前回の続き。
「完全版」のBDを参考に、その他にカットされている場面を幾つか挙げてみる。
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バシー博士がチッティを披露する晴れ舞台。サナは初めてチッティがロボットであることを知り、驚嘆する。チッティに自分の絵を描いてみて、と頼むサナ。瞬く間に完璧な絵が仕上がる。
チッティは女性たちに囲まれる。
博士の2人の助手たちは、チッティをエサに女性たちにモテようと冗談口をたたくが、それが博士の目に留まり、あえなく1ヶ月分の給料カットを言い渡されてしまう。
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サナが2日間チッティを借りて、「Happy Home」というサナの家に案内する。そこは、戦争未亡人を中心に住処を失った女性たちが共同生活を送る家。サナ自身も父を戦争で失い、始めた施設なのだ。
隣でオーディオ機器を大音量でかけ、踊り狂う若者たち。サナとチッティが退治し、139分版では、この後、列車で若者たちがならず者共を使って、サナとチッティに仕返しを企てる戦闘シーンになるのだが、完全版では、この間に、くだんのならず者たちもチッティに退治される場面があった。
ならず者たちが大音量で祈りの歌をかき鳴らす。(何とその音98db(デジベル)!)
サナが、“音を下げてくれない?試験勉強ができないわ。”と抗議に行くと、彼らは、“神様を祝福してんだよ。お祈りでもしときな、きっとパスするぜ。”と相手にしない。
チッティがスピーカーを破壊すると、ならず者たちが武器を持ってチッティに迫る。
すかさずチッティ、「ERECTRO MAGNETIC MODE」作動開始。
すると、彼らの武器もネックレスも、どこにあったかバネまでも、みんなチッティの体に吸い付けられる。
それらの鉄の位置を直す。するとチッティ、尊い神の御姿になった。
拝み始める街の人々。
モードをオフにすると、武器がバラバラと地面に落ちた。
ならず者どもは面白くない。
吸い取られなかった棍棒を手に襲いかかろうとする男。今度はチッティ、男のズボンのに狙いを定め、チャックを開いてズボンを吸い取る。
赤パンツ姿を晒され、男はあえなく戦意喪失。
このままでは試験に失敗すると嘆くサナに、チッティは、遠隔指令で答えを送信できると提案。
試験会場の外で何やら不審な様子のチッティに、大学の教員たちが職務質問すると、哀しいかなロボットの宿命で、チッティは極めて正確に、自分の行っている作業を説明してしまう。
試験会場でサナが不正を問い詰められると、サナは咄嗟に知らぬ存ぜぬと言い逃れ、難を逃れはするものの、どこまでも忠実なチッティの姿に哀れを感じ、涙する。
すると白紙の答案用紙に、教科書の内容が映し出される。
サナがそっと上を見上げると、天井の隙間からチッティが顔を覗かせ、映写機にもなるその両目から、答えを映し出してくれている。
「あなたの助けがなければ、試験はうまくいっていなかったわ」とサナ。
帰りの列車で、サナはチッティに詫びる。
「気にしていない。人間は時に、心とは裏腹に嘘をつくことがあると判っている。」とチッティ。
サナの良心が痛む。
…この後、列車での戦闘シーンにつながる。
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列車での戦闘シーンの後、サナは、顔の人工皮膚の一部を損傷したチッティを、バシー博士の研究所に連れ戻し、博士にチッティの素晴らしさを熱く語る。
この後、チッティのスーパーロボットぶりを描いたミュージック・ナンバー(「Boom Boom Robo Da」)(前回記述)へとつながってゆく。
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そして、AIRDでの最初のプレゼン前夜。
二人の助手たちから、「メシ食えないだろう。酒飲めないだろう。」とからかわれ、「食ってみろ。飲んでみろ。」と迫られる。チッティは博士に指示を仰ぐと、「スリッパでぶっ叩け!」と博士。
助手、退治される。
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ボラ教授の裏の顔の描写も詳しい。
自分の開発した殺人ロボットを、死の商人に売り込むボラ教授。
パソコン画面で、大量殺戮、自爆テロなど、思うがままに暴れまわるCGでデモンストレーション。
ところが納期を巡り、交渉決裂。教授、窮地に立たされる。
ボラ教授が、チッティの神経回路を盗み出そうと焦っていたわけがよくわかる。
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最後40分の戦闘アクションシーンは、まさに徹底的にやり尽くしました、という趣。
チッティ軍のフォーメーションの変幻自在に驚かされる。
最初は球体。次に針ネズミ状態。棒状になったかと思えば、ミサイルを避けるように平たい板状に。
そして壁になって、人間兵士をなぎ倒す。
円錐形になってヘリを投げ飛ばした後から、何故かそれまでの無機物形態ではなく、大蛇になって、ヘリを噛む。
損傷したロボットの一体・「CR13」を捕獲、そこから博士が発信した合体阻止ワーム・プログラムが効いて、一度はフォーメーションが崩れるが、プログラム発信源を突き止めるや、チッティは直ちに「CR13」を爆破。再びフォーメーション能力を取り戻す。
ドリル状になって地中に潜り込むロボット兵士たち。(~ドリルの歯の方向が、潜る向きとは逆などと、突っ込まない!!)
すると今度は、巨人の姿になって、逃走する博士の中継車?指令車?を追い始める。
あれだけの瞬間移動能力を発揮していたのに、巨人になった途端、動きが緩慢だ、などと決して言ってはいけません。
何で最後は、大蛇や巨人といった化け物になるのだろう?
巨体に合体すると、人間側からすれば攻撃目標が一つに絞れ、攻撃しやすくなるのでは…?などと余計なことを言いたくなるが、やはり、視覚的に怖いからなのでしょうね。
逃走する車の中で、博士は電磁石機能破壊プログラムを、猛獣に麻酔銃を撃つ要領でチッティに撃ち込むことに成功する。
巨人フォーメーションが崩れ、間一髪で博士の車、無事。
ところがすぐさまバラけたロボット軍団起き上がり、博士の車に襲いかかる。
先陣を切るチッティだけをうまく車中に捕獲。(強力電磁石でもついていたのか?)
コピーたちが車外からボコボコに殴る蹴る。
いつ車体に穴を開けられ、魔の手が伸びるのか…緊迫した状況下、捕獲したチッティの胸を開け、博士は全ロボット破壊命令を送信。
間一髪のところで、チッティのクローンたち、今度こそ機能停止する。
車内のチッティから、レッド・チップを取り出し、戦いは終わりを告げた。
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裁判に場面は転ずる。
人類を恐怖に陥れ、多額の損害を出したロボットを開発した責を問われ、バシー博士に死刑が求刑される。
すっかり元に戻ったチッティが、反対意見を申し述べる。
自分の暴走は、機械の故障である。
故障の原因は、バシー博士によるものではなく、レッド・チップを埋め込んだボラ教授のせいである。
死んだボラ教授に責任をなすりつけようとしている、という検察側の反論に、チッティは証拠として、その時の動画を映写してみせる。
(~何となく、ドライブ・レコーダーというものの重要性が理解できました。)
これがものを言い、博士に無罪の判決が下る。
だが、こうした超高機能の人型ロボットは、人類に途轍もない危難を及ぼす可能性があり、これが必要とされるのは未来のことである。
現代では必要ない。解体せよ。
そう言い渡された。
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裁判所立会いの下、博士の研究所で、チッティ解体命令が下される。
断腸の思いの博士。
そんな博士を思いやり、チッティは、自らの手で解体を申し出る。
最初は左膝下から、自らの手足を外してゆくチッティ。
立ち会う人々に語りかけるチッティの言葉は、心に沁みるものだった。
2人の助手たちには、感情を理解できるのだから、ロボットにできないことがあっても良いと思うと。
チッティの名を与えられた赤子の母親には、ロボット工学を学ばせ、未来を切り開くよう導いてほしいと。
ボラ教授の遺影には、人間の心の中には哀しいかな、嘘、嫉妬、詐欺、不正直があるが、自分は幸いにも人間ではない。そうでなければ、望んでもそういう醜い部分を自分から取り除くことはできなかっただろうと。
サナには、心からの謝罪を。恋は盲目というが、自分も同じだったと。そして、ボーイフレンドとしてではなく、toy-friendとして、別れを告げた。
博士には、あなたは私の神だったのに、私はあなたを裏切った。ルールを破ったのは自分の過失だ。そう謝罪した。
いや、それは違う。君は、禁を犯すことを人間から学んだのではないか。君の過失ではない。
と博士。
しっかり抱擁した後、チッティは己の首を自らの手で抜いた。
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場面は20年後に飛ぶ。
博物館に遠足に訪れる子供たち。
引率の先生が、今は展示物となってしまった、バラバラのチッティの前で解説する。
今から20年前、バシー博士によって作られた、最も優れた人造人間・チッティです。しかし、まもなく解体されてしまいました。
一人の少女が「なぜ?」と疑問を投げかける。
「心を持ってしまったからさ。」
一瞬、今はもう決して話すはずのないチッティが、そう語ったような気がした。
(エンディング・クレジット)
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最後は「蚊モード」。
繰り返しになるが、サナが通学する医学部の大学病院で、その卓越した能力により、妊婦の難産を無事済ませるチッティ。サナから称賛のキスを頬に受ける。
夜になり、充電に身を横たえても、サナの姿が頭にチラついて離れない。
研究所を脱け出し、サナの部屋へ。
もう一度キスをとせがむチッティに、深夜1時にレディーの寝所を訪なう非礼を咎め、サナは自分の頬から血を吸った蚊をつかまえてくるよう命ずる。
チッティにとってはそんなことは朝飯前。
ユーロビート風にアレンジされた「Naina Miley」が早回しで流れる中、チッティの動作も何倍速かになり、チッティの目には拡大されて映る、サナの紅い血を吸って丸々と太った蚊を懸命に追う。
蚊はサナの部屋から外へ逃げ出し、やがて川べりの大きな橋へ。
そこには何万匹もの蚊の大群。
すかさずチッティ、「MOSQUITO MODE(蚊モード) ON」。
~というか、よくそんなモードを博士がインプットしといたなぁ…。それに感心。
チッティ、蚊と会話。
サナの血を吸ったのは、ランゴスキーという名の蚊(~蚊にも名前があるのです)。
「サナに詫びに来てくれ。」とチッティ。
ランゴスキーの無理難題(~RHマイナスAB型の人間を探せ、蚊を退治する薬メーカーを爆破せよ、最後は蚊を国鳥に指定させよ~)に、チッティ怒り、
「一緒に来ないと、お前たち皆殺しだ」
蚊たちも負けてはいない。
「病原菌をうつしてやる」、とチッティの頬にチクリとしようとすると…
人工皮膚の下は金属。歯が立たぬ。
ならば口の中に入り込んでしまえ、と蚊が潜入。
するとチッティの電磁波攻撃に遭い、あえなく黒こげのお陀仏。
こりゃ敵わんと、蚊たち、作戦会議の末、ひとまず従うふりをして、ランゴスキーはチッティと共にサナの下へ。
ランゴスキーに謝罪させると、チッティのあまりの職務への忠実ぶり、高性能ぶりに、サナは怒りをいつしか忘れ、頬にしっかりキスしてくれた。
顔をほころばすチッティ。それは恋の芽生え。
音楽が始まる。(「Naina Miley」)
~蚊一匹捕まえてくるのに、というよりも、そもそもチッティがサナにもう一度キスしてもらうに至る描写のために、「蚊モード」なんてものまで用意して、紅い血を吸い丸々太った蚊のCGを描き出す。この徹底ぶりこそ素晴らしすぎる。
このパワーは一体どこから漲ってくるものなのか?
IT産業の発展著しい国は、さすがに違います。
今の日本に、これだけ馬鹿馬鹿しいことを、真剣に徹底してやり抜く勢いがあるものでしょうか?
「蚊モード」はこの動画の9:26辺りから。
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公式サイト には、完全版公開祈念特設コーナーが設けられており、サイト閲覧者にクリックを促すようになっている。
不肖私も500クリック位はしてみたが、何と6月1日より「渋谷TOEI」にて2週間の期間限定ながら、早速「完全版」の劇場公開が決まったとの嬉しいニュースが。
これはもう絶対に観に行かねばなりますまい。
それにしても、改造後のチッティ、どうしても竹内力氏と似ているように思えて仕方ないのですが…。
ついでにいえば、人工皮膚を被っていないチッティ(~火事場での救助場面等~)は、故・入川保則氏の若かりし頃っぽい気が、そこはかとなく…!?!?
こうしてこの映画を観てみると、『鉄腕アトム』のアトムって、実によくできたロボットだよなぁ…と思う。
心優しいし、10万馬力だし。
バシー博士が、「アトム・モード」なんてものをチッティにプログラミングしてくれていればよかったのに…と思いかけたが、アトムにもアトラスという性悪兄弟が居たことを思い出してしまった。
以前、インド映画が大ブームになった時、野火杏子さんという方が、マサラ・ムーヴィーについて非常に熱く語った本を著された。
『インド映画にゾッコン-Masala Hits STAR magazine』(出帆新社;2000)
が大好きで、当時何度も繰り返し読んだ。
野火杏子さんなら、『ロボット』をどう熱く語られるのだろう?
是非読んでみたい。
…アナタの書いてる文章も十分熱いよ。
ここまで読んでそう思って下さる方がいれば、作者望外の喜びである。
