前回の続き。


初日に山ほど買い込んできた駅弁は、その後1食につき2個ずつ位の割合で食べ進めた。

今回はそれらのレビューを書いていこう。


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「坂本屋 角煮めし」 (長崎駅)(750円)


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今回初登場。

長崎は料亭旅館・坂本屋謹製。創業明治27年の老舗らしい。ホームページ もある。


、『美味しんぼ』で知った「東坡肉(トンポーロー)」という中国伝来の豚の角煮が、日本人の舌に合うようアレンジされ、東坡煮(とうばに)という名になったらしい。

東坡煮は、長崎の卓袱(しっぽく)料理のメインのおかずで、中国の著名な詩人・蘇東坡が好んだことに因むという。

坂本屋さんのサイトで、東坡煮の写真を見ていると、夜中だというのによだれが出そうなほど腹が減ってきた。


さて、この弁当は、そんな東坡煮(豚の角煮)を用いた「角煮めし」を駅弁に仕立てたものである。


もち米入りの炊き込みご飯には、ごぼう、椎茸、人参がふんだんに散りばめられ、錦糸玉子が敷かれる。その上にはご覧の通り、豚の角煮が山ほどごろんごろんと乗っかっている。


角煮は醤油だれの味が滲み込んでおり、実に濃厚な味わい。それでいて豚バラ肉の食感はギスギスしたところがまるでなく、脂身のトロリととろけるさまは、コラーゲンをたっぷりと含んだ素材の良さが感じられ、他にはない独自性を感じる。

大概この手の弁当ではおかずが足りず、ご飯が余るものだが、この弁当に関しては、そんな心配はまるでなかった。


濃厚な「角煮めし」の味のアクセントとなるのは、色とりどりの付け合せの漬物。食後に味わうミカン味の寒天もサッパリとしていて美味い。


750円という値段も駅弁にしては随分と安い。この味にしてこの値段。

気に入った。また買いたい。


料亭の作る弁当は、純和風の装いをもちながら、長崎発らしく、どこか異国情緒の香りがする。

弁当箱の側面が木というのも、私としてはポイント高し。

、「角煮めし」という名は、坂本屋さんの登録商標とのこと。


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「焼漬ぶりいくら弁当」 (新潟駅)(1,050円)


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“いくら”という生ものが入っている弁当を、買った翌日に回して少々心配だったが、全く問題なしであった。さすが真冬、と妙なところで感心するが、この時期、どんなきっかけで体調不良に陥るやも知れぬ。どうぞ皆様におかれましては、決して真似されることありませぬよう。


酢飯にいくらが散りばめられ、ブリの焼漬が一切れ。脇には大根。刻み海苔の食感が良いアクセントである。

いくらはプチプチと歯ごたえよく、とろりとした塩味が、ブリの濃厚な醤油味と、互いに風味の異なる塩味同士のハーモニーを醸している。

付け合せはカマボコに鮭巻昆布。ピンク色の漬物に、あんずのほんのり甘酸っぱい風味が彩りを添える。


この弁当も、先の記事で取り上げた「焼漬鮭ほぐし弁当」、「鮭の焼漬弁当」と同じ三新軒。魚の焼漬メインの弁当はこれで3種類目だが、どれも美味い。外れなし。


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・「有田焼シチュー」 (有田駅)(1,350円)


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「有田焼カレー」でお馴染み、創ギャラリーおおたによる、珍しいパンの駅弁。

駅弁といえば、和風のものが圧倒的に多い中にあって、サンドイッチは別として主食がパンの駅弁というのは大変珍しい。


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「有田焼カレー」よりは二回りほど小ぶりの、勿論有田焼の器に盛られたビーフシチューは、ブロッコリーにジャガイモ、よく煮込まれた牛肉を含み、とろりとチーズがトッピング。

ビーフシチュー好きには堪らん、濃厚すぎる味わいにクラクラしそうである。


パンはコッペパン風。これもレンジで30秒ほど温めると俄かにふわふわの食感が蘇る。これをちぎってはシチューに漬けて食べ、漬けては食べを繰り返す。

ジャガイモが2つも入っているのは、ボリューム感を出すためか。

人参ではなくジャガイモ&ブロッコリーというのが珍しい。


唯一惜しむらくは、この弁当に限ったことではないが、陶器入りの冷えたシチューやカレーをレンジで温めると、ふちがご覧の通り硬くなってしまうということ。

あと、素朴な疑問なのだが、駅弁として列車で食べる場合、当然電子レンジなどないわけで、冷やのまま食べざるを得ないと思うのだが、その辺りはどうなのだろうか?

そう考えると、敢えて冷えた状態のままで食べてみたほうがよいのだろうか?


或いは簡易な供食設備のある特急列車の車販専用なのだろうか?


ともあれ非常に珍しいパン付きビーフシチュー弁当。「ビーフシチュー」ということを敢えて前面に押し出さないところが奥床しくて良い。


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・「金目鯛の味くらべ」 (小田原駅)(900円)


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東華軒という地元業者謹製。

その名の通り、金目鯛づくしの丼である。

金目鯛照焼、金目鯛角煮と、和風のおかずが、金目鯛おぼろを散らしたご飯に乗せられている。

更にもう一品。金目鯛の素揚げが乗っているのだが、これが酢漬けのマリネ風というところがちょっと変わっており、ともすれば甘辛味に終始しがちな金目尽くしに、味といい食感といい良いアクセントとなっている。

付け合せは玉子焼き、タラコが入った切昆布旨煮、赤かぶ甘酢漬、広島菜漬、わさび漬けと多彩。

そういえば小田原も金目鯛が名産なのだろうか。

お隣箱根湯本駅構内に、以前大きくて美味そうな金目の干物が売られていたのを思い出した。


パッケージを見ると、レンジ使用不可とある。食べた後、弁当箱に使えそうな容器が耐熱ではないということなのだろうか。気付かずに1分ほど温めてしまったが、平気であった。


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・「大きなハンバーグ弁当」 (新潟駅)(1,000円)


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新潟駅弁というと魚系のイメージが強いが、その中にあって珍しいハンバーグ弁当。

それにしても随分大ぶりなハンバーグである。越後もちぶたを使っているようだ。白いご飯の上に乗っている。

皮つきポテト、ニンジン、ピクルスが、底の深い紙容器の上に別皿で用意され、それらを温めてからハンバーグ脇に添える。

トレイにはもう1つ、温泉玉子が殻つき状態で用意され、殻を剥いてハンバーグの上に落とす。


ハンバーグは期待通りのボリューム感。容器の性格上、随分底の方に弁当が行ってしまい、それを掻き出すようにして食べる。

洋風ハンバーグご飯弁当というのが珍しくて良い。おつまみ用のチーズが3個入っているのがご愛嬌。こいつがまた堪らんのだなぁ。


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・「大名道中駕籠かしわ」 (折尾駅)(1,000円)


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整理券をもらって引き換えで買ってきた弁当。

福岡は折尾駅弁といえば、いわずと知れた「かしわめし」が有名だが、これは同じ製造元である東筑軒によるさしずめグレードアップ版といったところか。


大名籠をイメージした黒塗りの2段重ねの器は、昨年食べた金沢駅弁・「利家御膳」を思わせる。


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(参考画像:「利家御膳」)


上段には白身魚のフライ、筑前煮、鶏唐揚、ミートボール、きんぴらごぼう、玉子焼、がんもどき・椎茸・里芋・こんにゃく・筍の各煮つけ、と多彩なおかず。それに忘れちゃいけない頭つきの海老。

付け合せにはしば漬け。


下段は「かしわめし」ファン(私もその一人)の心もがっちり掴んで離さぬ、ミニ「かしわめし」というのが実に嬉しい。

甘めの味付けの鶏肉、錦糸玉子、刻み海苔が斜めに配された色彩のハーモニーは最早芸術品といった趣き。

うるち米のご飯にもしっかり甘目の鶏のダシが滲みており、地味だけど、飽きさせない味だ。

この味に久しぶりに出会えたのが堪らなく嬉しい。


本家「かしわめし」のほうは、時間の経過と共にふやけてゆく薄い木の弁当箱の風味がご飯に移るのも魅力の一つなのだが、さすがにそこまでは望めない。


とはいえ、これは紛れもない「かしわめし」の進化形。新たな魅力を見せてくれた。


素朴な味わいの掛け紙がまた、長閑な旅情を誘ってくれるのが良い。

駅弁の掛け紙とは、本来こういうものであってほしいと思うのだ。


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更に次回へと続く。