10月も半ばになろうとしているというのに、再び暑さが戻っている。
今回は、もう少し暑かった9月下旬のお話。
夏の名残にかき氷店の梯子に行った。
西荻窪と根津に向かう。
西荻窪は、「甘いっ子」という今回初めて行った店。
行列覚悟で臨んだが、意外にすんなりと入れた。 少々古臭い民芸調の店内。
ご挨拶代わりにと、「いちごミルク金時」に自家製白玉のトッピングをオーダーする。
さながらジャムのような自家製苺シロップに小豆に練乳。
「いちご大福」を氷にしたような感じで、
昔読んだ、かんべむさしの「甘い宴会」という小説に出てきそうな
濃厚な甘い汁が口腔内に拡がる大満足の一品。
帰りにぶらりと「盛林堂書房」という古本屋に寄ると、
見たこともない、谷崎の幻想文学の研究書が何と100円。
向田邦子関連の文庫本も、これまた100円。
これらを手に、店内に入ると、講談社学術文庫、岩波文庫、ちくま文庫
、その他絶版文庫の数々に、探偵小説(推理小説やサスペンスではない!)
…と、正しく自分好みの品揃えで、宝の山を発見した気分だが、
如何せん私も本道楽が長いので、パッと見て「おっ」と思う本の大半を
既に持っているのが少し哀しい。
中央線で御茶ノ水。千代田線に乗り換え根津へ向かう。
「芋甚」という、この地では有名な甘味処へ辿り着く。
ここは随分昔、18年前から時々来る。
以前は「芋甚尾張屋」という名で、銭湯帰りのおっちゃんがぶらりと立ち寄りそうな店だった。
10年ほど前にすっかり綺麗に建て替えられ、今の姿になった。
ここでは、「氷牛乳」と「アベックアイス」を頼むことにしている。
「氷牛乳」とは聞き慣れぬ名だが、底の深い容器にサッパリと甘い牛乳が
並々と注がれ、かき氷がふわりとかかっている、というもの。
氷をシャコシャコと牛乳へ崩し入れ、掬って味わう。
「アベックアイス」は、この店の名物である。
金属の容器に、「小倉アイス」と「バニラアイス」が仲良く盛られている。
それぞれの味だけ「ダブル」で盛ったメニューもあり、
一度だけ「小倉」の「ダブル」を食したが、却って物足りなさを覚えた。
そこで気付いたのは、実は名物の「小倉」より、寧ろ「バニラアイス」が美味い
ということなのであった。
「バニラアイス」と書き続けたが、「ミルクアイス」といった方が近いと思う。
練乳を撹拌して作っているのではないか、と思しき
さっぱりとした上品な甘さが際立つ。
少し前の『出没!アド街ック天国』の根津の回で、峰竜太氏が
「ここのミルクアイスが美味しい」とコメントされているのを見、
我が意を得た思いがした。
…甘味処を梯子してしまったので、せめてもの運動の積りで、
根津からお隣、湯島まで歩くことにした。
池之端を通り抜け、湯島を掠め、結局上野広小路へと向かう。
一角に「カスタードプリン50円」の幟が!
コンビニデザート・メーカーのアウトレット店なのであった。
思わず立ち寄り、ゼリーやプリンを買う。
折角の運動(?)がフイになってしまったが、これも甘党の性(さが)である。
目の前に小滝橋車庫行の都バスがいたので、これで帰ることにする。
湯島~水道橋~江戸川橋~早稲田と進み、1時間のちょっとした旅行気分。
高田馬場で降り立つと、すっかり日が落ちていた。


