお金を払い、中へ。
木のロッカーも中央の仕切り壁沿いにあるが、皆使っていないようなので、丸籠に荷物と脱いだ服を入れ、床に置いておく。
脱衣所の窓が全て開け放たれ、まだ明るいので、庭の緑がとても綺麗だ。
正面には大きな岩が沢山。どうやって運び込まれたのだろう。
ピンク色の豆タイルがびっしりと貼られた細長い円柱が渋い。
洗い場は広く、カランは綺麗に整備されている。
常連のおじさん達が4,5人。
湯船は深い方と浅い方の2槽に分かれる。42℃くらいを指していたが、ものすごく熱く感じたので、烏の行水ですぐ出てしまった。
湯上り後、扇風機を直撃にして涼むも、なかなか汗はひかない。
パンツとTシャツになって備え付けの団扇で仰ぎながら、壁際のソファで小休止。
ふと、先ほどのプラムのことを思い出した。
洗面台で洗い、ここでも丸かじりしてみた。
冷えてはいないが、甘酸っぱい果汁が口中に広がり、幸せ気分。
結構若い客もひっきりなしに訪れる。地元の常連ぽい。
表へ出てから、写真もう1枚。周囲はそこらの住宅街にありそうな普通の家だ。その中で、この銭湯だけが異彩を放っている。
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辻堂から湘南新宿ラインで帰ろうかと思っていたが、もう1軒寄ることにした。
お隣、藤沢駅で再び降りる。
ペデストリアンデッキを適当なところで降り、丁度その先が「シュクリア」という道に出て、1本入ると、そこには狭い道沿いに3軒喫茶店が並ぶ場所がある。
その中で一番手前の、3つ開いた丸窓が印象的な「喫茶ジュリアン」がこの日の最終目的地である。
渋いインテリアの淡い照明が落ち着く空間。
この店最大の特徴は、客席の仕切り壁上部にサンプルケースがあること。
テーブル上には円筒形のメニューが立っている。
この中で気になるメニューを発見。
注文を取りに来たマダムに、「カフェ・ド・ジュニアとはどういうものですか?」と聞いてみた。
カフェ・ラ・テに生クリームをのせたようなものだという。
折角なのでそれと、プリンを頼むことにした。
しまった…。生クリームが重なってしまった。
プリン器の乗った皿がレース模様の金属製で、洒落ている。
プリンは、側面の固い皮の食感まではなかったものの、カラメルの苦みがほどよく効いた懐かしの喫茶店のプリンであった。
ほどなくして店を出た。すぐ脇の細道を抜けると駐車場があり、この建物の裏側を見ることができる。相当古そうな建物である。
いやいや…こんな舞台裏は見ず、正面の渋い佇まいと内装の雰囲気を楽しめば良いのかもしれない。スパゲティのメニューも豊富そうなので、一度頼んでみたいが、「シュクリア」のカレーとどちらを取るか迷うところである。
後で調べて知ったことだが、どうやらこの店は映画「20世紀少年」にも登場したらしい。
時の流れが止まったかのような、昭和の空間がここにある。
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喫茶ジュリアン
藤沢市藤沢110
8:00~19:00
土 10:00~18:00
日祝休
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さてどうやって帰ろうか。
折角藤沢からなのだから、大半が始発駅で座って行ける小田急にした。
新宿までだと、運賃もJRの半額強である。
頃は夕方6時前。
ロマンスカーが停まっている。
これの折り返しを待つと1時間後位になるから、結局行きと同じ快速急行に乗る。
電車を待っていると、向こう側のJRホームに、昔の湘南電車型の売店が見えたので、思わず記念撮影。
藤沢でほぼ満席。次の湘南台でどっと人が乗り込み、景色も見えなくなってきた頃、そのまま眠りについた。
途中、町田で随分人が降りたなーと寝ぼけながら、また眠る。
気付けば代々木上原を出て、参宮橋辺り。
すっかり日は落ち、いつしか車内も空いている。
漸く新宿に到着。折り返し準急となったこの電車だけが割と空いている。向こうのホームの小田原まで行く急行は超満員。隣のロマンスカーも満席。小田急線の通勤は、昔も今も大変だ。
新宿西口の人並みにもまれると、俄かに現実に引き戻される気がする。
今度、シーズンオフの「埜庵」に行ってみよう。












