こんにちは、池上校講師の木村美那子です。
バレエにはストーリーはありますが、演劇のようにセリフをしゃべることはほとんどありません。
ですが、お芝居を進めていくにあたっては、踊りだけではまかなえず、セリフに代わるものが必要になってきます。
そこで用いられるのが「マイム」です。
皆さんは「パントマイム」のパフォーマンスを見たことがありますか?
「パントマイム」とは無言劇のことで、言葉を用いずに身振り手振りで会話や物語を進行させるものです。
歴史は古く古代ローマの「アテルラナ」にまで話が遡ってしまいますが、古代ローマの頃の詳しいお話は「コロス」と「コール・ド・バレエ」の関係についてお伝えする回までお待ちくださいね。
日本ではパントマイムと言うと「が~まるちょば」の、階段昇降のパフォーマンスや、重たいカバンのパフォーマンスが有名ですが、昔のパントマイムは歌や踊りや芝居など多くの出し物のひとつとして上演されていました。
それが次第に専門性をおび、劇団として活動したり、旅芸人としてヨーロッパ全体に広まっていったと言われています。
「言葉」に頼らない、というところから言語の異なる地域へ行っても活動が出来たのではないでしょうか。
その頃、イタリアでは王候貴族のパーティーや舞踏会で、バレエのおおもととなる「バレ」が華やかに発達し、16世紀には大富豪メディチ家の娘であるカトリーヌ・ド・メディチ(メディシス)が、フランスの王様であるアンリ2世に輿入れしたことで、バレエのおおもとがひろまっていくことになります。
パントマイムの世界では、ローマ帝国の衰退で活動が下火になっていましたが、フランスでは「コンメディア・デッラルテ(コメディ・デラルテ)」と言う団体と、彼らが上演するパントマイム劇が流行するようになり、キャラクターの設定など「多くの人に伝わる」ためにブラッシュアップされていきました。
そのようなパントマイム劇でもセリフが用いられる場合(即興的に、ではありますが)もあるくらいですから、やはり言葉を介さないで何かを伝えるには、それ相応の努力が必要であることが分かりますね。
さて今回の記事では「白鳥の湖」から第2幕のマイムを、まずは予備知識無しで次の一連のお写真を見てみましょう。
このお写真だけで、オデット姫のセリフが分かった方はすごい!(羽ばたいている様子から、これが「白鳥(鳥)」であることは分かるかもしれませんね。)
答え合わせは次の記事で!(木村)