8月6日(火)
みょうばん温泉…鹿児島中央―鹿児島―天文館通
…天文館むじゃき…霧島温泉…高見馬場―(郡元)―鹿児島中央
鹿児島中央―川内―八代―熊本
熊本泊
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前回の続き。
鹿児島中央駅から、予約しておいた熊本の宿へチェックインが2時間ほど遅れると電話を入れた。
2両編成の電車は平日昼だというのに結構混んでいて、輸送力不足ではないのかと思う。
やがて川内駅に着いた。
乗り継ぎ時間は5分しかない。
新幹線ができて、在来線の鹿児島本線は、八代~川内間が切り離され、肥薩おれんじ鉄道という第三セクターになった。
東北新幹線の開業による、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道
北陸新幹線長野開業に伴う、しなの鉄道
それらによく似ている。
生活路線あっての特急だと思うのだが、JRも随分露骨なことをするよなと思う。
目の前を鉄道が通り、元はJR在来線だったものが、駅を間引いた新幹線が出来るや、在来線を切り離し、「もはやJRじゃないから知らねぇよ」と開き直っているかのようだ。
殿様商売に加担するように思えるので、あまり新幹線には乗りたくない。
その地域の匂いを感じさせるローカル色豊かな在来線の味方であり続けたいと思う。
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川内から八代が、肥薩おれんじ鉄道という今や別会社なので、この日はJRに乗る区間は意外と短い。当初「青春18きっぷ」を使うのはやめにしようかとも思ったが、余らせても仕方がないので使うことにした。
すると思いがけない役得があった。
肥薩おれんじ鉄道の切符売場で、川内までの切符の積りで「18きっぷ」を提示すると、「おれんじ18フリーきっぷ」というものを買うことができ、2,000円で八代まで行けてしまうのだ。
正規運賃では2,550円だから、かき氷一杯分位は浮いたことになる。
発車までまだ間がありそうだったので、駅で用足しをして戻ると、ボソボソと運転手の声がしたと思うやドアが閉まり発車した。危ないところであった。おちおちトイレにも行けない。
車内は結構混んでいた。中高生が大半である。ボックス席は彼らに占められているから、扉脇のロングシートの隅に腰を下ろした。キャリーカートが脇に置けて便利だ。
そう思っていたら、バランスを崩して倒れそうになった。慌てて取っ手を収納し、横置きにした。
目の前に座っているのは、サッカー部と思しき男子高校生。
青いダブダブとしたジャージ姿である。
見事なまでに日焼けしている。褐色を通り越し、焦げ茶色といってよい。膝小僧を擦りむいており、赤く血が滲んでいる。真っ黒に日焼けしていると、痛そうに見えないのが不思議である。
列車は快調に飛ばし、やがて海沿いを走るようになった。
川内での乗り継ぎ客以上には、暫くは客が増えそうになかったので、時折車端部へ行っては車窓の写真を撮る。
南国の8月頭の15時半過ぎは、西日の陽射しが強烈で、冷房の効いた車内が有難い。
やがて列車は阿久根という駅に着いた。
降りる客が結構おり、ボックス席へと移った。
本当は海寄り、向かって左側のボックス席が良いのだが、Yシャツ姿の若い男が先に座ってしまった。キャリーカートというヤドカリの殻みたいなものを抱えているから、フットワークが悪い。
彼は強い西日を避けるべく、カーテンを全て下ろし、スマートフォンをいじっている。
そんなことしてるなら、俺と席を代われ。
そう言いたい気分だが、無論そんなことはいえない。
数駅進むとその前のボックス席も丸ごと空き、晴れて海側の窓際に腰を下ろすこととなる。勿論カーテンは全開だ。
やがて列車は最初の新幹線との接続駅・出水(いずみ)駅に着いた。
降りる客も乗ってくる客も皆無である。
ぼんやり外を眺めていると、若い女性がピンク色のスクーターで駅前の駐車場に乗り付け、ピンク色のキャリーカートを提げてエスカレーターへと消えた。
ピンク好きのお姉さん、新幹線でどこへ行く。
水俣駅を通り抜ける。
ここへ来たのは初めてだ。
心なしか病院が多いように思える。
水俣病を連想してしまうせいだろうか。
新水俣という新幹線接続駅を過ぎる。この辺りは海岸線からは少し奥まり、車窓に山が見える。
崖の岩肌がものものしいな。そう思って見上げていると、絶壁のてっぺんに日の丸の旗が立っていた。
尚も進むと再び列車は海岸線を通るようになり、再び絶景が目の前に広がる。
途中の駅で、若い娘たちが大量に乗り込んできた。
海水浴の帰りだろうか。
一気に車内が騒がしくなった。
聞くとはなしに話の内容を聞いていると、どうやら彼女たちは服飾関係の専門学校生のように思える。
私が座っていたボックスの空いた席に、彼女らはドカドカと荷物だけを大量に置き、前頭部へ行って大声でしゃべくっている。
どうもあまりお行儀のよい娘たちではなさそうだ。
荷物番なんかしてやらないからな。
心の中でそう思いつつ、カーテンは開けたまま、日除けにサングラスを掛け、目の前の絶景を写している。
やがて海岸沿いを離れ、内陸に入った駅で、こんなものを見つけた。
写真原版を拡大してみたが、判読できなかった。
そうこうする内、大勢の乗客を乗せた列車は八代駅に着いた。
いつしか17時半を回っている。
鹿児島中央を出て3時間半の時が過ぎた。
橋を渡り、銀水という大牟田の1つ先まで行く電車に乗り換えた。
西日の勢いは相変わらずだが、早くも帰宅ラッシュ時なのか、車内は結構混んでいた。
何とか席を見つけて座る。
混んだ車内はロングシートが良いのだろうが、もう少し連結両数を増やして、せめてセミクロスシート車にすればいいのに、などと思ってしまう。
肥薩線から来た「九州横断特急」が先に出て行った。乗っている普通列車のこの混み具合では、到底撮影になど出ることはできない。
それにしても先ほどまで乗りあわせていた、あの喧しい娘たちはどこへ行ってしまったのだろうか。JRの乗り継ぎ列車では遂に彼女たちの姿を見ることはなかった。
ここから先は前回も来ているが、その時は熊本から三角線へ行って戻って、18時過ぎに八代を目指したので、田圃が広がる車窓風景しか記憶にない。
混む列車から今回見える車窓は、前はまだなかった新幹線の高架橋が並行して走るさまだけであった。
漸く熊本駅に着いた。
橋を渡り、そのまま駅ビルの改札を出た。
並びに定食屋があり、それほど高そうな店ではなかったが、辛子レンコンと馬刺しのサンプルがあった。
前に熊本に来た時は、両方とも食べる機会はなかった。
余程ここに入ってやろうかとも思ったが、これ以上宿へ着くのを遅らせたくはなかったので、駅前の市電乗り場へと向かう。
ほどなく低床車の9700形という白い電車が来た。
割と混んでいたので写真は撮れなかった。
車内からJR駅舎の写真だけを撮る。
駅前電停を出ると暫くうねうねと電車は走り、右に左にとカーブが続く。
やがて辛島町という市内中心へ近づき、熊本城が迫ってきた。
今回泊まる宿は繁華街のど真ん中である。
先にチェックインする。
迎えてくれたのは自分とほぼ同年代の男性。
にこやかな笑顔なのはどこの宿でもそうだが、ここはとりわけ従業員の皆さんがとても感じのいい宿だった。
一息ついて街へ繰り出した。
すっかり日は落ちている。
考えてみれば鹿児島で朝から銭湯三昧、氷も食べた。
熊本でも訪ねてみたい銭湯も、喫茶店も、かき氷店も沢山あるが、最初は大人しくしておこう。
今夜は馬刺しだ。辛子蓮根だ。
宿のすぐ近くに「菅乃屋」という馬肉料理の名店があるのだが、店先のメニューを繰ってみると馬刺しはあっても辛子蓮根がない。
それにいきなり高級店というのは何となく気が引けた。
アーケード街に、最初は土産物屋かなと思ったが、よく見ると中で一杯引っ掛けるのに丁度良さそうな店を見つけた。
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わくわく市場
熊本市中央区下通1-10-28
096-352-3938
11:00~23:00(金・土・祝前日:翌2:00まで)
データ: ホームページ より
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この店は観光案内所を備えた、鮮魚、物産、名産品などの各売場がメインで、奥に食堂がある。
この文章のために上記でリンクを貼ったサイトを見てみたが、私が訪ねた時とは微妙にメニューが変わり、又店内中央にはもっと広い飲食スペースがあった。
早速席に着く。
甘党なので、基本的に酒飲みではないのだが、飲めないわけではない。
真夏なのでビールが定番なわけだが、折角だから焼酎をロックで頼むことにした。
この方面には全くの素人なので、酒のメニューの説明を見ながら、口当たりの良さそうなものを適当に見繕った。
続いておつまみ。郷土色の強いものこそ食べたいので、こんなものを選んでみた。
奥、「郷土前菜盛り合わせ」
「郷土前菜―」には、馬刺し、タテガミ、タコステーキ、辛子れんこん、一文字ぐるぐるが含まれる。
辛子れんこんは、当然辛いんだろうな…と思っていたが、昔『美味しんぼ』で富井係長が涙を流しながら「きくうぅ~っ」と堪能していたのが忘れられず、とうとう辛子で玉砕するのを覚悟で、この時生れて初めて食べた。
確かに辛い。涙が出るほど辛い。
だが不思議と美味い。
酒でこの辛さを流し込みたい。
コノシロとは…?! コハダのことではないのか?
そう思ったが、コハダが成長したのをコノシロというのだそうだ。
丁度、ハマチとブリの関係のようなものだろうか。
馬刺しとタテガミは随分控えめな量だが、後で専門店へ寄るのでこの位が良いのだ。
それらとだご汁を併せて飲む。味噌味が臓腑に沁み渡るぜ。
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勢いを得て、すぐそばの「菅乃屋」へ行った。
地下へと階段を下りて行く。
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菅乃屋・銀座通り店
熊本市中央区下通1-9-10
096-312-3618
ランチタイム:11:30~14:30(ラストオーダー 14:00)
※ランチ営業は 土日祝 (祝日は連休時のみ)
ディナータイム:16:00~25:00(ラストオーダー 24:00)
【日曜日】
ディナータイム:16:00~23:30(ラストオーダー 23:00)
データ: ホームページ より
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ホームページを見ると、事前に予約の電話を入れよと書いてある。
少し遅い時間の平日で、偶々開いていたのだろう。
カウンター席に通された。
まずは飲み物。先ほどは焼酎だったので、今回は地ビール。
お通しも豪華に馬刺しである。
続いてメイン。
1~2人前と書いてあったが、これ位軽いものだ。
色々な部位があって、説明を受けたが、すっかり忘れてしまった。
紫蘇の葉に乗った奥の左右が上等で、とりわけ左上が特上ときいた気がする。万遍なく順番に食べ進め、最後に上等の肉2種類を紫蘇の葉でくるりと巻いた。
カウンター目の前には寿司屋よろしく冷蔵ケースに各部位の馬肉が大切に置かれ、注文が入る度に目の前で職人さんたちが、慎重に刃物を入れて行く。
左隣には着物を今風に着崩した20歳位のお姉さんと中年男性が楽しそうに話している。
どうやらキャバ嬢と常連客のようなのだ。
「○○ちゃん、寿司でもつまんで帰らないか」
そういうところをこの地では
「○○ちゃん、馬刺しでもつまんで帰らないか」
というのがお約束なのかもしれない。
中年男性はどうやら会社をやっているらしい。
お姉さんは、友達の結婚式か何かで久しぶりに東京へ行ったが、修学旅行以来だ。○△ホテルに泊まったが、まあ東京の物価の高いこと。それに旅費の高いこと。
どうせ高い旅費を払うなら、東南アジアでも行く方がましだ。
…そんなことを言っている。
なるほどそうかもしれないな。熊本と東京は遠いし。
そう思ってビールのジョッキを傾けていると、
「そしたらさ、今度俺と一緒にタイでも行くか?」
「キャハハ…いいねぇ」
絵に描いたような会話だな。そう思い、もっと聞いていたかったが、残念。
彼らはご機嫌で帰って行った。
こういう店にはちゃんと勘定番とでもいった人がいて、来店客の案内と会計、それだけを専門に担当するのだ。しっかり者の雰囲気のベテラン店員が勘定してくれた。
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さてほろ酔い気分。
こういう時、繁華街のど真ん中に宿があるのは有難い。
すぐそばのコンビニ店で、明日のためのお茶とアイスを買った。
宿のスタッフはにこやかに出迎えてくれた。
部屋の番号を忘れるほど酔ってはいない。
部屋に戻って早速酔い覚ましのアイスを食べた。
「トラキチ君」という、既にこの旅行記で何度も紹介している「ブラックモンブラン」で名高い竹下製菓のもの。
バナナアイスにチョコレートが虎縞模様に入っている。
如何にもタイガースファンのためのようなアイスが九州のご当地アイスなのが不思議だが、もしかして大阪や神戸で大々的に売り出したら、結構売れるのではないだろうか。
何の変哲もないチェーンのコンビニなのに、ちゃんとご当地アイスが自己主張している。九州はアイス王国なのか?!
思いつくだけでも、竹下製菓、丸永製菓、セイカ食品。
三者三様、強力な個性を放つアイスを多数世に送り出し、しっかりと地域に根差している。
東京でアイスの地元メーカーがあるか?
個性的なアイスを世に送り出しているメーカーがあるか?
九州のアイス事情を少々羨ましく感じた。
酒が入ったことだし夜の銭湯をパスしたので、部屋のシャワーを浴びて早々に寝る。
氷も銭湯も午前中に済ませ、午後はなし。
今回の旅では珍しいパターンの一日となった。













