カナダの新聞のお悔やみ欄 | YukoBirdの英語な日々。

カナダの新聞のお悔やみ欄

日本の新聞各社は、社会的に貢献のあった方々の訃報を掲載しますが、カナダ紙は、一般の市民が愛する家族の訃報を掲載します。日本の3行広告と違い、それぞれに愛情溢れる表現で綴られた、亡父、母、祖父母、時には姉妹、兄弟や子供へ宛てた最後のメッセージです。

 

以下、元新聞記者の友人のご尊父が亡くなられた際に頂いた訃報文を訳してみました。固有名詞は一部変更してあります。

 

『トムは、親族が見守る中、バンクーバーにて安らかに永眠いたしました。スコットランド移民の夫婦、チャーリーとマリアの息子として、双子の兄弟アレックとケベック州で生まれたトム。長兄アーサーを第二次世界大戦で亡くしています。正規社員として働きながら、モントリオールの聖ジョージ・マイケルに学び、オーナーズ科学学士号を修めました。当時のカナダ産業有限会社に1967年まで勤務、転職して証券ブローカーとなりました。ウイニペグのリチャードソン・ブルーシールドで経験を積み、バンクーバーに拠点を移してからは、CKMWラジオへ証券相場情報を提供し貢献しました。退職後、世界を巡る旅へ出発。人も羨むほどの庭でバラを育てたり、ゴルフで素晴らしい成績を挙げたり、ルネッサンス人であったトム。彼はまた、市民劇場に出演し、クラシック音楽(贔屓はベートーベン)に心酔し、オペラを愛しました。スピーチの得意なトムは、家族が集まる席では、よく私たちをお腹が痛くなるほど笑わせてくれました。結婚62年の妻、エリザベス、長女ミシェルとその夫ロブ、孫で双子のサラとダン、そして息子のダニエルを残し、1988年に先立った最愛の息子スコットの元へと旅立ったトム。彼の無限の楽天さ、優しさ、そして逆境にも失わないユーモアの精神を、私ども家族は永遠に忘れません。』

 

=原文=

Tom died peacefully in Vancouver with family at his side. He and his twin brother Alec were born in St. Lambert, Quebec to Scottish immigrants Charles and Maria. His older brother Arthur died in WW II. Tom took night courses at Sir George Michaels in Montreal while working full time, eventually graduating with an Honours science degree. He worked at then-Canadian Industries Limited until 1967, when he switched careers and became a securities broker. He worked at Richardson Blueshields in Winnipeg, then Vancouver, where he'd give market reports on CKMW Radio. Tom continued in the securities business until his retirement, then began to travel the world. He was a Renaissance man who tended a beautiful garden (his roses invoked envy) and had an impressive golf score. He acted in community theatre, adored classical music, particularly Beethoven, and loved opera. He was the go-to person to make speeches at family events as he'd always have his audience in stitches. Tom is survived by his wife of 62 years, Elizabeth; daughter Michelle (Rob) and their children Sarah and Daniel; and son Daniel. He was predeceased by his brothers and his beloved son Scott, who died in 1988. Tom's perennial optimism, gentle nature and humour, even in the darkest times, will be forever missed.

 

カナダでは日本のようにお葬式もあります。その規模は広く、関係者や友人関係まで招く大々的なものから、ごく近しい親族のみに限定するものまでいろいろです。あとは、しばらくしてから、当人の人生をお祝いする会、という名目で集まり個人を偲ぶ、というケース事が多いように思います。新聞への訃報文掲載は、そういった集まりのご案内という意味もあります。ちなみに、日本でいうお墓ですが、アジア系カナダ人以外ではあまり一般的ではないようです。

 

私は著名人の自叙伝など好きでよく読みますが、こうした一般の市民の、人生いろいろが垣間見られる訃報文を読むのも好きなのです。私の父の訃報文も、もう15年以上前になりますが、写真入りでバンクーバーの地元紙に載せました、笑。結構目立ちたがり屋だったので、きっと喜んでくれた事でしょう。。。読んでくれた人がいたかな?

 

友人ご尊父様のご冥福を心からお祈りいたします。