ドン・キホーテ（後編）

こんにちは、池上校講師の木村美那子です。

先日の作品紹介の投稿で、セルバンデスの「ドン・キホーテ」についてお話をしました。

前後編の2部構成ですが、バレエ作品の「ドン・キホーテ」で見られる場面がまだあまり出てきていませんでしたね。

今回の投稿では、主に後編で描かれるバレエ「ドン・キホーテ」のストーリーをご紹介していきましょう。(実際の物語「ドン・キホーテ」では登場人物たちの名前もストーリーも少しずつ違っていますから、原作もぜひ一度読んでみてくださいね。)

ここはバルセロナ。

街の人気者であるキトリは、宿屋の一人娘です。

キトリの父親・ロレンツォは、大金持ちの貴族・ガマーシュと娘のキトリを結婚させて、結婚準備金を手に入れようとしていますが、キトリは街の床屋・バジルと恋仲にあります。

ある日、キトリに会うためにやって来たガマーシュをからかっていると、そこへ痩せ馬に乗った騎士風の男が、太っちょの従者を連れて威風堂々と通りかかります。

でも、何だか風変わりな様子のこの騎士に、街の若者たちは興味津々です。

「我こそは、歴戦の騎士、ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャなり！」と名乗りを上げますが、馬から自力で降りることも出来ず、その槍は重すぎて、振り回そうとしても逆に自分がよろめいてしまう始末。

キトリたちも面白がって、わざと丁寧に接待します。

そのキトリを見たドン・キホーテは「あなた様こそ、私の思い姫・ドルシネア様！」と言い始め、恋人のバジルや、ガマーシュをはじめとする街の人々は混乱しますが、このドン・キホーテの登場で起きたドタバタに便乗して、キトリとバジルは駆け落ちをしてしまうのでした。

逃げてきたキトリとバジル、そしてそれを追ってきたドン・キホーテたちは、ジプシーたちがテントを張っている夜営地にたどり着きます。

ジプシーたちは踊りと人形劇でもてなしますが、その人形劇を見たドン・キホーテは人形劇の物語と、キトリたち現実のお話を混同してしまい、槍を振り回して人形劇のセットを壊そうとします。

大騒ぎの夜営地の向こうには、大きな風車が立っていましたが、何が現実で、何が虚構か分からなくなってしまったドン・キホーテは、それを悪い巨人だと思い込み、槍を振り上げて風車に向かって行き、その羽に引っかけられ、地面に叩きつけられて気を失ってしまいます。

気を失ったドン・キホーテが夢の中で美しいドルシネア姫が、森の女王やキューピッド、そして森の妖精たちと出会っている間、サンチョ・パンサは公爵に助けを求めるのでした。

一方のキトリとバジルは街の酒場に逃げ込みますが、ロレンツォたちはそれでも無理やりキトリとガマーシュを結婚させようとするので、バジルはひと芝居を打つことにします。

「キトリとの結婚が叶わないのであれば、生きている意味はない！死んでやる！」と商売道具のカミソリを、自分の胸に突き刺しました。

まさかバジルが自殺をするとは思わなかった、ロレンツォはびっくり仰天してしまいますが、もちろんバジルの自殺は狂言で、それに気付いたキトリも大げさに悲しみに暮れて「愛する人の未亡人になるために、今からでも私たちの結婚を認めてください！」とロレンツォに懇願し、すっかりだまされたロレンツォはドン・キホーテの後押しもあり、2人の結婚を認めてやるのでした。

すると、バジルはパッと起き上がり、キトリとともに結婚の許しを与えてくれたロレンツォとドン・キホーテに感謝の気持ちを伝えます。

ロレンツォは「だまされた！」と憤慨しますが、神様に誓ってしまった結婚を取り消す訳にはいきませんから、ガマーシュとの結婚と大金持ちになる夢を諦め、晴れてキトリとバジルは結婚式をあげることが出来ました。

ハッピーエンドを迎えたバルセロナの2人を見届けたドン・キホーテは新たな冒険を求めて再び旅に出発するのでした。