神戸の宿から今宵も書き始めるとしよう。


昨日、『華の嵐』という昼ドラマのことを簡単に書いたが、

重要な誤りをしでかしていたことに気付き、愕然とした。


渡辺裕之さん演ずる「天堂一也」を、「天童」と書いてしまった。

(これじゃあ「天童よしみ」だよ)


もう一つ。あの場面、柳子さんは「ホホホ…」なんて、さながら江戸川乱歩『黄金豹』に出てくる「ねこ夫人」のような不敵な笑みは浮かべなかったのである。


もっともっと高貴で美しい、畢竟の名場面なのであった。

この大傑作に改めて敬意を表すると共に、曖昧な記憶で物を書いてはいけないなぁ、と反省した。

せめてもの誠意を示す意味で、旅に出る寸前に、メモに書き取ってきた台詞を以下に再現してみる。


「俺は何度も夢を見た。

…夢の中で、俺は貴女の前にひれ伏し、涙を流していた。

喜びと感謝の涙を。

夢の中で貴女はマリアだった。

俺の命を救って呉れたマリア様だった。」


「わたくしがマリア様?

今日は随分素直でいらっしゃる。」


「なのに貴女に逢うと何故か意地を張る。」


「わたくしも同じ。どうしても貴方には素直になれなくて。」


「今は不思議と心が澄み渡っている。全てのものが美しく見える。

貴女の血が、俺を変えてしまったようだ。」


「わたくしも変わったわ。貴方にわたくしの血を差し上げた、あの時から。」


「…綺麗だ…」


ゆめゆめクサい台詞だなぁなどと仰る勿れ!

正調メロドラマもここまで来れば気持ち良い。


…この後、天堂と柳子は愛を確かめ合おうとするのだが、その時彼の脳裏には、柳子の父・朝倉景清男爵の名を呼びつつ息絶えた母の今際の際の姿が甦るのである。

母を弄んで捨てた、憎んでも憎み足りぬ仇・朝倉男爵の娘。


かくして天堂は、愛と憎しみのアンビヴァレンツに身を焦がし、苦悩し、のたうち回ることになるのである。


本作については、続きは、またいずれ。