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夏らしく盆踊りを踊る毎日なので、

夏らしくヨーヨーを買ってみました。

試しに保育室の水道でヨーヨーを作っていると「なにしてるの?」と興味津々の子どもたちが集まってきました。

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【Aくん2歳のお話】

「きいろがほしい!」

黄色のヨーヨーの完成を待つため、近くにある椅子にちょこんと座ったAくん。

「よしわかった!ちょっと待っててね!」
私は慣れない手つきでヨーヨーを膨らませる。

その様子を見ながら両手でかわいく頬杖をついて
「できた?」と首を傾げるAくん。

「もうちょっとでできるよ」
「…できた?」
「もう少しでできるよ」

水が入りながら少しずつ膨らんでいく黄色のヨーヨー。
仕上げに留め具を使ってヨーヨーの口を閉じつつ輪ゴムをかける。

「できたよ!」

「やったー!」

Aくんが受け取った3秒後…

プシューー!!

この音が何を意味するか、おわかりになるだろうか。

水遊び中ならともかく、ここは正真正銘、完全なる室内。
そこにあるのがキンキンに冷えた缶ビールであれば、思わずゴクリと喉鼓を鳴らす音として耳に届くであろう。

しかし繰り返すがここは室内。あるのはヨーヨー。
この二つの条件が揃うことにより、
プシュー
それは恐怖の音となる。

顔にかかってびっくりして泣いちゃうかもしれない。
お迎え前なのに服が濡れちゃうかもしれない。

もはや条件反射であったと当時を振り返るが、咄嗟に私はAくんの持つヨーヨーに手を伸ばした。

プシューが聞こえた瞬間に手を伸ばしたけれど、あっという間もなく黄色のヨーヨーは膨らませる前のサイズに戻っていた。
人間対空気圧は空気圧が圧勝である。圧だけに。

大変なことをしてしまった。
留め具の挟み込みが弱かったのかもしれない。

早く挽回しないと。

タオルで周辺を拭きながら心は焦ったまま、声色だけ落ち着かせて
「ごめんね。もう一回作っていい?」
と聞いてみた。

しかし、プシューの音と、飛び散る水と、狼狽するびしょ濡れになった園長。これを同時に受けたAくんの答えはもちろん
「いや!いらない!」
首を横に振る。

そうだよね。ごめんね。

代わりにビニールのヨーヨー(水無し)があったので、「これはどう?」と聞くと「やったー」と言って受け取ってくれた。

ああ、
ひとまずは
よかった。

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翌日。

登園したAくんは「おかあさんとヨーヨーの練習するの」と教えてくれました。

違う。違うのです。

練習するべきは私なのです。
留め具をきちんとはめる練習を。
プシューとならないヨーヨーを作る練習を。