社会心理学者のドリー・チュー氏によれば、
脳は多くの機能を同時に使って記憶や処理を行なっているが故に、
「近道」を好むそうです。

職場で多忙な1日を過ごした後、家まで車を運転して帰宅すると
どう運転してきたか覚えていない、と言うことはりませんか?
ただただ身体が勝手に動いていたように感じる時間です。

人間のの脳の処理能力には限界があり、
いつもとっている慣れた行動は意識の裏側の低電力モードを使って行なっています。
これが脳のショートカット機能です。

研究によれば、私たちは1日1100万もの情報を脳で処理しなければならない状態を生きていますが、そのうち意識的に処理できるのは40のみだそうです。

だから「知らないうちにやっていた」とか、
「思わず言っちゃっていた」というように、
意図していなかったことが起きるわけです。

余計なことで脳を忙しくさせないようにするには、
必要なことはルーティンを決めてしまって、
大切なことに脳のエネルギーをとっておいた方がいいわけです。

★日常に余裕をつくり出す★

ルーティンを決めておいても「偶然」は起こります。
英語で「セレンディピティ」と言われる「思いがけぬ幸運な出会いや発見」は、日々の中にたくさんあります。しかしそれも、ある程度の余裕がなければ気付けません。ルーティンを決めるということは、偶然を楽しむためのものでもあるのです。

心理学者のリチャード・ワイズマン氏が、店の入り口にわざと5ドル札を落とし、運と偶然のチャンスの関係を調べた実験がありました。
すると、事前の調査で「自分は運がいい」と回答した人は、5ドル札に気づき、「自分は運が悪いと思う」と回答した人は、5ドル札に気づかなかったのです。

運についての考え方も、5ドル札への注意力も、余裕がなければ手に入らないでしょう。
ルーティンを決めておいた方が目の前で起きた偶然の大切さに気づけるという利点もあるのです。

それに、もし突発的なイベントや忙しさで生活リズムが乱れても、
ルーティンさえ決まっていれば、また戻れるという安心感にも繋がりますよ。

★スイッチ代わりに使う★

また、ルーティンは仕事に入るための「スイッチ」のような切り替えの合図に使うこともできます。「コーヒーを飲んだから気合を入れて始めよう!」というように、無意識にルーティンを使っている人もいると思います。

スポーツ選手でもバッターボックスに入る前の動作を決めたり、試合前の食べ物を決めている人もいますよね。自分をコントロールする方法は、知っておくほど役に立ちます。

タイムマネジメント大全~24時間すべてを自分のために使う
(P142〜P144から一部、抜粋)
大和書房
>>>https://www.amazon.co.jp/dp/4479797408/