昨日は旅の最終日。
13時開演の宝塚に行く前に、8月に来られなかった甘味スポットを色々回ることにする。
これは観劇前の数時間のお話。
今回は話の舞台が色々飛ぶので、写真3枚では到底足りず、無理やり並べて作ってみた。
…何だか、『象印クイズ ヒントでピント』の「4分割」みたいだなぁ…。宮尾すすむさん、懐かしいです。(作者注:この頃、1つの記事に掲載できる写真は3枚までだと思っておりました。)
亀井堂總本店、格子せんべい、吹寄せ、元町ケーキ、4枚目左上が「ざくろ」
最初は『元町ケーキ』。
神戸高速の西元町から行こうと思ったら、高速神戸で阪急電車が停まっていたので、花隈で降り、山手幹線とJRの高架をくぐり、いざお店へ。
と思ったら、目の前に『亀井堂總本店』が。朝の9時過ぎなのに、もう開いている。
ここの「吹寄せ」を買いに、後で三宮の「さんちかタウン」に行こうと思っていたから、「丁度いいや」と先に寄り、「吹寄せ」の他にも「瓦まんじゅう」、「格子せんべい」等、安いのを良いことに色々買い込む。
子供の頃、遊びに行くと祖母がよく買っておいてくれたお菓子の一つ。
他には、神戸風月堂の「ゴーフル」、本高砂屋の「マンデルチーゲル」に「エコルセ」、ユーハイムの「バウムクーヘン」に「テーゲベック(ビスケット)」等々…お蔭で、孫はすっかり甘党になりました。
女性店員さんに、「すごく懐かしいです…」と話すと、東北大震災復興祈念の「瓦せんべい」をおまけでくれた。
そういえば、「格子せんべい」。
子供の頃、「障子せんべい」と教えられ、数年前、母が用事で神戸に行くというので、「障子せんべい、買ってきて」と頼んだら、なかなか見つからず、大変面倒かけたことがある。
後に、宝塚のお隣・清荒神へ行ったら、駅前の参道入口のパン屋で「格子せんべい」が売っていた。
ピーナッツの粒が山ほど入った洋風せんべいは、何故か形だけは障子そっくりで和風。忘れた頃に無性に食べたくなるので、売っている場所を只今特定中。西元町もよく覚えておこう。
(注:最初、“間違って「障子せんべい」と教えられ…”と書いた後で調べてみたら、他店で「障子せんべい」と呼んでいる店もあるようなので、訂正しました。『亀井堂』では「格子せんべい」です。)
『元町ケーキ』に辿り着く。
ここは17年ぶり。以前は、ケーキ製造直売所といった感じで、朝も早よから地元のおっちゃん連が、モーニング代わりに寄りそうな雰囲気だったが、すっかり建て替わり、お洒落なカフェになっていた。
平日の朝一番で、客は私しかいない。
定番の「ざくろ」に「エクレア」、アイスコーヒーを頼み、これが本日の朝ご飯也。
お店を出ると、ポートタワーが聳えている。
「うわっ懐かしい」
吸い寄せられるように港へ向かう。
後の予定がつかえているので上りはしないが、代わりに間近に寄り、思いっ切りえびぞって、ローアングルの写真を撮った。ここまで来ると我ながらちょっと変態さんぽいが、鼓というか赤い網タイツというべきか、赤い鉄の支柱を序に撫でて退散する。
ポートタワー どんどん寄って、えびぞって…
西元町駅から阪神電車に乗り込む。
目指すは芦屋・『アンリ・シャルパンティエ』本店。
ここの喫茶も他に誰もいない。
このお店に来たら、何はさておき「クレープシュゼット」。
店の照明が落とされ、給仕のお姉さんが、ワゴンを用意して目の前で仕上げてくれる。熱したグランマルニエをクレープにかけると、青白い炎がボッと燃え上がるという趣向。
許可をもらって撮影するも、晴れた朝の光が邪魔で、店の電気が消えた位じゃ、綺麗な青になりはせぬ。
「こちらは初めてですか?」
「いえいえ18年ほど前から神戸に来ると度々寄らせてもらっています。」
目の前のお姉さんがお嬢ちゃんだった頃から来てるんだなぁ…としみじみ思う。
銀座にも数年前に喫茶が出来て、ここでも「クレープシュゼット」は頂けるようになったが、屹度朝から銀座マダムやレディーがわんさか押し寄せて、貸切状態なんてことはあるまい。
平日朝。店内にはディヴェルティメントが緩やかに流れ、外の信号が変わる度に鳴る郭公の囀り声のチャイムでさえも、心地よいアクセント。お店の大きなガラス窓越に、行き交う車を眺めていると、いつしかBGMは『バラ色の人生』に変わっていた。
このまま居着いていたいが、そうもいかず、再び阪神芦屋へ。
よく、山手を走る上品な阪急電車に対し、下町を走る庶民派・阪神電車などと言われる。
タイガースの親会社だし、梅田を出て暫くはごちゃごちゃとした街並みだし、致し方ないところだが、阪神電車だって、なかなかどうして侮れない。
何といっても芦屋を通るし、西宮、御影、甲子園辺りもなかなかのものである。
東京人がイメージする芦屋は、実は阪急・芦屋川駅の北側、もっと山裾寄りの、六麓荘町あたりのイメージだろう。
『白い巨塔』で佐枝子さんが住んでいるのも、新版・『華麗なる一族』でキムタクがサイボーグ人面魚の“将軍”と対面する邸宅も、そちら。
だが、芦屋市役所も警察署も、近いのは阪神芦屋。
JR芦屋駅の「ラポルテ」にしても、それほど古い歴史ではない。
上:「クレープ・シュゼット」、下:夙川公園
…再び阪神電車の乗客となり、今度は香櫨園へ。
香櫨園は、駅が丁度夙川を跨いでいる。
ここから北へ、夙川に沿って歩く。
夙川公園と名付けられた川沿いは、まさに桜の名所。
風光明媚とはこういう場所を指すのだろう。
嘗て谷崎潤一郎も住まったという、この夙川べりには幾度も来ているが、いつ来ても心が休まる。夙川駅もくぐり抜け、阪急甲陽線に沿って、なお北上。
苦楽園口という駅の北側で阪急のガーター橋が川を乗り越したところで、夙川公園は終わり。
この更に北の、甲陽園駅近くの『ツマガリ』という、関西ではとても有名な洋菓子店でケーキを買ってきて、橋をゆっくり越える阪急電車を見やりつつ、ベンチで頂くのが至福の時だ。
ある夏の早朝、ケーキを広げていたら、散歩で放たれた上等そうな犬が「くれくれ」と寄ってきて、「どうしよう?」と困った。あげたいけど、飼い主の許可なしに、こんな脂肪の塊、食べさせるわけには行かない。やがて、この犬君、飼い主のおっちゃんに呼ばれ、渋々、名残惜しそうに、飼い主の元へ戻って行った。
時計を見ると既に12時。『ツマガリ』まで歩いて、甲陽園から阪急電車に乗って、夙川~西宮北口~宝塚。開演前に、『ツマガリ』のケーキを昼食代わりに頂く、という計画は到底無理そう。
迷った挙句、阪急で全て行くのは諦め、そのまま甲陽園まで歩き通すことにする。
丁度、アルファベットの「J」で、左側の尻尾の先が甲陽園だとすれば、底にあるのが夙川と西宮北口、右上が宝塚。そんな地理なので、甲陽園からタクシーに乗って、そのまま東に行くと、仁川かな、甲東園(紛らわしい地名ですみません)かな、今津線の途中の駅に行けるだろう。
そう思って数年ぶりに歩いてみると、意外に遠くて気ばかり焦る。
漸く『ツマガリ』で洋菓子を買い求めると、時は既に12時15分。
こうなったら奥の手。宝塚大劇場までタクシーを奮発することにした。
初老の運転手。
「山を越えて行きますよ」
この辺りのハイキング・コースと話には聞いていたが、まさかこんな用事で甲山を通ることになろうとは。
「ぎりぎり間に合うかなー遅刻かなー」と歯噛みしつつ、
「おっちゃん、頑張れ。何とか突破しろ。」心の中で喝采を送る。
山を下り、さっぱり土地勘が働かない狭い住宅街を走り抜ける。
そこは逆瀬川。高級住宅街と母によく聞かされたなーと思って窓の外を見ていると、見慣れた「ソリオ宝塚」の建物が。
「…すごい!間に合いそう…」
やがて車は「宝塚ホテル」前を通り、宝塚大橋を渡り、大劇場前へと滑り込んだ。
この間僅か25分。下り際に、
「いやぁ…1時の開演に間に合わん思いましたけど、お蔭さんで助かりましたワ。有難う。」
つい関西弁が出た。
前の日に観た『わたしは誰!?』の余韻がまだ残っている。


