こんにちは、池上校講師の木村美那子です。
まだまだイヤマフや手袋、マフラーなどが手放せない毎日ですが、その寒さの中にも微かな春の気配が感じられるようになってきました。
稽古場もエアコンを全開にしなくても、あたたかく過ごせるようになってきて、よりアグレッシブにワークにトライ出来る人も多くなって来たように思います。
発表会のアナウンスメントも公開されましたから、ここからますます元気にレッスンに取り組み、その成果を舞台で発揮出来るよう、頑張っていきましょう。
「バレエを教えることは誰にでも出来る」とは、木村の師匠の言葉ですが、20年近く子どもたちの指導に携わり、年々その言葉の重さを痛感しています。
ダンサーと教師は、同じ「バレエ」を手渡す職業ですが、その性質や方法は実際大きく違い、それを私たち教師は常に念頭に置いて指導にあたっています。
ダンサーである時にはひとりひとりが「バレエ」表現者であり、「バレエ」アーティストであり、観客の皆さまを前にしてその対価に値する「バレエ」パフォーマンスを提供しますが、教師として存在する時には個人として「バレエ」をパフォーマンスすることは、逆に生徒の皆さんを間違った方向に導いてしまうリスクがあることを理解する必要があります。
たったひとつの「バレエ」というゴールに向かってレッスンに取り組む以上、その達成度や満足度は個々に違っていても、「バレエ」そのものについては亜流や我流にそれていってしまわないように、生徒だけでなく、たとえプロダンサーであっても、教師であっても常に確認されることが求められます。
それは一方ではバレエに限らず、ひとりひとりの人格や性格、個性や価値観など、人生にも関わるような経験となるかもしれません。
その経験に部分的でも関わる教師にとって、バレエのお見本や教科書としての我流ではない知識の他、立ち居振る舞いや言動、声のトーンや身だしなみなど「人としての在り方」もより良いものにする努力が大切です。
そして、そのために子どもたちの前で指導にあたっている時間だけでなく、自分がレッスンを受けている時間や、観客として劇場に足を運ぶ時にも、バレエに携わる人としてどう在るべきなのか考えていきたいと思います。(木村)